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Channel: 中高年の山旅三昧(その2)
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残暑が未だ厳しい丹沢:塔ノ岳(今年41回目)

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      残暑が未だ厳しい丹沢:塔ノ岳(今年41回目)
             (単独山行)
        2014年9月3日(水) 曇

■夜明けが大分遅くなった
 私は毎週水曜日と土曜日に丹沢塔ノ岳を往復するようにしているが,このところ雨の日が多かったり,他ののっぴきならぬ用事と重なったりで,随分と塔ノ岳からご無沙汰してしまった.前回,塔ノ岳に登ったのが8月20日なので,約2週間のブランクである.それも,前回は余りの蒸し暑さに辟易としてしまい,花立山荘で氷水を飲んでいる内に戦意喪失してしまい,塔ノ岳山頂まで行かずに,花立山荘から下山してしまった.
 今日は意を決しての塔ノ岳である.2週間も間を空けてしまうと,果たして3時間程度で塔ノ岳山頂まで登れるか不安である.でも,とにかく,今日は塔ノ岳に出掛けようと決心する.
 4時10分に家を出発する.そこかしこから聞こえてくるコーロギの啼き声を聞きながら真っ暗な道を大船駅まで急ぐ.もう今日は9月初旬である.まだ多少の蒸し暑さは残っているが,辺りの雰囲気は秋.ついこの間までは,大船駅に到着する頃には,すっかり夜が明けていたが,今日は5時を過ぎてもまだ辺りは薄暗いままである.
 何時ものように,東海道本線下り初電大船5時10分発に乗車する.小田原駅で6時03分発小田急線急行電車に乗り換える.この電車に乗車すると,新松田手前で,富士山と矢倉岳が見えるかが楽しみである.
 私はまるで小学生になったかのように,座席から身を捩って外の景色を見守る.今日は青空の下に富士山と矢倉岳がクッキリと見えている.
 “この分だと,塔ノ岳に登っている間に,富士山が拝めナ…”
と期待する.

<小田急電車の車窓から>

■大倉からありき出す
 渋沢駅6時48分発大倉行1番バスは,ぎっしりと立ち席が出るほど,平日にしては随分と混雑している.しかし,私が知っている常連は,韋駄天のNMさん,TGさん,TDさん,カメラマンのMMさん,ITさん,IIさん程度,意外に少ない.
 7時06分,たまたま居合わせたTDさんと一緒に大倉から歩き出す.今日は9月初旬.まだ多少の蒸し暑さは残ってはいるものの,真夏の頃に比較すれば随分と歩き易くなっている.
 TDさんの歩行速度は,私には少々速いなと感じるが,ご一緒できないほどの速度でもないので.TDさんと雑談しながら登り続ける.その内に,私たちの前方を歩いているIIさんともう一人の常連に追い付く.そして,暫くの間は私には少々辛い速度のまま歩き続ける.足元は少し濡れている.山ヒルが出るとすれば,こんなときだだろう.

■見晴階段
 7時44分,見晴茶屋を通過する.大倉からの所要時間は38分.やっぱり,今の私には一寸速いようである.
 見晴階段に差し掛かる.例によって定点観測の写真を撮る.
 私は,同行の3人に,
 「ユックリ登りますので,お先にどうぞ…」
とお話しして,3人から脱落する.そして,私は見晴階段を3分の2ほど登った頃には,すでに3人は見晴階段を登り切って,モミジ坂に差し掛かっているようだ.
 見晴階段には清々しい朝日が射し込んでいる.

<陽光射し込む見晴階段>

■心地よい尾根道
 モミジ坂に差し掛かる.さきほどまで一緒だった3人の後ろ姿が小さく見えている.もうこれだけ離れたら,追い付くことは不可能である.呼吸が乱れないように,流れるような汗をかかないように注意しながら登り続ける.
 一本松手前で,汗ビッショリの若い二人連れが立ち止まっている.
 「…もう少し登ればベンチがありますよ.ユックリ歩きましょう…」
と声を掛ける.
 8時04分,一本松を通過する.一本松ベンチを過ぎると,平坦で心地よい尾根道になる.私は深呼吸をしながら,気分良く歩き続ける.先ほどまで一緒だった3人の後ろ姿は,もう全く見えなくなっている.多分今頃は駒止階段を登っているに違いない.
 尾根道差し掛かって間もなく,下山してくる常連のYZさんとすれ違う,相変わらず,2本のストックを持って,物凄い勢いで走っている.

<一本松からの心地よい尾根道を行く>

■駒止階段
 やがて駒止階段に差し掛かる.
 私の前後には誰も居ない.完全な一人旅である.私はともすれば焦りそうになる自分の気持ちを抑えながら,意識的にユックリと登り続ける.こうした方が,後で疲労しないことが分かっているからである.
 相変わらずこぼれ日が眩しく射し込んでいる.
 8時19分,駒止茶屋を通過する.大倉からの所要時間は1時間13分.見晴小屋までは結構な歩行速度だったが,その後,急に遅くなり,結局は何時も通りの平凡なラップになっている.でも私は心の中で,
 “これでいいのだ…”
と思っている.

<駒止階段>

■堀山の尾根道
 堀山の平坦な尾根道に差し掛かる,ここは大倉尾根を歩いていて一番楽しいところである.ここまで登ると,気温も下がった上に,風通しも良くなり,一段と涼しくなる.私は深呼吸をしながら,尾根道歩きを楽しむ,
 平坦な尾根道に差し掛かってすぐに,背の高い第姓を追い抜く,
 「すみません…」
と言いながら男性の脇を通過する.なんとこの男性は,見晴茶屋までご一緒した3人の内の1人である.どうやら他の2人から脱落したようである.私の追い越し際に,
 「…常連の皆さんにはとても敵いません…それにしてもお強いですね…」
と,この足の遅い私に言う.確かにこの私でも,平素山歩きをあまりしない人に比較すれば,それは速いだろうが,私の廻りには,足の速い方がごまんと居られるので,私は何時もコンプレックスを持っているのに…まあ,いいや.
 ただ,何時の間にか,雲の中に入ったらしく,辺り一面に霧が掛かっている.残念ながら期待していた富士山は全く見えない.

<堀山の尾根道>

■小草平
 8時35分,小草平に到着する,平日なので堀山の家はもちろん閉店したまま.辺りには全く人の気配はない,
 残念ながら富士山も全く見えないままである.
 私はそのまま,小草平を通過する.
 通過して間もなく,何気なく後ろを振り返ると,たった今,小草平に到着したTGさんがベンチに腰掛けている.多分,給水のための小休止であろう.
 “もうすぐ,TGさんに追い抜かれるな…”
と思いながらも,自分のペースを崩さずに登り続ける.何しろ2週間ぶりの登山なので,私は慎重である.

<小草平>

■萱場平
 何時ものように,なるべく気楽に平常心を保ちながら急坂を登り続ける.完全な一人旅.歩きながら色々なことを連想する.これも毎度のことである.むしろ色々なことを考えながら歩くのが楽しいのかもしれない.
 そろそろ萱場平が近付く頃,後から来られたTGさんが私に追い付く.すかさず私はTGさんに,
 「お先にどうぞ…」
と先を譲る.
 すぐにTGさんと私の距離が開き始める.
 8時55分,ようやく萱場平を通過する.もうこのときは,TGの後ろ姿は私の視界から消えている.
 萱場平は雲を透過して照りつける日光の熱線でムンムンとする蒸し暑さである.
 萱場平には人の気配はなく静まり返っている.

<萱場平>

■花立山荘
 9時13分,後七分坂(花立階段)に到着する.
 ここからの富士山は素晴らしい眺めだが,今日は残念ながら富士山は雲の中である.
 後七分坂を,半分ほど登ったところで,下山してくる韋駄天のNMさんとすれ違う.一言二言挨拶.
 後七分坂を7分掛けて登る.9時20分,漸く花立山荘に辿り着く.山荘の周囲には濃い霧が湧いていて,富士山はおろか,近場の山も殆ど見えない.山荘前のベンチでは2〜3人の登山客が休憩を取っている.
 大倉から見晴山荘までの所要時間は2時間14分.少々時間が掛かりすぎである.欲を言えば2時間05分程度で登りたいところだが,まだ残暑が厳しいことと,2週間のブランクがあったことを考慮すれば,この時間も致し方ない.
 なお,小草平からの所要時間は45分.こちらは後5分は縮められそうである.

<花立山荘>

■霧の中の金冷シ
 花立山荘から10分掛けて,やっと花立山を通過する.周囲に立ちこめる霧はますます濃くなり,周囲の山は全く見えない.視界の利かない花立山はシンドイだけ.
 9時36分,ようやく金冷シを通過する.
 “もうここまで来れば,遅かれ早かれ山頂に到着は間違いない…ユックリ歩いても所要時間は1〜2憤死か違わないぞ…”
 私はノソノソ歩きを続ける.金冷シから先の階段道は概して勾配が緩い…最後の階段の一部を除けば.
 私は,幾分歩行速度を遅めにノソノソと登り続ける.
 金冷シから最初の階段を登り切って,2番目の階段を登り始める.丁度その時,下山してくるTDさんとバッタリ.TDさんとは見晴小屋まで一緒に登っていたのに,もうこれだけの差が付いている.
 丁度このとき,私が乗車したバスより約30後のバスで来られたFTさんが私に追い付く…ということはFTさんの塔ノ岳山頂までの所要時間は私より30分以上短いということだ.正に驚異的.
 偶然,FTさん,TDさん,それに私の3人がバッタリ出会ったことになる.
 私は,早速,お二人の写真を撮る.
 「この写真,ブログに掲載しても良いですか…」
と了承を取る…が,不特定多数の方も,私のブログを見ようと思えば見ることができるので,掲載は遠慮しておこう.

■塔ノ岳山頂
 FTさんが私の歩行速度に合わせて,二人で塔ノ岳山頂を目指す.そして,9時54分,無事に塔ノ岳山頂に到着する.
 山頂は濃い霧に覆われている.周囲の景色は全く見えない.気温は23℃と高めである.
 大倉から塔ノ岳山頂までの所要時間は2時間48分.かろうじて2時間50分を切っている.ただ,花立山荘からの所要時間は34分,金冷シからの所要時間は18分.いずれも,何時もより3〜4分余計に掛かっている,
 見晴山荘まで一緒だったIIさんが山頂で休憩を取っている.
 今日は尊仏山荘に入っても,顔見知りの常連さんはTGさんを除いて誰も居ない筈なので,尊仏山荘に立ち寄るのはヤメにする.FTさんと一緒に山頂の石に座って休憩を取る.
 しばらくすると,TGさんが尊仏山荘から出てくる.そして私たちより一足先に下山するとのこと.
 霧の中で早めの昼食を半分ほど摂る.

<塔ノ岳山頂>

■下りは完全な一人旅
 FTさんは,表尾根キレット辺りの花の写真を撮りに行くというので,私は単独で10時08分に下山を開始する.
 完全な一人旅である.ある意味で気楽である.誰にも気兼ねせずにノンビリ下ったり,急いで下ったりの気儘旅である.
 花立山のガレ場で金曜日のご常連さんとバッタリ.
 「やあ…久しぶり.水曜日に塔ノ岳は珍しいですね…」
 「いやあ〜…この頃,雨ばかりだったでしょう.だから今日は(塔ノ岳に登るのが)2週間ぶりなんですよ…」
とのこと.
 「私も同じですよ…」
ということから,意気投合して,5分ほど立ち話.聞かれるままに先日のオーストリアトレッキングの話をする.この話の落ちは,大倉尾根の階段がいかに有り難いかということである.階段が全くない大倉尾根,想像しただけでも,とてもとても私などには登れそうもない.
 11時05分,小草平を通過する.
 「あれっ…この調子だと,大倉発12時22分のバスに乗れそうだぞ…」
と気がつく.とにかく,駒止茶屋まで行って,22分のバスに乗車するか,それとも52分にするか決めようと思う.

■12時22分発のバスに間に合うぞ
 11時13分,堀山を通過する.
 登りの時に比較すると,雲が少し高くなったような気がするが,相変わらず富士山は雲の中である.
 11時20分,駒止茶屋を通過する.
 「これならば,12時22分のバスに間に合うぞ…」
 私は速歩モードに切り替える.勿論,駒止階段,見晴階段の難所は転倒しないようにユックリと歩くが,安全な場所はかなりスピードを上げる.
 11時48分,見晴茶屋を通過する.これなら22分のバスに十分に間に合う.靴を洗う時間も取れるだろう…ということで速歩モードを続ける.
 12時12分,予定通りの時間にバス停大倉に到着する.大倉の水洗い場にはたった今到着したばかりと思われるTGさん,IIさんが居られる.

■居眠りしながら大船へ
 大倉発12時22分渋沢行のバスに乗車した常連は,結局,TGさん,IIさん,それに私の3人.バスは空いている.
 うまい具合に渋沢発12時36分小田原行に間に合うが,電車に乗車してから睡魔の襲われる.小田原駅でも駆け足でJRに乗り換えて,13時04分発特別快速高崎行に間に合う.
 JRの電車も空いている.腰掛けた途端にまたもな猛烈な睡魔との戦いになる.大船駅では危うく寝過ごしそうになる.
 でも,まあ,こうして何とか塔ノ岳山頂を往復することができた.これで,山へ登れなくなるのではないかという危惧は,まあ,なくなった.
 “めでたし! めでたし!”
である.

<ラップタイム>

 7:06  大倉歩き出し
 7:28  観音茶屋
 7:44  見晴茶屋
 8:19  駒止茶屋
 8:35  堀山の家
 9:20  花立山荘
 9:36  金冷シ
 9:54  塔ノ岳 着(23℃)
10:08    〃  発
10:19  金冷シ
10:35  花立山荘
11:05  堀山の家
11:20  駒止茶屋
11:40  見晴茶屋
11:55  観音茶屋
12:12  大倉着

 [山行記録]

■水平距離       5.2km(片道)

■累積登攀下降高度   1,569m

■登攀所要時間(雑談時間を含む)
 大倉  発      7:08
 塔ノ岳 着       9:54
 (所要時間)  2 時間48分(2.80h)
 水平歩行速度    7.0km/2.80h=2.50km/h
 登攀速度     1,269m/2.80h=453.2m/h

■下降所要時間(休憩時間を含む)
 花立山荘 発    10:08
 大倉   着     12:12
 (所要時間)  2時間04分(2.07h)
 水平歩行速度     7.0km/2.07h=3.38km/h
 下降速度     1,269m/2.07h=613.0m/h
                                    (おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/48cd89f84a6b82dd612c17910d7cfb3e
「丹沢の山旅」の次回の記事
(なし)

※誤字脱字転換ミスご容赦







 


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