<湧き上がる入道雲>
残暑の鎌倉;東京の空に入道雲が湧き上がる
(単独散策)
2015年8月10日(月) 晴・残暑
毎年,8月に入ると,私は憂鬱な気分になる.
…と言うのも,この時期になると,あらゆる報道機関で,第2次世界大戦の話題が,これでもか,これでもか,と繰り返されるからである.
終戦のとき,私は旧制中学の生徒だった.ガーガーと雑音ばかりのラジオに齧り付いて直音放送を聞いた暑い日のことも鮮明に覚えている.自分が体験していることが,世間では,すでに歴史上のできごととして扱われれていることに戸惑いを感じる一方で,あの不安で惨めだった日常を思い出すのはもう結構という騒擾感に襲われる.勿論,自ら体験した戦争のむなしさを後世に伝えていかなければダメだという義務感は持ってはいるが…
原爆が投下されたとき,ラジオでは高性能爆弾が投下されたと,ごく簡単な報道があったのを覚えている.学校のあちこちに骸骨の脇で笑顔で笑っている白人の女の子の写真が掲示されていた.東京大空襲のとき,東京から150キロメートルほど離れている信州からも,炎で空全体ががどす黒い赤色に染まっていたのを見た.
ほどなく終戦を迎える頃,中学の先輩でもある従兄弟が特攻隊で戦死した.葬儀のとき私は白い布に包まれた箱を持った.本当は中に遺骨が入っているはずだが,何も入っていない空箱だった.もう少し早く戦争が終わっていたら,従兄弟も無事だったろうね…
ただならぬ雰囲気の中で戦争は終わった.占領軍に見つかったら殺されると真剣に心配した.とにかく怖かった…
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もう,戦争関連の報道は結構,聞きたくない.
そんな気分のまま,午後から気晴らしの散策に出掛ける.出掛けるといっても,特段にどこへ行こうという目的もない.ただ惰性で何となく近くの鎌倉中央公園を抜けて,大船方面へ向かう.
今日は蒸し暑さも幾分和らいだようだ.でも相変わらずミンミンゼミが元気に啼いている.公園には殆ど人影がない.
<鎌倉中央公園にて>
同じ関東地方でも,東京辺りから北の地域では,毎日のように雷鳴が轟き物凄い雨が降っているようだが,湘南地方ではこのところ全く雨が降らない日が続いている.正直なところ,雨が恋しい.
天気予報では,今日は海沿いでも雨が降ると言っていたが,8時過ぎにパラパラと降っただけだった.
山崎口から公園の外へ出る.
北の空には大きな入道雲がまるで壁のように湧き上がっている.あの雲の下は東京のどこかだ,豪雨になっているに違いない.
<湧き上がる入道雲を山崎から眺める>
薬師堂跡から水道山山麓を大船方面に向かう.
この辺りで,何時も気温を測ることにしているが,このところ,35℃程度の蒸し暑い日が続いていた.
ところが,猛暑も今日は一段落で,随分と涼しく感じる.ところが,気温を測ると32.5℃もある.何時の間にか猛暑に馴れてしまい,32.5℃も涼しいと感じるようになっている.
<水道山山麓から見た入道雲> <涼しいと感じたが気温は32.5℃もある>
14時過ぎに大船に到着する.
大船駅付近で,ちょっとした雑務をしてから,14時55分発の路線バスに乗って帰宅する.
こうして,貴重な1日の大半が無為なまま過ぎ去ってしまう.勿体ない.
夕方,善光寺街道の資料纏めに専念する.そろそろ参加者に資料を送らなければならない.正直,私はちっとも纏まる様子がない資料作りに,自分の能力のなさを感じ,イライラしている.
(おわり)
「鎌倉あれこれ」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/f31824645d11b6a8688dc72be9543c94
「鎌倉あれこれ」の自戒の記事
(なし)
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残暑の鎌倉;東京の空に入道雲が湧き上がる
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