<緑陰の堀山の尾根道>
酷暑に”参った”,”参った”の丹沢;塔ノ岳(今年15回目)
(単独山行;5回目のリハビリ登山)
2015年8月1日 晴・猛暑
<ルート地図>
※7月11日の地図を流用
■猛暑のリハビリ登山
テレビを見ていると,ここ2~3日,天気予報が盛んに,
「今週は猛暑が続きます…熱中症に気を付けて…」
と何回も何回も警告している.確かに,ここのところの猛暑振りは呆れるほどだ.避暑地の筈の鎌倉でも,舗装道路の上では35℃を越えることが珍しくない.
”猛暑になることが分かっているこんな日に,丹沢へ出掛けても良いんだろうか…”
と,私は何回も自問自答した後,やっぱり予定通り,4時10分に自宅を出発する.
つい,2~3週間前までは,この時間になると,すっかり夜が明けていたが,今日はまだ薄暗い.わずかの間に,大分夜明けが遅くなったようである.
自宅から大船駅までの道のりは約2.5キロメートル,標高差約60メートルの山下りである.昨日の余熱がタップリ残っている街中は,朝からムシムシしている.こんな日の山登りは大変だなと思いながらも,そのまま惰性で東海道本線,小田急線を乗り継ぐ.
毎回,楽しみにしているのが,小田急線の車窓から見える富士山と矢倉岳だが,今日は辺り一面に靄のようなものが湧き上がっていて,富士山はおろか近くの矢倉岳すら見えない.この辺り全体がまるで湯気が立ちこめる風呂場のような感じになっている.
6時10分,渋沢駅に到着する.バス乗り場には,私と同じ電車で到着したランナーの男性が一番乗り.私が2番目.二人で雑談をしていると,次第にバス待ちの行列が長くなり始める.今日は沢山の常連が北アルプスや南アルプスに出掛けているようである.1番バスで見かけた常連は毎日登山のTGさん,三角髭のTDさん,TNさん,IIさんぐらいかな.
今回の塔ノ岳は私にとって今年15回目,リハビリ登山4回目である.今回も小草平まで登るのが目標である.
■大倉から歩き出す;山ヒルが怖い
7時少し前にバス停大倉に到着する.待合室で身支度を調える.
私より一足先に,TDさんが大倉を出発する.TDさんは本谷経由とのこと.ついで,TNさんが,
「先にユックリ歩いています…」
とのことで登山開始.
7時04分,身支度を終えた私も出発する.今回は足への負担を軽くするために,最初から2本ストックを使うことにする.
外気温がどの程度か正確には分からないが,大倉を歩き出したときから,尋常ではない蒸し暑さである.歩く前から汗ばんでいる.
”これは大変だ…熱射病にだけはなりたくないな…”
私より100メートルほど先にTNさんの後ろ姿が見えているが,私には最初からTNさんに追い付くつもりなどない.”とにかくユックリ”をモットーにノロノロと登ることにする.
7時10分,登山口に到着する.いよいよ登山道である.克董窯付近で簡易舗装が終わって,山道になる.路面に敷き詰められた石が濡れているので少々滑りやすい.その上,ここから先,暫くの間,山ヒルに気を付けて歩かなければ…
■雑事場ノ平
7時32分,観音茶屋を通過する.私のすぐ前を歩かれていたTGさんが,用事のために小屋前で小休止している.私はそのまま超ユックリペースで観音茶屋を通過する.大倉から歩き出して28分経過している.
観音茶屋を通過すると,左右に大きく曲がる坂道になる.風が全く通らない.むんむんする空気が淀んでいる.セミの鳴き声すら聞こえない.まるで蒸し風呂の中を彷徨っているような感じである.
それでも,雑事場ノ平近くのトラバース道に入ると,空気がほんの少し揺らいでいるのか,新編にへばり付いているベトベトが少し取れて,ホッとした気分になる.
7時51分,ようやく雑事場ノ平に到着する.今日はハイドレーションシステムを使っていないので,ここで給水することにする.
ベンチに座って,リュックから冷たい水を取りだして2~3口飲む.蛇足ながら今日は1.5リットルの水を携行している.水は結構重い.でも,この程度の水は,がぶ飲みするとすぐに終わってしまうので要注意だ.
私が給水を終えて,歩き出したときに,TGさんが雑事場ノ平に到着する.TGさんもここのベンチで一休みするようである.
<雑事場ノ平のベンチで一休み>
■見晴階段
7時54分,見晴茶屋に到着する.大倉からの所要時間は50分ちょうど.
すぐに見晴階段に差し掛かる.何時ものように階段下から階段を見上げた写真を撮る.何時もの土曜日ならば,沢山の登山者の後ろ姿が,数珠繋ぎに連なっているが,今日は,登山者の姿が殆ど見えない.皆,北アルプスなどの高山に出掛けているんだろうか,それとも,冷房の利いた涼しい部屋で過ごしているんだろうか.
”こんな暑い日に,ノコノコ塔ノ岳まで出掛けてきたオレが間抜けだったかな…”
<人気のない見晴階段>
■駒止階段
見晴階段を登り切る直前,次のバスで来られたMGさんが私に追い付く.MGさんは
「…今日は暑いですね…後ろにTGさんが居られましたよ」
と挨拶して,軽々と私を追い越して行く.
続くモミジ坂も意識してユックリペースで登る.まさに“頑張らない登山”である.必要以上に汗をかかないように…普通に呼吸ができる範囲で登るを厳守しながらの登山である.
8時18分,ようやく一本松を通過する.大倉からの所要時間は,1時間14分.気候が良くて元気なときならば駒止茶屋をとっくに通過しているラップである.でも,過去は過去.今は今.
一本松のすぐ先にあるベンチで,再び給水休憩を取る.
8時30分,再び歩き出す.ここからは平坦な道が暫く続く.何時もならば歩行速度を速めるところだが,今日はそんな気にもならないし,惰性でノタノタと歩く感じである.
やがて,駒止階段に差し掛かる.
ここも,呼吸が乱れないように注意しながら,ユックリ,ユックリ,一段,一段,バカみたいにユックリ登って,8時45分,ようやく駒止茶屋を通過する.大倉からの所要時間は1時間41分.呆れるほどのノソノソラップである.
<駒止階段>
■蒸し暑い堀山の尾根道
堀山の尾根道に差し掛かる.今日は,何時もならば涼しいはずの尾根道も,相変わらず無風で,ちっとも涼しくならない.これには少々ガッカリ.サッサと歩く気にもなれず,トボトボ歩きを続ける.
やがて,晴れていれば,富士山が良く見える場所に到着するが,今日は雲が漂っていて富士山はおろか,隣の鍋割山の尾根も見えない.
<晴れていれば富士山が見えるはずだが>
■小草平
8時52分,堀山を通過する.ここから暫くの間は下り坂.足を痛める前ならば,ここは急ピッチで下るところだが,今はリハビリ中なので,慎重に下り始める.
丁度そのとき,下山途中のITさんとバッタリ.
「…あら,相変わらずお元気ですね…堀山の家の少し上でMGさんに会いましたよ.TGさんも登って来るって言ってましたよ…」
ここで,3~4分,ITさんと立ち話をした後,9時12分,リハビリ登山の目的地小草平に到着する.大倉からの所要時間は実に2時間08分.これは私がもっとも元気だった頃の塔ノ岳まで所要時間と同じである(もっともこれは秋の涼しいときのラップだが…).
小草平に建っている堀山の家は,まだ開店していない.堀山の家の玄関にある寒暖計を見ると,なんと気温が30℃もある.これは大変.
小草平のベンチで沢山の登山客が休憩取っている.私はご常連のIIさんが座っているすぐ隣に座り込む,そしてまたもや給水である.
暫く,休憩を取っていると,三角髭のTDさんが,沢の方から登ってくる.
「いやあ~暑いですね.もう私は登の止めて下山します…」
とのこと.
暫く雑談してから,TDさんは小草平から下山を開始する.
”さて,オレはどうしよう? 一応,リハビリ登山の終点は小草平だが…”
私は少々迷うが,“体力は充分にありそうだし,まだ水も充分に残っている…じゃあ,おまけに萱場平まで行ってみるか”ということで,小草平を出発する.
■堀山の家で,再び休憩
小草平から先は,急な登り坂になる.私は,登り坂を覚悟して,坂道を登り始める.
登り始めて間もなく,前方からTNさんが降りてくる.こころなしか足元がちょっとふらついているようである.TNさんが,
「後七分坂の手前まで登ったんですが,やめて下山してきました…どこかて冷たい飲み物をゴクゴク飲みたいな…一緒に下山しませんか…」
と私を誘う.
私の”もう少し登ろう”という意欲は,TNさんの一言で一気に雲散霧消する.
”どうせ,リハビリ登山の目的地は小草平と決めていたんだ…これでいいのだ!”
ということで,先ほど歩き出したばかりの小草平に向けて下山開始.
数分後に,再び小草平に舞い戻る.そして,堀山の家が開店するのを待つ.
9時55分,堀山の家の女主人が到着する.
堀山の家が開店すると同時に,TNさんと2人で堀山の家に入る.TNさんが,冷たい物が欲しいと言うが,まだバッテリー駆動の冷蔵庫が冷えるまで時間が掛かるというので,今,女主人が荷揚げしたばかりのポカリスエットを分けて貰う,1本300円也.キンキンに冷たいというわけではないが,まあまあの冷たさである.
■観音茶屋
9時57分,堀山の家を出発する.下山はTNさんと一緒である.
先ほど通ったばかりの堀山の尾根道をTNさんの歩行速度に合わせて歩くが,急な下り坂になると,リハビリ中の私がどうしても遅れ気味になる.その都度,TNさんが私を待つ.
途中で,山旅スクール後輩のDIさんとすれ違う.
10時16分,駒止階段を下る.リハビリ中の私にとって鬼門の場所である.私は当然超ユックリペースである.それでも前回よりは格段に良いピッチで降り続けられるので,確実に回復しているなという確証が得られる.これは私にとって大変嬉しいことである.
10時30分,一本松上のベンチに到着する.
「ここでユックリ休みましょう…」
とTNさんがいう.酷暑で,大分,お疲れのようである.勿論,私にも休憩することに異論はない.
…と,いうことで,10時43分までノンビリと休憩を取る.
10時45分,一本松を通過.モミジ坂は,何とかTNさんのあ都について下るが,さすがに見晴階段の下りは先を行くTNさんと数メートルの差が付いてしまう.
10時58分,見晴茶屋を通過する.ここから先も,できるだけTNの歩行速度に合わせて歩き続けるように努力するが,少しずつ,少しずつ,間が開く.その度にTNさんが私を待つ.
11時15分,観音茶屋に到着する.
「…氷水,立ち寄りますか…?」
とTNさんが私に言う.私,即座に,
「寄っていきましょう…!」
<観音茶屋に到着>
■観音茶屋の氷水
観音茶屋で飲む氷水は最高.登山で火照った体を,体内から冷やしてくれる.
氷水を賞味しながら,小屋前を通過する登山客を眺める.
「…そろそろNMさんが降りてこないかな…」
とNMさんのご到着を待っているが,中々現れない.
今度の大倉発渋沢行のバスは12時15分発である.
「下でユックリ休みましょう…」
というTNさんの提案がある.
<観音茶屋の氷水>
■お前さん達何しているの…
観音茶屋を出発して間もなく.
「…あれま,こんなところで2組,良いことしているよ…」
とTNさんが,路傍の花を指さす.
この花,私には何という花か分からないが,薄紫の花の両側で,2組のハチ(かな?)がkoubi中である.
”これは珍しい写真が撮れるぞ…”
<2組の虫がkoubi中>
■大倉から帰宅
11時32分,観音茶屋から出発する.
私はどうしてもYNさんから遅れ勝ちになるが,これもリハビリ中なので致し方ない.とはいえ,私は,今回のリハビリ登山で,右膝の回復に確かな手応えを感じている.それにリハビリの回数を重ねる内に,やや遠くなりかけた塔ノ岳に対する関心が,かなり戻って来たような感じを受けている.
”この調子だと,塔ノ岳山頂までの復帰も,そう遠くない時期に可能かな…”
と思えてくる.
大倉発12時15分の路線バスに乗車する.
渋沢,小田原で電車を乗り換えて、13時12分に大船駅に到着する.電車の中で眠くて,眠くて…ついウトウトを何回も繰り返す.
<ラップタイム>
7:04 大倉発
7:10 登山口
7:15 克董窯
7:22 丹沢ベース
7:32 観音茶屋
7:35 分岐
7:51 雑事場ノ平(給水休憩)
7:54 見晴茶屋
8:18 一本松
8:45 駒止茶屋
8:52 堀山
9:12 堀山の家着(30℃)
※戸沢分岐目指して登りかけるが途中で戻る
9:57 〃 発
10:07 堀山
10:16 駒止茶屋
10:45 一本松(一本松上のベンチで10分ほど休憩)
10:57 見晴茶屋
10:59 雑事場ノ平
11:10 分岐
11:15 観音茶屋(11:32まで休憩)
11:42 丹沢ベース
11:47 克董窯
11:50 登山口
11:57 大倉着
[山行記録]
■水平歩行距離 4.1km(片道)
■登り累積登攀高度 673m
累積下降高度 47m
■登り所要時間(休憩時間込み)
大倉発 7:04
小草平着 9:12
(所要時間) 2時間08分(2.13h)
水平歩行速度 4.1km/2.13h=1.92km/h
登攀速度 673m/2.13h=316.0m/h
■下り累積登攀高度 47m
累積下降高度 673m
■下り所要時間(休憩時間込み)
小草平発 9:57
大倉着 11:57
(所要時間) 2時間00分(2.00h)
水平歩行速度 4.1km/2.00h=2.05km/h
下降速度 673m/2.00h=332.5m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/f92213e95a0727ae6b1d3ac6f56f419b
「丹沢の山旅」の次回の記事
(なし)