<なしの花を眺めながら…>
善光寺西街道;第1回;第1日目(3);郷原宿
(五十三次洛遊会)
2014年4月24日(金)~26日(日)
第1日目;2015年4月24日(金) (つづき)
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http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/9f4cc454d2acca1aa721627dabaf8308
<ルート地図>
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<桔梗ヶ原古戦場>
■桜とナシの花
蕎麦屋で昼食を終えた私達は,13時18分に蕎麦屋を出発する.そして,13時26分,先ほど枝道に入った中原交差点に戻る.ここから,再び善光寺西街道の続きを歩き出す.
街道の周辺には広々とした田園風景が広がっている.沿道の桜やナシの花が見頃を迎えている.何とも言えない長閑な風景が続く.
<見頃を迎えた桜とナシの花>
■郷原工業団地と中部電力塩尻変電所
資料1の地図によると,進行方向左手に,そろそろ太田一里塚跡があるはずだが,残念ながら,見当たらないまま,それらしい場所を通過してしまう.どうやら,私達が歩いている側の反対側に,太田一里塚跡を示す杭が立っていたようである.なお,太田一里塚は洗馬宿から1里目の塚である.
13時41分,信号郷原工業団地を通過する.沿道にはいわゆる中小企業の工場が立ち並んでいる.その中を淡々とした気分で,ひたすら歩き続ける.
13時54分,中部電力塩尻変電所の前を通過する.
<信号郷原工業団地> <中部電力塩尻変電所>
■桔梗ヶ原古戦場
地図を広げると,この辺り一帯は桔梗ヶ原古戦場のようである.
資料1によると,「天文22年(1553年)武田信玄が小笠原長時を打ち破った古戦場後」とのことである(資料2.p437にも同じ主旨の記述がある).原野荒野が広がっていたところだが,今は葡萄畑が広がっている.
また,「ここには玄蕃之丞という古狐がいて悪ふざけが好きだった.里人は玄蕃稲荷として祭り,夏には玄蕃踊りが披露される」という.
<郷原宿>
■郷原宿の由来
資料1によると,「小笠原氏の命により慶長十九年(1614年),奈良井川東岸にあった郷原村をこの地に写して宿駅とした.文化四年(1607年)の二度にわたる大火によって,今残っている建物は,それ以降の建造されたものである.
前庭を持ち勾配の緩やかな切り妻造りで,屋根の上には雀返しの本棟造りの家が残っている」とのこと.
■諏訪稲荷社
街道から左折して,150メートルほど入って,14時02分,諏訪稲荷社に到着する.この辺りが洗馬宿から2番目の宿場である郷原宿の入口である.
鎮守の森の中に立派な社殿が建っている.境内に人の気配は全くない.
私達は,境内で参拝を兼ねて立ち休憩を取る.
資料1によると,諏訪稲荷社は郷原の産土神のようである.
資料2(p.437)によれば,鳥居の扁額に書かれている文字は「諏方・稲荷社」.奥の鳥居には「正一位稲荷大明神」の額がかかっている.同資料によると,諏訪は後から合祀したものかもしれないとのこと.
<諏訪稲荷社>
■郷原宿入口
14時16分,郷原宿入口に立っている「善光寺街道郷原宿」の案内板杭のあるところに到着する.
2車線の道路だが,自動車の交通量が少ないので,閑静な雰囲気を醸し出している.
私は時計を見ながら,この分なら,16時過ぎには,本日の終点,JR松本駅に日のある内に到着できるなと確信する.
<郷原宿入口>
■郵便局と山城屋
ときどき選挙カーが通り過ぎる.
折から市会議員選挙を明日に控えている.議員候補者が私達のような行きずりに人間にも
「宜敷お願いします…」
と,何回も,何回も,がなり立てる.
“お願いしますを連呼するばかりでなく,もう少し具体的な施策でも言えば良いのに…”
と,当事者でもないのに,私は内心で少々憤慨している.それにしても,同じ候補者がほぼ同じ所をグルグルと回っているので,何回同じ候補の宣伝カーとすれ違う.その度ごとに,選挙権のない余所者の私達にも,”お願いします"である.
14時19分,郷原郵便局に到着する.郵便局の前には立候補者の顔写真が張り出されている.たまたまその中に,私達の中のお一人と同姓の○○という方が居られる.
「…おい! ○○,頑張れよ…!」
と同姓の仲間がエールを送る.
14時22分,「山城屋」という門札のある立派なお屋敷の前を通過する.資料1の地図によると,この辺りに上の問屋跡があるはずだが,この資料では,赤羽氏宅が上の問屋になっている.赤羽根氏宅は何処だろうとキョロキョロしている内に,どうやら上の問屋跡は通過してしまったようである.
<郷原郵便局> <山城屋>
■大黒屋と俵屋
道路の反対側に赤羽本陣跡があるはずだが,これも分からないまま通過してしまう.
資料1によると,「御本陣山城屋太郎右衛門」建坪百坪の本棟作りで,佐久間象山も宿泊しているとのこと.資料2(p.437)にも,「宿のほぼ中央に,ひときわ目立つ本棟造り,進め返しをつけた赤羽根治雄氏方」が本陣跡だという記述があり,写真も掲載されている.それにもかかわらず見付けられずに通過してしまうとは…“バカみたい,何とまあ頼りないことよ”と自分自身が情けなくなる.
本陣跡は見付けられなかったが,代わりに立派な構えの大黒屋と俵屋の写真を撮ってル院を下げる.
件のものを見付けられないところが,素人旅の情けないところでもある.
<大黒屋> <俵屋>
■古井戸
14時24分,古井戸に到着する.屋根のある立派な井戸である.井戸には蓋がしてある.資料2(p.436)によると,宿場内に,このような井戸が三箇所あったようである.
井戸の傍らにある案内板の記事によると,この辺りは水位が低いために,井戸堀に苦労したところである.この井戸は共同で使用され,管理されていたとのこと.
■下の問屋と郷原宿標識
14時26分,下の問屋に到着する.ここは脇本陣を兼ねていたという.
ここも赤羽氏宅.立派な本棟造りである.とりあえず写真を撮ってから,通過する.
14時29分,「郷原宿」と刻字のある大きな石標に到着する.後ろに「善光寺街道」という石柱が立っている.
<下の問屋> <郷原宿の石標>
■郷福寺
14時30分,郷福寺に到着する.
高野山真言宗の寺.筑摩第二十六番札所である.大きな寺.境内はひっそりと静まり返っている.
本堂はレンガ色.多分,茅葺きの屋根に覆いを被せたのではないかと勝手に想像する.
山門の右手に明治天皇郷原御膳水の石塔が立っている.
資料3の説明によると,「桔梗山郷福寺は,真言宗智山派の寺で,本山は高野山金剛峰寺である.郷原宿の北側で街道筋の東側にある.現本堂は,安政5(1858)年の大火以後の再建であるという.明治13(1880)年明治天皇御巡幸のとき,ここが御小休所となった.例年,節分の豆まきは盛大に行われる.」とのこと.
<郷福寺の山門> <本堂>
■芭蕉句碑と高札場
境内の一角に芭蕉句碑がある.安永四年(1775年)建立.
“野を横に
馬梗(ふき)むけよ
ほととぎす”
という句が刻字されているとのこと.
14時34分,郷福寺のすぐ隣にある高札場を見物する.この高札場,特に古いものではなく,最近造られたレプリカのようである.
<芭蕉の句碑> <高札場>
■竪石中町
14時41分,野田豆富店の前を通過する.「豆腐」が「豆富」となっているところが面白い.いかにも遊び心があって思わずニタニタする.もっとも資料1の地図には「豆腐」と記載されているので,この地図を参考にしながら作成した冒頭の地図も「豆腐」になっている.これもご愛敬.
14時45分,信号竪石中町を通過する.
15時05分,信号原新田ちかくにある「クスリのとをしやDrug」という店が,偶然,眼に入る.
「…丁度良い.ここで給水休憩を取りましょう…」
<野田豆富店> <クスリのとをしやDrug>
■少々暑いのでガリガリ君だ…
今日は4月下旬にしては少々暑い.
「…よぉし~っ! ガリガリ君だ…ガリガリ君,売っているかな…?」
店内に入る.お店の看板はドラグストアーだが,店内は一般のスーパーと余り変わらないほど豊富な品揃えである.勿論,ガリガリ君も売っている.
私も,釣られて,何となくガリガリ君を買ってしまう.
一同駐車場脇のブロックに座り込んで,ガリガリ君を囓りながら休憩を取る.
<ガリガリ君や飲み物で休憩>
■村井宿を目指して
15時15分,休憩を終えて,ドラッグストアーから歩き出す.
次の宿場,村井宿までは,あと4キロメートルほどの道のりである.どうやら,当初の予定通り,16時30分頃までには,JR村井駅に滑り込めそうである.
(つづく)
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(編集中)
[参考資料]
資料1;完全踏査海道マップシリーズ『ちゃんと歩ける善光寺街道』五街道ウォーク事務局
資料2;今井金吾,1994,『今昔中山道独案内』日本交通公社
資料3;http://www.city.shiojiri.nagano.jp/tanoshimu/manabinomichi/gakusyugaide/zenkojikaido.html
「善光寺西街道」の目次
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/33d3e4a1fc9831ac17b48baa1b527962
「善光寺西街道」の索引
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/f71644979892cd488cd56360b380d188
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