<小草平付近の紅葉>
山麓の紅葉と曇り空の丹沢:塔ノ岳(第54回)
(単独山行)
2014年11月8日(土) 曇一時霧雨
■やっぱり朝は辛い
子に時期になると,朝晩の気温が随分と低くなる.そうなると,いくら早起きの私でも,早朝,3時に起床するのは辛い.
“天気が悪いとか,のっぴきならぬ用事とか,とにかく何か丹沢へ出掛けられない理由はないかな…”
と怠惰な気持ちが,ふと心の中を過(よ)ぎる.
“何をブスクサ言っているんだ…さあ,出掛けるぞ…!”
私は体内に巣喰うもう一人の私に急き立てられるようにして,4時10分に家を出発する.上空を分厚い雲が覆っているらしく,星ひとつ見えない.もう,コーロギも鳴かない真っ暗な道を大船駅まで急ぐ.
東海道本線の電車から,小田原駅で小田急線の電車に乗り換える.外は未だくらい.小田原始発の電車のシートが冷たい.まだ車内の暖房が十分に利いていないようである.電車が渋沢駅に到着する頃,ようやく辺りが明るくなる.今朝も,また,大倉行バス停前に私が一番乗りである.
渋沢から大倉行の臨時バスが出る.乗り合わせた常連は,駈けっこのHさん,YUさん,TDさん,KMさん,TNさん,SSKさん,IIjさん,編集長のYKさん他.さらに1番バスにはKIさん,MTさん,YDさん,STさん.また次のバスでMGさん,FTさん,TGさん.
■大倉から歩き出す
神奈美展などで,塔ノ岳詣でに2週間余りのブランクがあった私は,この間の水曜日からようやく塔ノ岳詣でを再開したばかりである.したがって,今日の段階では,最大の目標を,まだ,無事に塔ノ岳山頂を往復することに置こうと心に決める.
7時丁度に,近くに居られる常連の方に,
「まだご一緒できるほど速く歩けないので先に出発します…」
と挨拶して,大倉から歩き出す.
私の前には,先に歩きだした常連の方々の後ろ姿が見えている.
歩き出してみると,今日の私の体調は,まあ,まあ,良さそうである.気温が何度あるか分からないが,もう立冬ということもあって,いくらか寒いぐらいで,ある国は丁度良い.
登山口付近で,常連ではない女性が,私に会釈しながら猛烈な勢いで私を追い越して行く.
“この方は,すぐにバテてしまうだろうな…私はどこで追いつけるかな…”
と思いながら,先を譲る.
7時16分,丹沢ベースを通過する.登山道の勾配がほんの少し急になるところで,先ほど私を追い越した女性が汗ビッショリになって路肩で立ち止まっている.私は会釈して件の女性を追い越して登り続ける.
■見晴階段
7時39分,見晴小屋を通過する.大倉からの所要時間は39分.何時もよりいくらか速いかな…
見晴階段に差し掛かる.例によって定点観測の写真を撮る.丹沢ベースを過ぎる頃,私を追い抜いた常連の方に,雑事場ノ平辺りで,再び追い付く.この方の歩行速度が.私と殆ど同じなので,暫くの間,抜くに抜けず,距離を広ようにも広がらず,後ろに付ける状態のまま.この方の後ろ姿が偶然に写っている.
マイペースで,見晴階段を登り終えて,モミジ坂に差し掛かる.モミジ坂の紅葉はほんの少し色付き始めたところで,見頃はまだまだ先.
やがて一本松に差し掛かる頃,土曜日のマドンナさんに追い付く.
「…平らな所だけの空元気です.(小草平から先の)急坂でまた追い越して下さい…」
と妙な挨拶をして,先に行かせてもらう.
「ここも,結構,急坂ですよ…」
とマドンナさんが混ぜ返す.
この辺りから完全な一人旅になる.
<見晴階段>
■駒止階段
駒止階段に差し掛かる.
階段を見上げると,沢山の登山客が列になって登っている.
“ありゃ~ぁ…っ! 参ったナ!”
私の歩行速度は決して速くはないが,それでもすぐに行列の末尾に追い付く.この集団はわざわざ大阪から来られた方々のようである.末尾の方が気を利かせて,
「追い越しがありますよ…」
と列の前方に声を掛けてくれる.
“追い越しがあるって言われても…そんなに速く歩けないよ…”
私は心の中で悲鳴を上げる.こんな坂道を急いで登ったら,とてもじゃない! 後が続かない.
「そんなに速くは歩けませんよ…」
とお断りしてから,ゆっくりと追い越しを続ける.
8時06分,それでも長い行列を追い抜いて,駒止茶屋に到着する.大倉からの所要時間は1時間06分.まあ,今の私には,こんな程度か…と納得する.
“この調子だと,塔ノ岳山頂までの所要時間は2時間40分前後だな…”
と予測する.
<大阪から来られたグループ>
■堀山の尾根道
堀山の尾根道に差し掛かる.毎度のことだが,この辺りに差し掛かると,実に気分が良くなる.美しい樹木に囲まれた尾根道を歩いていると,実に気分が良くなる.ついついハッスルして歩行速度が速まる.
8時16分,堀山の標識を通過する.今日は残念ながら富士山は全く見えない.
この写真を撮った直後,後から来られた俊足のYDさんに追い抜かれる.実力の差だから仕方がないが,ちょっと口惜しい.
<心地よい尾根道> <見えない富士山を撮る>
■小草平
8時24分,小草平に到着する.堀山の家はまだ開店していない.小草平のベンチには,まだ登山客は居ない.富士山も見えない.辺りは静まり返っている.
大倉からの所要時間は1時間24分.可もない不可もない程度のラップである.ここで休憩は取らずにそのまま歩き続ける.
ここから,見晴山荘までの急坂を,今日は40分掛けて登ろうと頭の中で計算する.
<小草平>
■萱場平
自分のペースを崩さないように注意をしながら,急坂を登り続ける.
ガレ場を過ぎると階段道が連続する.後ろから威勢の良い足音が聞こえる度に,若者に次々に追い越される.そんな私でも,ときには何人かの方々を追い越す.私が追い越す方々は全員オーバーペース.
“もっとユックリ歩けば,結果的に楽に速く歩けるのに…”
私は立ち往生している方々に,山の歩き方の初歩を教えてあげたい気分になるが,そんなことは僭越で余計なこと,会釈して,申し訳なさそうな顔をして,先に行かせてもらう.
8時42分,萱場平に到着する.早速,定点観測の写真を撮る.
木道の間に繁茂するアザミは,大分元気が無くなっている.もうすぐ,このアザミともお別れだな…少々感傷気味になって萱場平を通過する.
<萱場平> <萱場平のアザミ>
■花立山荘
萱場平を通過してからも所定のペースのまま登り続ける.登りながらいろいろなことを考える.これがまた楽しい.途中で,何人もの方々に追い越されたり,追い越したりを繰り返しながら淡々と登り続ける.
後七分坂に差し掛かる手前で,KIさんとMTさんのお二人に追い抜かれる.これもまた致し方ない.
8時59分,後七分坂(見晴階段)に到着する.丁度このとき,後から来られたYUさんとTNさんのお二人にまた追い抜かれる.これもまたやむを得ない.でも,続けざまに4人のご常連に追い抜かれると,さすがに気落ちする.
“もう,どうでもいいや…”
ちょっと投げやりな気分になり,後七分坂を8分掛けて登り,8時06分に花立山荘に到着する.
大倉からの所要時間は2時間06分.まずまずの所要時間である.小草平からの所要時間は42分.こちらは後七分坂の前後で多少手を抜いた関係で,所定の時間を2分オーバーしている.ちょっとしたことが,鋭敏に結果に影響することが良く分かる.
花立山荘付近から先には濃い霧が立ちこめている.
<花立階段>
■初冬を思わせる花立山
花立山荘を過ぎると,辺りの雰囲気が一変して,初冬を思わせるような風景になる.
霧雨が降り始める.衣服が濡れるほどの雨ではないが,何とも気が重くなる.この辺りは,晴れていれば展望が楽しめる場所だが,今日は残念.でも性懲りもなく周囲の風景をデジカメに収める.
9時15分,花立山を通過する.ここまで登れば塔ノ岳山頂も後僅か.気が楽になる.
<花立山山頂> <初冬を思わせる風景>
■霧の塔ノ岳山頂
9時20分,金冷シを通過する.私の前後に登山者が居ないので全くの一人旅である.私は無理をしないように注意しながら階段道を登り続ける.ついつい速歩になる癖があるので要注意だ.バテてしまったら元も子もない.安全第一を標榜する自分の信念に反することだけはしたくない.そんなことを意識しながら登り続ける.
あともう少しで山頂直下の木道というところで,下山してくるYDさんとすれ違う.
「山頂は寒いので下山します…」
とのこと.
9時34分,無事,山頂に到着する.気温+6℃.ほぼ無風.山頂には濃い霧が掛かっている.霧の中,数名の登山客が休憩を取っている.
ちょうどそのとき,私より一足先に山頂に到着したYUさんが下山開始.
大倉からの所要時間は2時間34分.花立山荘からの所要時間は28分.金冷シからは14分.まずまずの成績と言えるだろう…が,小草平から萱場平までがノンビリしすぎたようである.
尊仏山荘に入ろうかと思ったが,こんな天気なので山荘も混雑するだろう…という訳で,山荘は省略する.
空腹を満たすために,山頂のベンチ代わりの材木に腰を下ろし,オニギリを1個だけ食べる.丁度そのとき,次のバスで来られたMGさんが山頂に到着する.
<深い霧に覆われた塔ノ岳山頂>
■常連とすれ違いながら下山
9時42分,MGさんと一緒に下山開始.
山頂の木道降り口で,後のバスで来られたFTさんとバッタリ.続いて土曜日のマドンナさん.さらにUMさん,TDさんのお二人とすれ違う.お二人とも大倉尾根ではなく,遠回りのコースを登って来られたとのこと.
金冷シ手前で,TGさんとすれ違う.何時もより遅い電車で来られたようである.
9時57分,金冷シを通過する.その先で多数のお仲間を引率してこらえたNMさん,それにSSKさんとすれ違う.
10時04分,花立山荘に到着する.山荘前のベンチは物凄い混雑.どうやら,先ほど追い越した大阪グループの方々のようである.
さらに下って,萱場平の手前で,先に下山開始のYUさんに追い付く.YUさんは萱場平で昼食を摂るとのことなので,ここでお別れする.
10時29分,小草平を通過.堀山の尾根道で,先に下山開始されたYDさん,IIJさん,STさん達に追い付く.暫くの間,一緒に下山し続ける.途中から,なんとなく私が先頭になる.
10時43分,駒止茶屋を通過する.駒止階段を下りている間に,後ろとの間が空き始める.
“まあ…いいか”
でマイペース.
11時06分,雑事場ノ平に到着する.このまま大倉まで一人旅でも良いが,それでは何となく寂しい.そこでベンチに座り込んで.昼食の続きを摂る.ちょうど食事が終わった11時14分に,皆さんが雑事場ノ平に到着する.
ここから先は,皆さんと一緒に下山し続ける.
11時27分,観音茶屋を通過する.観音茶屋の女主人に,
「お帰りなさい…」
と声を掛けられる.通過するのが何となく気が引けるが,挨拶をしながら通過する.
観音茶屋では,立冬の季節でもかき氷を販売しているようである.
<雑事場ノ平からは常連さんと一緒> <観音茶屋>
■大倉のネコ
11時40分,登山口を通過する.今日一日も無事だったなと思いながらバス停大倉を目指す.途中で,可愛い飼い猫に遭遇する.私がネコ好きだと知っている方が,
「ほら,あそこにネコが居ますよ…」
と私に教えてくれる.
11時46分,無事,大倉に戻る.下山所要時間は休憩時間込みで2時間04分.バス停にも丸々と太ったネコが昼寝をしている.
<大倉のネコ>
■渋沢駅でコーヒーブレーク
大倉12時15分発渋沢駅行のバスに乗車する.
久々に,渋沢駅ビル1階にあるミスタードーナッツでのコーヒーブレークにお付き合いする.同じバスに乗り合わせたMGさん,STさん,YDさん,IIjさんと一緒に30分ほどお付き合いする.
“胃に悪いかな…”
と思いながらも,珈琲のお代わりをする.
<渋沢駅ビルミスタードーナッツでコーヒーブレーク>
■今日も良かった
私は皆さんより少し早めにコーヒーブレークを切り上げて帰途につく.
渋沢から小田原経由で,東海道本線小田原始発東京行電車に乗り換える.電車は空いている.4人掛け1ボックスを1人で占領する.
電車が走り出すとすぐに居眠りを始める.
“ヤヤッ…乗り過ごしたかな…”
と何回も目が覚めるが,また居眠りをし続ける.その間に取り留めもない夢を見る.こう言うのを“夢うつつ”っていうのかな.
15時少し前に無事帰宅.
前回,塔ノ岳に出掛けたのが,3日前の水曜日.この程度の間隔で塔ノ岳に出掛けていると,身体が山になれてくるようである.今日は帰宅後も全く疲労感はなく,何かやろうという意欲も湧いてくる.
“では…折角のやる気があるから,善光寺西街道の地図作りでも続けようか…”
ということで,就寝前まで頑張ってしまう.
…ま,そんな次第で,今日も“良かった! 良かった!”.
<ラップタイム>
7:00 大倉歩き出し
7:25 観音茶屋
7:39 見晴茶屋
8:06 駒止茶屋
8:24 堀山の家
9:06 花立山荘
9:20 金冷シ
9:34 塔ノ岳 着(+6℃)
9:46 〃 発
9:53 金冷シ
10:04 花立山荘
10:29 堀山の家
10:43 駒止茶屋
11:04 見晴茶屋
11:06 雑事場ノ平(11:14まで食事)
11:27 観音茶屋
11:46 大倉着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1,269m
■登攀所要時間(雑談時間を含む)
大倉 発 7:00
塔ノ岳 着 9:34
(所要時間) 2 時間34 分(2.57)
水平歩行速度 7.0km/2.57h=2.72km/h
登攀速度 1,269m/2.57h=493.8m/h
■下降所要時間(休憩時間を含む)
塔ノ岳 発 9:42
大倉 着 11:46
(所要時間) 2時間04 分(2.06h)
水平歩行速度 7.0km/2.06h=3.40km/h
下降速度 1,269m/2.06h=616.0m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/54057f9451d2416302a38581f65fb3b1
「丹沢の山旅」の次回の時期
(なし)
※誤字脱字転換ミスご容赦
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山麓の紅葉と曇り空の丹沢:塔ノ岳(第54回)
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