<堀山の尾根道の紅葉>
久々に富士山を仰ぎながら登る丹沢;塔ノ岳(今年55回目)
(単独山行)
2014年11月15日(土) 快晴
■朝が寒くて辛くなった
今回の塔ノ岳詣では,今年になってやっと55回目.前回の塔ノ岳から1週間も間が空いてしまった.これではなかなか脚力が回復しないなと思いながら,何時ものように4時10分に自宅を出発する.秋も11月半ばを過ぎると,朝晩の気温は大分寒くなる.家から一歩外に出ると寒さのショックで身が縮む.
“何も好き好んでこんな寒い日に,わざわざ出掛けるなんて,お前さんの気がしれない…”
と私の心の奥底に巣喰っている怠惰なもう一人の私が愚痴を言う.
“まあ,そんなこと言わないで…今日は天気も良さそうなんで,塔ノ岳へ行けばきっと良いことがあるよ…”
と怠惰な自分に言い聞かせる.
夜道を大船駅まで急ぐ,真っ暗で長い階段道を降りるとこは,さすがに心細い.一時まで賑やかに啼いていたコーロギはもう居ない.それに,暗闇で,突然,新聞配達の人とすれ違って,ギョッとする.
未だ真っ暗な大船駅から東海道本線初電に乗車する.こんなに朝早くなのに.平日に比較して乗客の数はかなり多いようである.
小田原で小田急電車に乗り換える.電車がようやく新松田に到着する頃.ようやく夜が明け始める.どうやら今朝は良く晴れているようである.夜明けの空に富士山と矢倉岳がクッキリと見え始める.富士山の8合目辺りから上は降り積もった雪で真っ白になっている.
■大勢のご常連
6時21分に渋沢駅に到着する.大倉行バス乗り場に1番乗りかと思ったら,もう数名の方が並んでいる.バス停近くの柱の陰でストレッチをする.電車が渋沢駅に到着する度に.沢山の登山者が行列に加わる.たちまちの内に長蛇の列になる.
駈けっこのHさんとお仲間,YKさん,TGさん,KMさん,TDさん,KIさん,SSKさん,NMさん,HDさん,YDさん,NMさんのお友達のTNさん,HNさん,STさんなど実に沢山のご常連の顔も見えている.6時40分に大倉行臨時バスが出る.超満員.
バス停大倉で正規の1番バスで来られる常連の方々をお待ちする.そして,7時12分,何時もより少々遅めの時間に大倉から歩き出す.奇しくも10名ほどの常連の皆さんが一緒である.まさに壮観.
毎度のことながら,私は歩き出し直後はなかなかリズムに乗った歩きができない.バス停大倉を出発した直後は集団に先頭の方に居たにもかかわらず,登山口付近では大方の皆さんから随分と引き離されてしまう.そうなるとどうしても焦りが出てくるが,ここで無理をしてしまうと,花立山荘手前辺りでスタミナ切れすることが自明.焦る気持ちを抑えながらまいぺーすを守らなければならない,これには結構な自制心が必要である.
<沢山の常連と一緒に大倉から歩き出す> <登山口付近で置いてきぼり>
■見晴階段
7時30分,丹沢ベースを通過する.この辺りまで登る続けると,私の体調も何とか登山モードに切り替わるので,歩くのが楽になる.私は終始一定速度で歩いているが,逆に当初は速い速度で登ってこられた方々の速度が遅くなり始めるので,次第に集団の末尾に急襲される.
7時39分,観音茶屋に到着する.一部の方が,ここで衣服調整をされる.高速のTGさんも衣服調整される皆さんにお付き合いされるようだが,歩きの遅い私は,休憩を取らずにそのまま登り続ける.そんなわけで,ここから先は山頂まで一人旅になる.
7時58分,見晴小屋を通過する.大倉からの所要時間は46分.
“ありゃ~っ…,自分の標準時間より4分余計に掛かっているな…”
ちなみに,私の大倉見晴小屋間の標準時間は42分である.
すぐに見晴階段に差し掛かる.例によって,階段を見上げた写真を撮る.今日は土曜日.登山客が多いので,沢山の登山客の後ろ姿が写っている.その中には常連の皆さんもチラホラ見えている.
<見晴階段>
■駒止階段
8時15分一本松を通過する.この辺りの紅葉の見頃はまだまだ先のようである.一本松を通過して平坦道に差し掛かる.これまでの坂道が終わって,平坦道になるので,ホッとする場所でもある.一本松のすぐ上にあるベンチは登山者で鈴なりである.ベンチで休憩を取っている方々の中には,つい先ほど私を猛烈な勢いで追い越していった方々も居られる.そんな方々を見ると私は何となくガッカリした気分になる.
駒止階段に差し掛かる.この急坂をあまり張り切って登ってしまうと後半でバテることは火を見るよりも明らかである.私は自分のはやる心を抑えるのに苦労しながらも,ユックリ,ユックリ,理性的に登り続ける.そして,8時36分に駒止茶屋を通過する.
大倉からの所要時間は1時間18分.何ともはや筆舌し難い大馬鹿所要時間である.ユックリマイペースで少なくとも1時間08分程度で登りたいものである.
<緑陰の駒止茶屋>
■堀山の尾根道からの富士山
堀山の尾根道に差し掛かる.この辺りを歩くのは登り下りともに実に楽しい.今日は特に天気が良いので,表尾根の山々から富士山まで実に良く見えている.
堀山の見晴の良いところで,暫く立ち止まって,富士山の写真を10枚ほど撮りまくる.私の写真の腕が悪いこともあって,綺麗な富士山の写真を撮るのは至難の業である.折角撮った写真の大半は露出オーバーになってしまい,富士山の存在すら写らない.やっと富士山が何とか写っているのが下の写真である.
“実際の富士山はもっとハッキリ,スッキリ見えるのに…”
口惜しいけど,写真が苦手な私には致し方ないことである.
大分道草をしてしまい,ようやく8時40分に堀山を通過する.
<堀山の尾根道から富士山を望む>
■小草平
8時30分,小草平に到着する.
まだ時間が早いのに,もう堀山の家が開店している.
“ちょっと挨拶していこうか…”
と思ったが,山荘の入口近くにはどなたも居られないようなので,そのまま通過する.
小草平からも富士山が良く見えている.
ここでも富士山の写真を数枚撮るが,富士山が写っている写真は,残念ながら一枚もない.
それに困ったことに,予定以上のペースで写真を沢山撮ったので,デジカメの電池が無くなってしまう.リュックの奥底に予備の電池が入っている筈だが,わざわざリュックをひっくり返して探すのも大変である.私はやむなく携帯電話をカメラ代わりに使うことにする.
■萱場平
9時08分,ようやく萱場平を通過する.小草平でもう9時を過ぎているとは,何ともはやどうにもならないな…遅足が実に口惜しいが,こればかりはどうにもならない.
私は携帯電話を使って,定点観測用の写真を撮る.どういう訳か,偶然にも沢山の登山客の後ろ姿が写ってしまう.
今日の萱場平は,柔らかな冬の日差しがタップリ降り注いでいる.実に気持ちが良い.
<萱場平>
■後七分坂
もう少しで,後七分坂というところで,下山してくる韋駄天の女性,ITさんとすれ違う.
“おや,まあ…”
ということで握手.
9時23分,後七分坂(花立階段)に到着する.
ここからの富士山の眺めも素晴らしい.なぜか分からないが,ここからの富士山は私のバカカメラでも,毎回良く撮れるから不思議である.雲一つない青空にクッキリの富士山は実に素晴らしい.
<後七分坂からの富士山>
■花立山荘
後七分坂を登り始める.相変わらず遅足のマイペースだが,それでも立ち止まりそうな歩きをしている方々を2~3人追い抜く.
後七分坂を3分の2ほど登った頃,斜め後ろからハアハアという息遣いが聞こえてくる.どなたかなと思いながら,私を追い越すのを見送る.なんと200名山を完歩されたNMさんである.さすがにお強い.私をグングンと追い越して行かれる.
一瞬,NMさんの後を付けて登ろうかと閃くが,まてよ…と自分を制御する.
9時30分,ようやく花立山荘に到着する.
大倉からの所要時間は2時間19分.
“ガクッ…! 何と遅いことよ!いくら何でも遅すぎる!”
でも,小草平からの所要時間は,私の標準ピッタリの40分である.小草平からの所要時間は決して遅くはない…ということは,大倉から見晴山荘辺りまでノンビリ歩きすぎたということだ.
私は花立山荘でも休憩を取らずにそのまま歩き続ける.
<花立山荘> <私を追い越したMNさんたち>
■写真を撮りながら花立山を通過
今日は久々の日和である.花立山まで道すがら写真を撮りなが登り続ける.ただし携帯電話のカメラで…残念ながら,見るに耐えられる写真は全く撮れなかった.
富士山だけでなく,幾分霞みながらの南アルプスの山々も見えているような気がする.
8時42分,花立山を通過する.花立山荘からの所要時間は11分.途中で写真を沢山撮っていたために標準時間を2分超過している.まあいいさ!
9時45分,金冷シを通過する.
金冷シから2番目の階段を登っているときに,早々と下山してくるYDさんとすれ違う.山頂が寒いので先に下山するとのこと.下山してくるMGさんKIさんともすれ違う.
■塔ノ岳山頂
10時01分,漸く塔ノ岳山頂に到着する.
山頂の気温は+1℃.やっぱりかなり寒い.冷たい風も吹いている.相変わらず富士山が良く見えている.遠くの南アルプスもボンヤリながら見えている.11月下旬に近付くと気候も安定してくるのが良く分かる.
山頂では,10名ほどの登山客が休憩を取っている.
今日の大倉からの所要時間は2時間49分.情けない記録である.花立山荘からは丁度30分,私のひょうじゅんである.ただ,金冷シからは16分,1分余計に時間が掛かっている.
<塔ノ岳山頂から富士山を望む>
■尊仏山荘
すぐに下山しようかとも思ったが,今日は大倉発13時10分のバスに乗るようにとのお達しがある.NMさん200名山登頂記念パーティに出席するためである.
このまま下山したら早すぎるので,久々に尊仏山荘に立ち寄る.TT夫妻など常連数名が先客.小屋番はオーナーのHDさん他お二人.何時ものように300円也のお茶を所望する.
私の直ぐ後にNMさん達が到着する.
石油ストーブ前の特等席に華伊達美弥雄さん(ネコのこと)が鎮座している.私が呼びかけても耳を一寸動かしただけで,気持ちよさそうに居眠りをしている.
<華伊達美弥雄さん>
■堀山の家
11時24分,尊仏山荘を出発する.何時もより少々遅めの下山開始である.
今日は土曜日.次々と切れ目無く登って来る登山者とすれ違いながらの下山は実に大変である.平素から弱気の私はついつい遠慮して場所を譲るので,下山するのに随分と余計に時間がかかる.
10時35分,金冷シを通過する.ここで1番バスでご一緒した多数の方々とすれ違う.
11時49分,花立山荘を通過する.
後七分坂を通過したところで,私より後から下山を開始したHNさんが私に追い付く.ここから大倉までHNさんと一緒に下山する.
その後も,登ってくる登山客とすれ違いながら,焦れったい下山を続ける.
12時18分,小草平に到着する.小草平のベンチは登山客で満杯.
「堀山の家に立ち寄りましょうか…」
ということで,2人一緒に堀山の家に入る.先客はKIさん.
堀山の家の女主人なっちゃんが愛想良く私達を出迎える.早速,300円也のコーヒーを所望する.2切れの菓子が添えられている.さくさくとしていて美味!.
携帯電話のカメラで写真を撮る.意外によく写るのでビックリする.
<堀山の家のコーヒーはお値打ちだ>
■渋沢駅でまた休憩
約10分のコーヒーブレークの後,女主人が,山荘前で,KIさん,HNさん,それに私の3人の写真を撮る.
女主人が鳴らす鐘の音に見送られて,11時28分,下山開始.
同行のHNさんが結構俊足で下山し続ける.私も惰性でHNさんの後に付いて下山し続ける.会長に飛ばして,12時32分にバス停大倉に到着する.
下山所要時間は,休憩時間込みで2時間11分.
今日は13時10分のバスに乗車するようご託宣があったが,その前のバスに十分に間に合う.私はデジカメ用の乾電池を補充したかったので,12時40分発渋沢行のバスに乗車する.
渋沢駅に到着してから,近くにコンビニがないかと探すが見当たらない.乾電池購入は諦めて,渋沢駅ビル内のミスタードーナッツに入る.MGさん,YDさん,STさんの常連3人が先客.
私は先ほど堀山の家でコーヒーを賞味したばかりだったので,ここではコーヒーを所望する.これがまた実に美味である.
“う~ん…たまには紅茶も良いな…”
そういえば山学校で,“疲れたときは熱い紅茶が一番だ”と山岳ガイドから聞いたことがある.
<ミスタードーナッツで紅茶を賞味>
■NMさん200名山登頂記念
これからMNさんの200名山登頂記念パーティに出席する予定である.
大倉発13時10分のバスに乗車された方々と一緒に,会場最寄り駅の東海大学駅に移動する.渋沢駅から新宿方面へ二つ目の駅である.
駅から何処をどう歩いたのか,人の後を,ただ,くっついて行った私には良く分からないが,小綺麗なお店である.飲み放題食べ放題でお一人2000円.コストパフォーマンスがなかなか良いお店である.
当事者であるNMさんの挨拶を皮切りに楽しい懇親会が始まる.
一口に.200名山を登ると言っても,その労苦は大変なことである.なまじっか山を囓っている私にも,その労苦の大変さは心底から理解できる.その行動力,決断力,体力等々,まさに和製サッチャーさんではないかと感銘を受ける.
“オレには到底真似できないな…素晴らしい記録だ!”
私は口には出さないものの,この途轍もない大記録に大いに感銘を受けている.
<NMさん200名山登頂記念パーティ>
■パーティの料理
今回のNMさん200名山登頂記念パーティで賞味した料理の写真を掲載する…が,私尾は食べ物と花の名前は全く分からないので,写真だけ披露することにしよう.
とにかく量が多いので,後半は殆ど食べられない状態であった.なお写真は1皿4人前である.
<パーティの料理> <NMさんから配られたネーベン>
■塔ノ岳常連の鎌倉紅葉散策決まる
かねてより,ご常連の何人かから要望があった鎌倉紅葉散策の日程が,今回ご出席の御陵連とのすりあわせで内定した.鎌倉の住民の一人として,とても嬉しいことである.
“さて,どこをどんなルートでご案内しようかな…”
案内役を仰せつかっている私は,今からもう迷いに迷っている.鎌倉の紅葉が見頃になる日よりはかなり早い時期の開催になるが,さて,どうしよう…?
■後の祭り!
16時40分頃,記念パーティが無事終わる.
塔ノ岳に登るときは,何時も渋沢から小田原経由で大船まで戻ることにしているが,ここは東海大学前.渋沢から駅二つ新宿寄りである.
”さて,小田原経由か,それとも相模大野…?”
迷った揚げ句,相模大野経由…ということにする.
相模大野から各駅停車に乗換る.さらに大和で快速急行とやらに乗り換えて,16時56分に藤沢駅に到着する.ところが不沢駅での接続が悪くて,東海道本線上り電車に15分近く待たされる.さらに自宅近くを通るバスに乗るのに25分も待たされる.
”やっぱり,小田原経由の方が良かったな…”
毎度のことながら,こういうのを“後の祭り”という.
<混雑する東海大学前駅ホーム>
■今日も“良かった!良かった!”
ともあれ,暗くなってはしまったものの,17時過ぎに無事帰宅する.
今日は無事に塔ノ岳を往復することができたし,200名山登頂のNMさんから勇気を分けて貰ったし,鎌倉散策の日程も決まったし…とにかく良いことずくめの一日であった.
そんなわけで,今日も“良かった!良かった!”である.
<ラップタイム>
7:12 大倉歩き出し
7:39 観音茶屋
7:58 見晴茶屋
8:30 駒止茶屋
8:51 堀山の家
9:30 花立山荘
9:45 金冷シ
10:01 塔ノ岳 着(+1℃)
10:24 〃 発
10:35 金冷シ
10:49 花立山荘
11:18 堀山の家(11:28までコーヒーブレーク)
11:42 駒止茶屋
12:02 見晴茶屋
12:12 観音茶屋
12:32 大倉着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1,269m
■登攀所要時間(雑談時間を含む)
大倉 発 7:12
塔ノ岳 着 10:21
(所要時間) 2 時間49 分(2.82h)
水平歩行速度 7.0km/2.82h=2.48km/h
登攀速度 1,269m/2.82h=450.0m/h
■下降所要時間(休憩時間を含む)
塔ノ岳 発 10:21
大倉 着 12:32
(所要時間) 2時間11 分(2.18h)
水平歩行速度 7.0km/2.18h=3.21km/h
下降速度 1,269m/2.18h=582.1m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
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(なし)
※誤字脱字転換ミスご容赦.