<塔ノ岳山頂から富士山を望む>
雨と残雪と素晴らしい眺望の丹沢;塔ノ岳(今年6回目)
(単独山行)
2015年1月28日(水) 雨後晴後曇
■予期しない雨
何時ものように4時10分に家を出る.
天気予報では今日から寒くなるとのことだったので,”寒いぞ!”と身構えて外に出たが,寒さはそれほどでもない.その代わりに冷たい風がビュービュー吹いている.この調子だと山頂は風が吹き荒れて随分と寒いだろうなと予想しながら,大船から小田原経由で小田急線渋沢駅に向かう.
渋沢駅に到着したときはまだ外は真っ暗.渋沢駅で駅のホームに入ってくる人達が傘を持っているのに気がつき,”ハッ”とする.
”今日は雨かな…”
とにかく駅の外へ出てみる.未だ真っ暗で冷たい雨が降っている.私は山へ登る意欲を失いかける.早速,携帯電話の有料気象サイトで丹沢地方の天気予報と雲の流れを見る.この予報だと,どうやら9時頃には晴れになりそうである.でも,今は傘が必要なほどの雨が降り続いている.
私はバス停と小田急線改札口の間を行ったり来たりしながら,登ろうか帰ろうか迷いに迷う.その内に,常連のYUさんがバス停に現れる.YUさんと雑談している内に,NMさん,SSKさん,NMさん,TDさん,IwIさん,TGさん他のご常連が次々にバス停に到着する.私は常連さんに後押しされたような気分で,とにかく大倉行のバスに乗車する.
■濡れた路面
7時10分,大倉から歩き出す.何時もより少し遅い出発である.今日も1人旅をするつもりなので,SSKさん達よりも,ほんの少し早く歩き出す.私はスロースターターである.歩き出しはかなりユックリと歩かないと後でバテてしまうこと必定.SSKさん達に程なく追い越されると予想している.
大倉付近の舗装道路は,雨でグショグショに濡れているが,意外に気温が高いのか凍結していない.
7時37分,観音茶屋を通過する.登山道は,この辺りから文字通り山道らしくなる.何時の間にか雨は小止みになっているが,足元の落ち葉に粉雪が降り積もっている.
<大倉付近の濡れた路面> <落ち葉に雪>
■薄らと雪化粧
雨は止んでいるが,辺り一面に霧が湧き始めている.どうやら雲の中に入ったようである.登山道周辺の杉林に雪が降り積もっている.雪化粧した林の見事さに感嘆しながら登り続ける.
途中で,後ろから堪えたTGさんに追い抜かれる.
7時53分,雑事場ノ平を通過する.雑事場ノ平のベンチにも薄らと雪が積もっている.
<雪化粧した杉林> <雑事場ノ平のベンチも雪化粧>
■見晴階段
7時55分,見晴茶屋を通過する.辺り一面に霧が立ちこめている,晴れていればここから相模湾の光る海が見える筈だが,今日は深い霧に視界が遮られている.残念!
見晴階段に差し掛かる.恒例の坂を見上げた定点写真を撮るが,坂の上の方は霧のために全く見えない.
”あの霧の中辺りにTGさんの後ろ姿があるはずだが…”
と思いなが,私は極々ユックリペースで登り続ける.
<見晴階段>
■駒止茶屋
見晴階段を登り切って,モミジ坂に差し掛かる.降雪が一段と増して,辺り一面の雪景色に変わる.シンドイ思いをしながらモミジ坂を登りきって,8時14分,一本松を通過する.
暫くの間,平坦な尾根道になる.私は一息入れながら歩き続ける.
8時26分,もうすぐ駒止階段に差し掛かるところで,
「FHさん,おはようございます…」
と後ろから話しかけてくる人がいる.30分も後の2番バスで来られたFTさんである.まだ1時間一寸しか歩いていないのに,もう追い抜かれるとは…何ということだろう.ただ,ただ,呆れるばかりである.
長い階段道をやっと登って,8時32分に駒止茶屋を通過する.大倉からの所要時間は1時間22分.路面状態が良くて体調が良いときの所要時間に比較すれば10分ほど余計に掛かっている.
<モミジ坂も雪化粧> <霧が掛かる駒止階段>
■堀山の尾根道
堀山の尾根道に差し掛かる.霧が一層深くなる.尾根道の木道に雪が降り積もっていて滑りやすくなっている.何時もなら,この辺りは全速力で歩くところだが,今日は雪で滑りやすいので,慎重に歩き続ける.
晴れていれば富士山が良く見えるところで,バカみたいに見えない富士山の写真を撮る.
8時42分,堀山を通過する.堀山から先の下り坂も,今日は慎重.
<堀山の尾根道は霧> <晴れていれば木の間から富士山が見えるはず>
■小草平
8時32分,小草平に到着する.大倉からの所要時間は1時間22分.随分と遅いが,やむを得ない.
小草平のベンチには誰も居ない.堀山の家も,今日は平日なので休業中.辺りには人の気配がない.小草平はそのまま通過,花立山荘までの長い登り坂に差し掛かる.
<小草平に到着> <堀山の家の屋根も雪化粧>
■萱場平
小草平から急坂を登り始める.私の前後には登山者の姿は全く見えない.完全な1人旅である.気楽ではあるがいささか寂しくもある.私は完全なマイペースで登り続ける.
9時12分,ようやく萱場平に到着する.小草平からの所要時間は22分.ちょっと遅いペースかな.
ここで定点観測の写真を撮ってから,小草平を通過する.小草平の泥道の上に新雪が降り積もっているが,半分融け出している.
9時26分,2本ストックを鮮やかに使いながら下山してくるYZさんとすれ違う.
あともう少しで後七分坂に差し掛かるところで,下山してくる韋駄天のNMさんとすれ違う.
<萱場平>
■花立山荘
後七分坂(花立階段)に差し掛かる.
今日は自重して歩いているので,疲労感は全くない.後七分坂をキッチリ7分で登って,9時38分に,ようやく花立山荘に到着する.大倉からの所要時間は2時間28分,数年前の私なら,とっくに塔ノ岳山頂に到着している時間である.小草平からの所要時間は46分.何れも不合格.
後七分坂の途中で私を追い抜いていった男性がベンチで休憩を取っている.
花立山荘に着いた途端に,青空が見る見るうちに広がり始める.
<花立山荘>
■素晴らしい風景に息を呑む
花立山に差し掛かる.住みきった青空が広がり始める.雪が残った木の枝が眩しく光っている.これはもう写真を撮るしかない.こうなったらラップなど気にしていられない.私は美しい光景を写真に撮りまくりながら牛歩である.
物凄く沢山の写真を撮ったが,その中から数枚だけ以下に披露しよう(いずれもクリックすると拡大表示).
<突然晴れ渡り樹氷が光る>
←クリック拡大
■鍋割山稜が見え出す
花立山山頂に差し掛かると,霧が晴れて雪化粧した鍋割山稜が見え出す.
<花立山山頂>
←クリック拡大
■花立山山頂
9時48分,花立山山頂に到着する.花立山荘で休憩を取っていた男性にまた追い越される.
「素晴らしい景色ですね…」
男性と二言三言雑談をしながら,辺りの写真を撮りまくる.
<花立山山頂からの眺望>
←クリック拡大
■馬の背から鍋割山稜を望む
馬の背に下る斜面が凍結していてとても滑りやすくなっている.さすかにここだけはアイゼンが欲しくなる.でも,ほんの一寸の距離なので,あちらこちらに捉まりながら,やっと通過する.
相変わらず雪化粧した鍋割山稜が良く見えている.ここで枚数が数えられないほどの写真を撮る.
”それにしても,何とも見事! 綺麗だな!”
<馬の背から鍋割山稜を望む>
←クリック拡大
■金冷シ
9時54分,金冷シに到着する.もうここまで来れば,塔ノ岳山頂までは後僅かである.
残雪のために,登山道周囲の風景が.ますます魅力的になる.特に今晴れたばかりの青空にクッキリと映える樹氷の美しさにウットリとしてしまう.
”こんな機会は滅多にないな…”
今日の私は,専らこの美しい風景を目の前にして,
”こうなれば尊仏山荘に立ち寄るのを止めて,もっぱた写真撮りに徹しよう…”
と思う.
<山頂近くの樹氷>
←クリック拡大
■塔ノ岳山頂
写真を撮りながら塔ノ岳山頂を目指す.
10時12分,ようやく塔ノ岳山頂に到着する.山頂の気温はマイナス4℃.無風.日光が降り注いでいるので,体感温度は随分と温かい感じである.
大倉からの所要時間は3時間02分.3時間以上掛かってしまったのは残念だが,途中で写真を撮るのに随分時間を費やしているので,3時間を越えてもやむを得ないなと自分でも思う.
山頂で休憩を取っている登山者はたった1人.閑散としている.尊仏山荘の窓を見ると,先に山頂に到着したKIさん,MTさん,FTさんの姿が見えている.
<塔ノ岳山頂>
■富士山とネコ
山頂には積雪が少しある.でも体感温度は温かい.富士山をバックに,白いネコ1匹が気持ちよさそうに動き回っている.ネコも気持ちが良いんだろう.
思いつきで,このネコと富士山を入れた写真を撮る.これが本当の山ネコなのかな.
この白いネコ,尊仏山荘の華伊達美弥雄さんには認知されていない.一体どうなるんだろう? 可哀相だが,困ったものだ.
<富士山と野良ネコ>
■眺望を楽しむ
今日の山頂からの富士山の眺望は,眼下に広がる雲の流れと相まって,正に息を呑むほど素晴らしい.当然私はここで十数枚の写真を撮りまくる.
<塔ノ岳山頂から富士山を望む>
←クリック拡大(パノラマ写真)
■塔ノ岳裏手に回る
塔ノ岳山頂で写真を撮っていると,尊仏山荘で休憩を終えたTGさんが山荘から外へ出てくる.早めに下山するとのことである.
TGさんとお別れした後,私は塔ノ岳山頂の裏手に回ってみる.登る途中で私を2回追い抜いた男性がアイゼンを装着中である.彼はこれから丹沢山辺りまでピストンするとのことである.
男性に誘発されて,私も塔ノ岳山頂の裏手に一寸だけ回ってみる.塔ノ岳裏手からの富士山の眺望はまた素晴らしい.私はさらに何枚もの写真を撮る.
<樹氷は花盛り>
←クリック拡大
■尊仏山荘には立ち寄らずに下山開始
そろそろ下山しようかと思う.
塔ノ岳山頂に戻った序でに.尊仏山荘の窓越しに,中に居るご常連に,時間が押しているので,山荘には寄らずに真っ直ぐ下山するとボデーランゲージで伝えてる.
丁度そのとき,SSKさんとNMさんのお二人が山頂に到着する.
10時25分,SSKさんと入れ替わるようにして私は下山開始である.
登山道には,僅かながらも残雪がある.とくに木道は滑りやすいので,結構気を使う.でも,下りでは同じ雪景色でも登りのときとは違った印象を受けるので,またまた写真ばかり撮っていて,なかなか埒があかない.
<残雪の階段道を下る>
■金冷シ
10時43分,金冷シに到着する.
お名前は失念したが顔見知りの男性が,金冷シで立ち止まっている.私は,
「こんにちは…どうしたんですか?」
「…いえ,実は小丸の方へ行こうか,それとも塔ノ岳山頂の方へ行こうか迷っているんです…」
とのこと.要するにどちらへ行けば素晴らしい樹氷が見られるかで迷っておられるとのこと.
「いっそのこと両方行ったら…」
と無責任な提案をする.
結局,彼は塔ノ岳に向かった.
馬の背の登り坂に差し掛かる.凍結していて下りで往生したところだ.ちょうど女性が急坂を下ってくる.
「山頂までこんななんですか…?」
と私に聞く.
「いえ…ここだけですよ…」
■大倉の長閑な風景
花立山荘を通過すると,一気に温かくなる.路面の雪も殆ど融けている.ただ相変わらず濡れていて滑りやすい.下山途中,ときどき登って来る登山者とすれ違う.濡れたガレ場と木の階段は特に滑りやすいので,慎重に下山し続ける.
萱場平の泥道も半ば融出していて泥んこの洗礼を受ける.
私は,大倉発12時52分のバスに乗車したいなと思っている.そのバスの時刻を頭の片隅に入れて,適当な速度で下山し続ける.
11時51分,駒止茶屋を通過する.これなら52分のバスに十分間に合うなと思いながら,駒止階段を下る.
12時15分見晴山荘を通過する.ここからは少々テンポを速めて下り続ける.
丹沢ベースに近付く頃,先に下山開始のTGさんに追い付く.失礼して先に行かせてもらう.
12時38分,登山口に到着する.ここからは自動車道路である.
前方には,ロウバイが咲き乱れる長閑な景色が広がっている.毎度のことながら,ここの景色を眺める度に,
”こういう長閑なところに住みたいな…”
と思う.
<長閑な大倉の周辺>
■無事大倉に下山
12時44分,無事,バス停大倉に到着する.
改めて今日は雨に惑わされて途中で帰らずに登山をして良かったなと思う.
”だって,樹氷と富士山の素晴らしい風景を堪能できたんだから…”
水道で,登山靴の泥を洗い流してから,自動販売機で炭酸飲料を購入して一息入れる.その間に,KIさん,FTさん,MTさん,TGさんが一緒に大倉に到着する.
下山所要時間は雑談時間込みで,2時間19分.
予定通り12時52分のバスに乗車する.
■取りあえずはコーヒーだ!
渋沢駅での電車の接続は余り良くなかったが,小田原駅で小田原始発東京行の電車に乗り換える.大船までずっと4人掛け1ボックスを独り占めのユッタリ旅である.
今日は山頂で昼食を摂る時間がなかったので,電車の中で少々遅めの昼食をユッタリ気分で頂く.何ともいえない満足感.
このまま帰宅するのも勿体ないので,駅構内のBecker'sで,レギュラーサイズのコーヒーを賞味する.
<Becker'sのコーヒー>
■今日も"良かった!良かった!"
15時頃,無事帰宅.
早速,山行で着ていた衣類を全部洗濯する.
そして,少々早めにノンビリ風呂を楽しむ.風呂の中で,塔ノ岳を往復した充実感,満足感を味わう.
気分が良くなったところで,描きかけの水彩画の制作に取りかかる.実に満ち足りた良い気分である.
…ん,な訳で,今日も”良かった!良かった!”
<ラップタイム>
7:10 大倉歩き出し
7:37 観音茶屋
7:55 見晴茶屋
8:32 駒止茶屋
8:52 堀山の家
9:38 花立山荘
9:56 金冷シ
10:12 塔ノ岳 着(-4℃)
10:25 〃 発
10:43 金冷シ(10:46まで雑談)
11:20 花立山荘
11:34 堀山の家
11:51 駒止茶屋
12:15 見晴茶屋
12:25 観音茶屋
12:44 大倉着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1,269m
■登攀所要時間(雑談時間を含む)
大倉 発 7:10
塔ノ岳 着 10:12
(所要時間) 3時間02分(3.0h)
水平歩行速度 7.0km/3.00h=2.33km/h
登攀速度 1,269m/3.00h=423.0m/h
■下降所要時間(休憩時間を含む)
塔ノ岳 発 10:25
大倉 着 12:44
(所要時間) 2時間19分(2.32h)
水平歩行速度 7.0km/2.32h=3.02km/h
下降速度 1,269m/2.32h=547.0m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/c41534db6ed92b4eb7033ff19fdff33e
「丹沢の山旅」の次回の記事
(なし)
※誤字脱字転換ミスは後刻訂正する.
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雨と残雪と素晴らしい眺望の丹沢;塔ノ岳(今年6回目)
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