<馬の背付近から紅葉の鍋割山稜を望む>
爽やかな気温と紅葉を楽しむ丹沢;塔ノ岳(今年52回目)
(単独山行)
2014年10月19日(土) 晴
■朝晩はめっきり寒くなった
この頃は秋も深まり,朝晩はめっきり寒くなってきた.寒くなるにつれて,だんだんと早朝出掛けるのが億劫に感じられるようになる.例によって真っ暗な中,自宅から一山降りて大船駅に向かう.つい先日までコーロギの啼き声を楽しみながら夜道を歩いていたが,今日はもうコーロギの啼き声も聞こえなくなった.だんだんと秋が深まっているのを肌で感じる.
例によって東海道本線下り初電大船5時10分発の電車に乗車する.電車が国府津を過ぎるころ,やっと辺りが明るくなり始める.
小田原で小田急電車に乗り換える.天気予報では,今日は晴れということなので,富士山と矢倉岳を見るのを楽しみにしていたが,残念ながら富士山は雲の中である.車窓から見える田んぼの大半はもう稲刈りを終えているようである.
“粛々と年中行事は進んでいるな,後暫くで,今年も終わりになるな…”
と少々感傷的になる.
<小田急車窓から矢倉岳を望む>
■歩き出しはユックリと…
今日は土曜日.
大倉行バス停には,登山者の長い行列ができる.6時40分に臨時バスが出る.大混雑.臨時バスと1番バスに乗り合わせた常連は,韋駄天組のSTさん,毎日登山のTGさん,編集長のYKさん,三角髭のTDさん,KIさん,MTさん,YDさん,MGさん,IIJさん,HNさん,STさん,AKさん,それに後のバスでMGさんとFTさん.何時も土曜日に来られるYUさんは不在.それにSSKさん,NMさんはどこか他の山に行っておられるのか不在.IIさんも所要があるらしく不在.したがって何時もの土曜日より常連さんの人数が少ないようである.
7時08分,居合わせた常連の皆さんと一緒に大倉から歩き出す.気温がどの程度あるのか分からないが,空気がほどほどに乾燥していて,爽やかである.私の目の前には数人の常連さんの後ろ姿が見えている.
私は丹沢ベースを過ぎる頃まで,HNさん,STさんと一緒に極ゆっくりとした速度で登り続ける.体温がある程度上昇して,足の筋肉がほぐれたところで,
「では,マイペースで先に行かせてもらいます…」
とお二人にお断りしてから,孤高ペースを少し速める.
7時30分,丹沢ベースを通過する.そして雑事場ノ平の手前で,堀山の家の父上に追い付く.
「帰りにお寄りします…」
と挨拶して先に行かせてもらう.
雑事場ノ平を通過する頃,AKさん,TGさん,IIJさんのお三方に追い付く.その後はお三方の後に付いて登り続ける.
<ご常連に前後して大倉を出発する> <雑事場ノ平付近>
■見晴階段
7時57分,見晴茶屋を通過する.大倉を歩き出してから49分経過している.
“ありゃ~っ…! 少しユックリしすぎたかな…でも今更仕方がないな”
と反省しながら大倉尾根の第一関門の見晴階段に差し掛かる.登り口で,例によって定点観測の写真を撮る.
例によって,何人かの登山客の後ろ姿が写っている.
“ここで頑張っちゃうと後でバテるぞ…”
と自分に言い聞かせながら見晴階段を登り続ける.
階段を登っている内に,私の前を行くTGさんとAKさんと私の間がだんだんと広がるが,逆にIIさんが遅れ始める.次第にばらけてしまうのも単独登山が前提だから仕方がないことである.
<見晴階段>
■駒止茶屋
8時12分,一本松を通過する.もう,大倉を出発してから1時間04分も経っている.いくら何でも,時間が掛かりすぎだ.でも,ここから急いでも詮ないことだ.
やがて,駒止階段に差し掛かる.大倉尾根の第2番目の関門である.階段を見上げると,しんどそうだなとため息が出る.
駒止階段をユックリ登って,8時28分に駒止茶屋を通過する.大倉からの所要時間は1時間20分.せめて1時間10分程度で通過したいところである.
<駒止階段>
■見えない富士山の写真
堀山の尾根道に差し掛かる.
8時25分頃,晴れていれば富士山が良く見えるところに到着する.一部の人達が富士見平と呼んでいるところである.
今日も富士山が全く見えないが,儀式なので見えない富士山の写真を撮る.
私が写真を撮っていると,偶然私の後ろを通り過ぎようとした女性が足を止めて,
「何が見えるんですか…?」
と私に話しかける.
「晴れていれば,ここから富士山が見えるんですが…」
女性は見えない富士山の写真を撮っている私のことが,訝しく思っているようだが,説明するのは面倒である.女性は怪訝な顔のまま私を追い越して行く.
<見えない富士山を撮る>
■小草平
8時48分,小草平に到着する.堀山の家はまだ開店していない.小草平のベンチには,もう沢山の登山客が休憩を取っている.その中に,常連のお二人も居られる.私は,マイペースでユックリ先へ行きますと挨拶して通過する.
大倉から小草平までの所要時間は1時間40分,相変わらずの鈍足である.
<小草平のベンチ>
■萱場平
これからが大倉尾根の核心部,長い急坂が萱場平まで続く.正直,シンドイ.一寸でも無理をすると,あとが辛くなる.私は自分の脈拍や呼吸に注意しながら,無理のない速度で登り続ける.今は全くの一人旅,前後に知人は居ない.親しい方と一緒に登るのは楽しいので大歓迎だが,反面,自分のペースを守り続けるのが難しいという難点がある.逆に一人旅は孤独ではあるが,自分のペースを完全に守ることができる.
今日は,当初,ユックリ歩いていたお陰で,疲労感は全くない.案外調子よく登り続ける.その間に数え切れないほどの人数の若い方々に追い抜かれるが,こんな私でもかなりの人数の登山客を追い越す.
9時04分,やっと萱場平を通過する.正直に言えばせめてあと10分早くここを通過したかった.
例によって,定点観測用の写真を撮る.
<萱場平>
■後七分坂
9時19分,後七分坂(花立階段)に到着する.
ゆっくりと登り続ける.坂の途中で立派に咲くアザミを見付ける.立ち止まってアザミの写真を撮る.
見れば見るほど立派なアザミである.しかし,このアザミも後数週間の間に間違いなく消えていく定めである.“諸行無常”なんて言ったら大げさかもしれないな…
<後七分坂のアザミ>
■花立山荘
後七分坂を予定通り7分で登って,9時26分,花立山荘に到着する.まだ早い時間なのに花立山荘の開店準備が着々と行われている.
大倉から花立山荘までの所要時間は2時間18分.現在の自分の登山力から勘案すれば10分ほど遅い.ただ,小草平(堀山の家)からの所要時間は36分.こちらのラップは最盛期の自分のラップに近い.
…ということは,今日の私の歩き方は“初めチョロチョロ”の部分が長すぎた結果,大倉から見晴茶屋付近までを,あまりにユックリ歩きすぎたということである.
山荘前のベンチでは,若い登山者が数名休憩を取っている.
相変わらず富士山は雲の中である.
<花立山荘>
■花立山
花立山荘からの急坂も,案外,アッサリと登って,9時35分に花立山山頂を通過する.花立山荘からの所要時間は9分.何時もより1分速い.山頂からは富士山の頭の部分が少し見えるような気がする.
相変わらず風も吹かず穏やかな陽気である.
<花立山山頂>
■素晴らしい紅葉
花立山を過ぎて,金冷シへ向かう.
途中の馬の背付近から眺める紅葉が実に見事である.私はしばしば立ち止まって紅葉の写真を撮る.もう,こうなったらラップタイムなどどうでも良い.とにかく,見頃を迎えた紅葉の写真をなるべく沢山撮ることに専念する.
以下に撮った写真の中から数枚の写真を収録しておこう.
<紅葉の鍋割山稜>
<馬の背の色鮮やかな紅葉>
<再び鍋割山稜の紅葉>
■金冷シ
9時40分,金冷シを通過する.
この辺りの紅葉も色々な色が混ざっていて,実に見事である.
<金冷シ付近の紅葉>
<紅葉の向こうに表尾根が見える>
■塔ノ岳山頂
塔ノ岳山頂直下の階段で,下ってくるKIさん,さらには韋駄天のSTさんとすれ違う.また,もう少しで山頂直下の木道に差し掛かるところで,下山してくるMGさんとYDさんのお二人とすれ違う.
「…山頂は寒いので先に降ります…」
とのこと.
9時54分,無事,山頂に到着する.山頂の気温は+10℃.曇ってはいるが,無風なのでそれほど寒くはない.
ふと見ると土曜日のマドンナさんが山頂のポール近くで休憩を取っている.私も尊仏山荘には立ち寄らずに,マドンナさんの近くに座って,雑談をしながら昼食を摂ることにする.
周囲を見廻すと,結構,雲が湧いている.富士山は頭だけ見えているが,私のカメラでは写らないのが残念である.
大倉から塔ノ岳山頂までの所要時間は2時間48分.芳しくない.
でも,花立山荘からの所要時間は,途中で沢山の写真を撮っていたにもかかわらず,丁度30分.金冷シからは16分である.
“まあ,こんなものかな…”
と納得するしかない.
<塔ノ岳山頂>
■下山開始
私は,大倉に12時半頃までに下山する積もりで,10時11分に下山し始める.
下りも気楽な一人旅である.停まりたいところがあれば誰に気兼ねもなくストップ.急ぎたければ急ぐで,実に気楽である.
今日は土曜日.登山客がとても多い.
登って来る登山客とすれ違うのに難渋する.
20時38分,花立山荘を通過する.山荘前のベンチは鈴なりの登山客である.休憩を取っている方々を見廻すと,意外なほどに若い人達が多い.今日はどうやら知った人の顔は見当たらないので,そのまま通過する.
10時56分,萱場平を通過する.ここのベンチも登山者で一杯である.
■堀山の家
11時12分,小草平に到着する.ここのベンチも満席.
久々に堀山の家に立ち寄ろうかと思う.
入口から堀山の家を覗き込むと,女主人が目ざとく私を見付けて,
「いらっしゃい…」
と言う.小屋の中には先ほど山頂付近ですれ違ったKIさんが居られる.
吸い込まれるように私も堀山の家に立ち寄る.そして300円也のトコロテンを所望する.
トコロテンの酢を口にすると,喉から反射的にゴホンゴホンと咳が出る.これが堪らない.酸っぱいトコロテンを食べていると,何となく元気が出てくる.もうそろそろトコロテンのシーズンも終わりである.
“今シーズンは今日がところてんの食べ納めかな…”
と思いながら,美味しく頂く.
<堀山の家のトコロテン>
■ご常連と一緒に下山
私は大倉12時22分発のバスに乗ろうかと思う.そこでKIさんより一足先に,11時21分に堀山の家を出る.急いで歩けば約1時間で大倉まで降りられるという計算である.ところが歩き出してすぐに,今日は土曜日だと気がつく.土日のダイヤでは,12時12分の月は12時38分である.
私の足では逆立ちしても12時12分のバスには間に合わない…となると12時38分か.では急いでも仕方がない.急にノンビリペースに切り替えて,ノソノソ歩きになる.
堀山に差し掛かる頃,後ろから,
「どうしたの…随分ユックリだね」
と声を掛けられる.さきほど堀山の家で一緒になったKIさんである.KIさんはFTさん,MTさんと一緒である.このグループに私もジョインして,一緒に下山し続ける.
■一足先に大倉へ
11時40分,駒止茶屋を通過する.気がつくと,私が1人先に歩いている.先ほどまで一緒に歩いていた3人との間が一寸空いてしまう…が,まあ良いかで,そのまま下山し続ける.
駒止階段の途中で,編集長のYKさんに追い付く.ご一緒するのは,返って迷惑かと思ったので,
「スミマセン,お先に失礼します」
と挨拶して先に行かせてもらう.
ここから先は,また完全な一人旅になる.
12時35分,予定通りバス停大倉に到着する.
洗い場で,サッと靴を洗って,バスに飛び乗る.私は運良く座れたが発車間際に乗車した方々は立ち席である.先ほどまでご一緒していたFTさんが発車間際に飛び乗ってくる.
今日は,大倉の公園(正式な名称は忘れた)で,何か催し物があるらしく,大変な人出である.時間があれば,ちょっと立ち寄って見たいが,このところ私も少々多忙である.なるべき早く帰宅したいので,見物は省略する.
下りの所要時間は堀山の家での休憩時間込みで,2時間24分.
<大倉は大賑わい>
■今日も無事だった
渋沢駅で12時59分発小田原行電車に飛び乗る.
小田原駅では13時26分発快速アクティ東京行電車に間に合う.途中まで4人掛けボックス席に1人で座る.ラッキー.
電車の揺れに身体を任せている内に,すぐに眠くなる.眠ってはいけないと思いながらも,ついつい居眠りをしてしまう.その間に夢か現実かあいまいな碌でもない夢を小刻みに見続ける.
何とか乗り過ごすこともなく,13時58分に大船駅で下車する.
まだ時間が早いので,どこかで珈琲でも飲もうかなという誘惑に駆られるが,ジッと我慢の子.そのまま自宅近くを通るバスに乗車する.
14時半頃,無事帰宅する.
今日はユックリ登山したので来ているものも汗ばんでいない.慌てて着替えなくても良いので,実にゆったりと新しい着衣に着替える.
そして,やおらコーヒーを入れる.味はコンビニの100円コーヒーよりもぐっと落ちる…が,コーヒーを賞味しながら至福の一時を過ごす.
…と,言うわけで今日一日も“良かった!良かった!”である.
夕方,もと勤務先で同僚だった先生から電話がある.
「…今度の土曜日,10月25日に,箱根の屏風山に一緒に登りませんか…」
私,即,OKの返事をする.こうして10月25日は,元勤務先の先生方と一緒に軽登山をすることが決まった.これまた“良かった!良かった!”である.
<ラップタイム>
7:08 大倉歩き出し
7:37 観音茶屋
7:57 見晴茶屋
8:28 駒止茶屋
8:48 堀山の家
9:26 花立山荘
9:40 金冷シ
9:56 塔ノ岳 着(+10℃)
10:11 〃 発
10:24 金冷シ
10:38 花立山荘
11:12 堀山の家(11:21まで休憩)
11:40 駒止茶屋
12:02 見晴茶屋
12:35 大倉着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1,269m
■登攀所要時間(雑談時間を含む)
大倉 発 7:08
塔ノ岳 着 9:56
(所要時間) 2 時間48 分(2.80h)
水平歩行速度 7.0km/2.80h=2.50km/h
登攀速度 1,269m/2.80h=453.2m/h
■下降所要時間(休憩時間を含む)
塔ノ岳 発 10:11
大倉 着 12:35
(所要時間) 2時間24 分(2.40h)
水平歩行速度 7.0km/2.40h=2.92km/h
下降速度 1,269m/2.40h=528.8m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/10ce333d9e2320cf80acc643cbaa1367
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(なし)
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爽やかな気温と紅葉を楽しむ丹沢;塔ノ岳(今年52回目)
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