<花立山付近の紅葉>
冷たい雨とションボリ猫の丹沢;塔ノ岳(今年51回目)
(単独山行)
2014年10月15日(水) 曇後雨
■秋も深まり寒くなった
今日の天気予報は,今ひとつスッキリしないが,雨が降り出すのは夕方15時頃だという.
“ならば午前中に塔ノ岳を往復してしまおう”
ということで,何時ものように4時10分に家を出発する.
早いもので,今日はもう10月も半ば,秋も大分深まっている.とにかく外はかなり寒い.つい先日まで賑やかだったコーロギの啼き声も,今日はもう全く聞こえない.
私は,この秋,初めて長袖のシャツを着込んでいる.
東海道本線下り初電大船5時10分発の電車に乗り込む.4人掛けのボックスを1人で占領して小田原に向かう.まだ外は真っ暗である.電車が小田原に到着する頃,ようやく辺りが明るくなり始める.夜明けが遅くなると,気分も沈み勝ちになる.
小田原で小田急の急行電車に乗り換える.電車が新松田駅に近付く頃,例によって富士山と矢倉岳が重なる瞬間をデジカメに収める.今日は手元が狂って,シャッターを押すのが数秒遅くなってしまったが,二つの山が重なっているところを何とか撮ることに成功する.
上空には雲が幾重にも棚引いているが,富士山を何とか撮影することができた.天気予報では,午前中は曇り空ながら時々晴れ間もあるということなので,塔ノ岳に登る途中で,富士山が見られることを期待している.
<富士山と矢倉岳>
■常連の皆さんと一緒に大倉から歩き出す
電車は6時20分に渋沢駅に到着する.大倉行バス乗り場に行くと,先客が2人.お一人はベンチにリュックを置いたままどこかへ行っている.私はストレッチをしながらバスの到着を待つ.
やがて小田急線の電車が到着する度に,登山客が列を作る.その内に,一番前にリュックを置いたままどこかへ言っておられた方が戻る.一番乗りの主は常連のNGさんだ.
1番バスに乗り合わせた常連は,韋駄天のNMさん,毎日登山のTGさん,編集長のYKさん,NGさん,YUさん,久しぶりのEEKさんとNMさん,三角髭のTDさん,MTさん,浅間山にご一緒したNMさん,IWさんなど多士済々.
バスは多少空席がある程度の混雑である.7時丁度に大倉に到着する.
7時06分,TGさん,SSKさん,NMさん,NMさんと一緒に,大倉から歩き出す.例によって,歩き出しの初速が,私が単独で歩くときに比較して,少々速めである.私は内心では,
“速すぎるな…一寸マズイナ!”
と思いながらも,久々に常連の方と一緒に歩くのが楽しくて,無理を承知で一緒に歩き続ける.
案の定,まだ登山口の到着する前に,身体がカッカと熱くなり始める.でも,まあ,付いて行けないほどの速度でもないので,無理を承知で一緒に歩き続ける.
■一本松
7時32分,観音茶屋を通過する.この辺りから,TGさんが歩行速度を速める.TGさんと私達の間が開き始める.
7時52分,見晴山荘を通過する.そして,見晴階段に差し掛かる.私は定点観測のために見晴階段を見上げる写真を撮る.偶然,この写真に私の前を行くお二人の常連さんの後ろ姿が写っている.
私は,歩き出しの速度が少々速かったので,見晴階段は自重してユックリ登ることにする.そうしないと花立階段辺りでバテてしまうのが必定だからである.私の後ろに居られる常連の皆さんに,先に行かれるように促すが,このままの速度で良いと仰るので,マイペースのまま登り続ける.
8時07分,一本松を通過する.すでに大倉を歩き出してから1時間01分経っている.せめて,一本松の上にあるベンチまで1時間で歩けなければ…と思っていると,同行のSSKさんが,
「今日は良いピッチでしょう…」
と私に言う.私の気持ちは複雑である.
さきほどから,小雨が降り出す.リュックから雨具を引っ張り出すほどの雨ではないが,天気予報より降り出すのがかなり早い.
雨が降り出した時点で,今日は登山を止めて下山しようかと思い始める.
<見晴階段>
■残念ながら富士山は雲の中
私は登山の途中で,時々,自分の脈拍をチェックしている.といってもわざわざ時計を見ながら正確に量るわけではなく,手首の脈拍から大体これぐらいだなと感じ取るだけだが…
一般に最高脈拍は,「220マイナス自分の年令」を上限にするようにと言われている.
私は,さきほどから,
“どうも,ちょっと脈拍が多いかな…上限に近いな”
と感じている.
そこで,後ろに居られるSSKさんとNMさんに,先に行くようにお願いして,自分の歩行ペースを幾分落とす.
やがて,駒止階段に差し掛かる.このとき既に,このお二人の姿は私の視界から消えている.
駒止階段を無理の無いように登って,8時21分に駒止茶屋を通過する.大倉からの所要時間は1時間15分.平凡なラップだが,今の私の実力では,せいぜいこんなものかもしれない.
やがて堀山の尾根道に差し掛かる.この辺りは気分良く歩けるところである.
途中で富士山が見えることを期待していたが,残念ながら富士山は雲の中である.残念だが,ここで見えない富士山の写真を撮る.
8時30分,堀山を通過する.
8時31分,下山してくるYZさんと,さらにその直後KSさんとすれ違う.
「今日は富士山が良く見えていましたよ…」
とKSさんが教えてくれる.
<堀山の尾根道から見えない富士山を撮る>
■小雨ぱらつく萱場平
8時37分,小草平に到着する.
今日は平日,堀山の家はお休みである.堀山のベンチで,私が先頭を譲ったSSKさんとNMさんが休憩を取っている.足の遅い私はお二人に,
「ユックリ登っています…」
とお断りして,そのままのペースで登り続ける.
丁度,堀山の家と萱場平の中間点ぐらいの所で,またSSKさんとNMさんに追い抜かれる.これも実力の差の成り行きである.だから仕方がないこと.ここから先は,私の一人旅が続く.
雨は依然として降り続いている.惨めな気分になる.
8時55分,萱場平を通過する.木道の間のアザミが大きな花を咲かせているが,雨の中,わざわざ写真を撮る気にもなれない.そのまま通過.
<萱場平>
■花立山荘
ユックリ,ノンビリ登り続けて,9時10分に後七分坂(花立階段)に到着する.毎度のことながら,階段を見上げると,天をつくような長い歓談にウンザリしてしまう.でも,この階段を登らないと先へ行けないので,気を取りなおして,いや,半ばふてくされて,エッチラホッチラ登り続ける.
階段を半分ぐらい登ったところで,下ってくる韋駄天のNMさんとすれ違う.今日の私は随分ノソノソ登っているような気がしていたが,後七分坂でNMさんとすれ違ったんなら,今日のラップはそれほど悪いラップでもなさそうだなと思う.
あともう少しで階段を登り切るところで,30分後のバスで来られたFTさんに追い抜かれる.この辺りでFTさんに追い付かれるのは毎度のことだが…いやはやFTさんは大したものだ.あやかりたいなと何時も思う.
後七分坂を,きっちり7分で登って,9時17分に花立山荘に到着する.山荘前のベンチは雨に濡れて光っている.辺りに登山客の姿はない.
大倉からの所要時間は2時間11分.今の私の体調から勘案すれば,まあ,まあ,のラップと言えよう.小草平からの所要時間は丁度40分.こちらは予定通りである.
<雨の花立山荘>
■花立山
これまでユックリ登っていたので,疲労感は殆どない.花立山荘を通過後も順調に登り続ける.
花立山山頂が見え始める.先ほど私を追い抜いたYUさんの後ろ姿が小さく写っている.相変わらず雨が降り続いている.風も結構吹いている.私は,リュックから雨具を出そうか,もう下山しようかと迷う.でも,一方では折角ここまで登ったんだから山頂まで登ろうとも思う.とにかく複雑な気分が交錯するが,優柔不断な私は,何となく決断が遅れて,ずるずると登り続ける.
9時26分,花立山を通過する.花立山荘からの所要時間は9分,いつも10分かかっているので,今日はちょっと納得のいく記録である.
<花立山>
■紅葉が見頃になり始めた
馬の背に差し掛かる.この辺りの紅葉はそろそろ見頃を迎えつつある.私はときどき立ち止まって,紅葉の写真を撮る.
9時30分,ようやく金冷シを通過する.
気がつくと,私の目の前をYUさんが歩いている.ここから塔ノ岳山頂までは,ほとんどピッタリとYUさんの後を付けて登り続ける.
<馬の背付近から間部割山稜の紅葉を眺める>
■塔ノ岳山頂
9時44分,無事,塔ノ岳山頂に到着する.相変わらず雨が降っている.山頂の気温は+3.0℃.冷たい風が吹いている.とにかく寒い.山頂には登山客はほとんど居ない.
大倉からの所要時間は2時間38分.今の私には,まあ,まあ,というところかな.
ちなみに花立山荘からの所要時間は27分,そして金冷シからは14分.どちらも良い結果である.花立山荘以降の結果が良かったのは,第1に足の速いYUさんの後をピッタリ付けて歩いたこと,第2に途中で歩行速度をスローダウンしたので体力に余裕があったことの2点であろう.
雨が降っているので,当然のことながら,山頂からの眺望はゼロに近い.でも儀式として山頂からの眺めをデジカメに収める.
季候の良いときならば,山頂の青空の下で休憩を取って下山するが,今日の山頂は何とも寒々としていて憂鬱である.やむなく私も尊仏山荘に立ち寄ることにする.
<YUさんに続いて山頂に到着する>
■尊仏山荘のミャ~君
尊仏山荘に入る.
今日の小屋番はWDさん.WDさんは,山ネコ華伊達美弥雄さん(ミャ~君のこと)との相性がよさそうである.案の定,ミャ~君がオドオドしたような仕草でフロワーをウロウロしている.300円也のお茶を所望するが,飲むのを後にして,取りあえずはミャ~君の写真を何枚か撮る.でも,ちっともデジカメを見てくれないので,顔を正面から写すことはできない.それでも,まあ,元気なミャ~君に会えたので,これで良しとしておこう.
ただ,寒いせいか,ミャ~君が,なんとなくションボリしているのが気になる.
<フロワーをミャ~君がウロウロしている>
■尊仏山荘は常連で賑わう
尊仏山荘は,私より先に来られたTGさん,MTさん,NMさん,SSKさん,NMさんなどの常連で賑やかである.
お茶を飲みながら,皆さんと雑談.NMさんから梨の差し入れを頂戴する.実に美味しい,
皆さんと雑談していると,10時頃,NGさんが尊仏山荘に到着する.TGさんが,
「おや,NGさん…今日は速いですね…」
と話しかける.
「そう…今日は3時間かからなかったよ…」
とNGさんがニッコリする.
NGさんと入れ替わるように,TGさんが尊仏山荘から下山しはじめる.
<尊仏山荘のひととき>
■一人で下山開始
私は大倉発12時22分のバスに乗りたいと思う,
逆算して,10時18分に尊仏山荘から下山し始める.相変わらず小雨が降っている.私は雨合羽の上着だけを着込む.外は寒いので,手袋をしないと,手がかじかんでしまいそうだが,花立山荘まで下れば温かくなる.だから,なるべく早く花立山荘までは下山してしまいたい.私は安全には十分に注意しながらも,滑りやすい下り坂を懸命に下り続ける.
10時34分,ようやく花立山荘に到着する.
予想していたとおり,ここまで下れば寒さも和らぐ.ただ,雨は相変わらず降り続いている.
後七分坂も慎重に下る.そして,ガレ場の下り坂に入る.濡れた岩稜は滑りやすいので要注意である.
ガレ場を通過して.階段道に差し掛かる頃,私より先に尊仏山荘を出発したTGさんに追い付く.
「ユックリ,マイペースで降ります…」
とTGさんが仰るので,失礼して先を急ぐ.
■堀山の家の掲示板
ときどき,登山者とすれ違いながら下山し続ける.
11時丁度に小草平の「堀山の家」に到着する.堀山の家の掲示板に,私が掲示を依頼した神奈美展の開催案内が掲示されていることを確認する.
この場を借りて,掲示して頂いた堀山の家のご厚意に感謝する次第である.
“早く帰宅して,絵を仕上げなければ…”
私は,突然,焦れったい気分に襲われる.
<堀山の家の掲示板>
■早々と帰宅する
12時18分,大倉に到着する.予定通りの時間である.手早く靴の泥を洗い流して,バスに乗車する.このバスに乗車した登山者は私を含めて2人だけ.
雨の中,バスは12時33分に渋沢駅に到着する.
渋沢発12時36分の小田原行の電車に飛び乗る.そして小田原では13時04分発特別快速高崎行に駆け込む.13時33分に大船に到着する.
14時頃帰宅.身体が冷えている.どことなくベタベタする着衣を早速乾いたものに着替える.やっと気分が落ち着く.
家内が,
「雨の中,どこへ行っていたの…?」
と訝る.
「天気予報が外れたんだよ…」
と,私,憮然.
「そういえば,テレビで(予報が)外れたって言っていたわよ…」
と家内.
「天気予報が『朝から雨』って言っていたら,オレだって,丹沢くんだりまで出掛けないよ…」
天気予報を信じたオレが馬鹿だった.
少し休んでから,近くの内科医を訪れる.年1回の健康診断の予約と,血圧チェックである.顔見知りのドクターが,
「今日も丹沢ですか…? 血圧,うまくコントロールできてますね.」
とのこと.次回は1ヶ月後に診断を受ける予定である.
とにかく,今のところ,どこも痛いところがないのは,全く以て塔ノ岳のお陰である.
…という訳で,まあ,無事に塔ノ岳を往復したんだから,今日も良かった.良かった!…である.
<ラップタイム>
7:06 大倉歩き出し
7:32 観音茶屋
7:52 見晴茶屋
8:21 駒止茶屋
8:37 堀山の家
9:17 花立山荘
9:30 金冷シ
9:44 塔ノ岳 着(+3℃)
10:18 〃 発
10:28 金冷シ
10:40 花立山荘
11:00 堀山の家
11:25 駒止茶屋
11:47 見晴茶屋
12:01 観音茶屋
12:18 大倉着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1,269m
■登攀所要時間(雑談時間を含む)
大倉 発 7:06
塔ノ岳 着 9:44
(所要時間) 2 時間38 分(2.63h)
水平歩行速度 7.0km/2.63h=2.66km/h
登攀速度 1,269m/2.63h=482.5m/h
■下降所要時間(休憩時間を含む)
塔ノ岳 発 10:18
大倉 着 12:18
(所要時間) 2時間00 分(2.00h)
水平歩行速度 7.0km/2.00h=3.50km/h
下降速度 1,269m/2.00h=634.5m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/331d6f189210c962ae526efa945e6a39
「丹沢の山旅」の次回の記事
(なし)
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冷たい雨とションボリ猫の丹沢;塔ノ岳(今年51回目)
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