<眩しい朝日が射し込む堀山の尾根道>
やっぱり蒸し暑くて「参った!参った!」の丹沢;塔ノ岳(今年34回目)
(単独山行)
2014年7月16日(水) 晴後曇
■今日も蒸し暑そうだ
まだ梅雨が明けていないのに毎日蒸し暑い日が続いている.
“こんな蒸し暑い日に,なんで,わざわざ丹沢に出掛けるんだ…!”
私の心の奥底に住むもう一人の私がご機嫌斜めである.実のところ,今日も蒸し暑くなりそうなので,私も塔ノ岳詣ではお休みにしたいなという気持ちがかなり強いが,でも…でも,今日,もし,塔ノ岳へ行くのを止めてしまうと,体力がますます衰えてしまうことが目に見えている.
“やっぱり…いくら蒸し暑くなるにしても,塔へ行こう!”
とはいえ,熱射病に罹患するのが怖い.そこで,自分の年令も考えて,
“”絶対に無理はしないぞ…絶対に!!“”
と自分によくよく言い聞かせて出掛けることにする.
仏暁,4時過ぎに何時ものように,家を出発.標高65メートルの我が家から,2.5キロメートルの坂道を下って大船駅へ向かう.まだ朝だというのに,まるで銭湯の湯気を彷彿させる”もわ〜っ”とした湯気のような霧が辺りを覆っている.べたべたした空気が私の気持ちを凹ませる.
小田原で小田急電車に乗り換える.車窓から富士山と矢倉岳を見るのが楽しみだが,今朝は例の”もわ〜っ”とした霧が深くて,富士山はおろか矢倉岳すら良く見えない.上空は晴れているというのに…
■ご常連の後を付けるが…
今日は蒸し暑くて平日だというのに,1番バスは立ち席が出るほど混雑している.乗り合わせた常連は,TGさん,編集長のYKさん,YUさん,UMさん,MTさん,TTさん,Hさん,珍しくIIさん他.
バスは,7時一寸前に,大倉に到着する.
私は身支度を調えて,ご常連の直ぐ後を付けて,7時06分に大倉から歩き出す.私の前には1番バスで乗り合わせたご常連が一塊になって歩いているが,歩いている内に,その集団も次第にバラケ始める.
途中,丹沢ベース付近で,前回見かけた百合の花を見るのを楽しみにしていたが,もう今日は見当たらない.だれか心ない登山者が持ち帰ってしまったのだろうか.残念である.
私も集団の一番後ろに付いて歩いてはいるが,とにかく蒸し暑いのに閉口する.というのもつい先日まで,冷涼なオーストリアの山で,雪の中を歩き回っていたばかりなので,気温の急変に,どうも身体が付いいけない.そんなこともあって,雑事場ノ平に近付く頃には,常連の数段からはかなり遅れてしまう.
<常連の皆さんの後ろに付いて>
■見晴階段
7時47分,ようやく見晴山荘を通過する.
見晴階段を見上げる写真を撮ってから,見晴階段を登り始める.ここで,私は常連の皆さんの後を付けるのを諦める.立ち止まっていても,止めどもなく流れ出る汗に,私は熱射病の恐怖を感じたからである.
“今日は,しっかり宗旨替えをして,とにかく塔ノ岳山頂まで安全に登ることに専念しよう…”
と,半ば”負け惜しみ”という本音の部分もあるものの,こう悟らざるを得ない.
悟りか諦めか分からないが,とにかく身体が疲れないように超ユックリの速度で見晴階段を登り切って,モミジ坂に差し掛かる.坂上を見上げると,私より遙か上の方に常連の後ろ姿が見えている.
<見晴階段>
■シッカリ歩くのは諦めた
8時10分,ようやく一本松を通過する.
大倉から歩き始めて,もう1時間以上経過している.いくら遅いといっても,一本松までで1時間を過ぎてしまうなんて…と思うと,実に惨めな気分になるが,これも致し方ない.
8時21分,猛スピードで下山してくるYZさんとすれ違う.
急な駒止階段をやっと登りきって,8時30分に漸く駒止茶屋に到着する.大倉からの所要時間は1時間24分.何時もより15分程余計に掛かっている.不甲斐ないなと思う反面,
“待てよ…ユックリした運動を長くやった方が体力アップには効果的だったな…”
という原則を思い出す.これは遅くしか歩けない自分に言い聞かせる好都合な言い訳である.
私はこの言い訳を口実にして,いっそのこと,今山登りをしているのではなく,公園を散歩しているような気分に切り替えようと思う.幸いなことに駒止茶屋を過ぎる辺りから,幾分涼しい風が吹いている.ユックリ歩き始めてみると,汗をかかずに登れることに気がつく.
■久々の富士山
駒止茶屋を通過して堀山の尾根道に入る.
8時34分,下山してくるKSさんと,もう一人,時々お見かけする男性とバッタリ.
KSさんとパソコンのWindowa8などを話題に10分ほど立ち話をする.私のブログのことも話題になる.熱心に立ち話をしている内に,何時の間にか汗が引っ込んでいることに気がつく.
8時44分,KSさん達とお別れする.
“よ〜しっ…今日はもう絶対に汗をかかずに登るぞ…”
やがて,富士山が良く見える場所に到着する.朝方の霧はすっかり晴れ上がり,久々に富士山が良く見えている.ここで私は色々条件を変えながら富士山の写真を何枚か撮る.富士山の残雪はほんの僅かになっているようである.
<堀山の尾根からの富士山>
■小草平からの富士山
8時56分,小草平の手前で,下山してくるITさんとすれ違う.ITさんは私が被っている帽子を見て,
「涼しそうですね…」
と話しかける.
8時58分,小草平に到着する.
堀山の家前のベンチで休憩を取っている登山者が居る.私は彼に軽く会釈をして,彼の脇に立って.富士山の写真を撮る.そして,休憩は取らずに,そのまま萱場平までの急坂を登り始める.
<小草平からの富士山>
■萱場平
汗をかかないように細心の注意をしながら,小草平からの急坂を登り続ける.正直な気持ちは,さっさと登れない自分の体力のなさ,ひ弱さに嫌気が射している.それを負け惜しみで“汗をかかないで登っている”と言っているに過ぎないことは自分でも良く分かっている.
谷間からホトトギスの啼き声が聞こえてくる
とはいえ,何の不具合もなく,9時24分,ようやく萱場平に到着する.ここでも定点観測用の写真を撮る.
9時24分と言えば…
涼しいときなら,金冷シ辺りを歩いていてもおかしくない時間である.でも,まあ,仕方がないさ…無事に登っているだけでも良しとしなければ…
偶然にも萱場平には,全く人影がない.辺りの森からウグイスの啼き声が聞こえてくる.
<萱場平>
■花立山荘
萱場平からも超スローでとにかく登り続ける.その間に数人の登山客に追い抜かれる.追い抜かれても,逆に追い抜いてやろうという気力が出ない.
“追い抜かれたら追い越そうという闘争心が出てこないオレはもう終わりだな”
という気持ちと,
“ゴーイングマイウエー…あたふたするな.周囲に惑わされずに,マイペースを守れてこそ本当の登山愛好者だ”
という気持ちがどうしても錯綜する.
後7分坂に差し掛かる.正直なところ,この急坂は見るのもイヤだ.でもこの坂道を登らなければ塔ノ岳には登れない.坂を見上げると気が遠くなるので,足元だけ見ながらヤケになって一段一段上り続ける.でも何百回と同じ坂を登っていると,足元の階段の様子を見ただけで,自分がどの辺りを登っているかが分かってしまう.
”しょうがないな…まあその内に登りきるさ…”
でヤケ登りを続ける.
9時58分,やっと花立山荘に到着する.相変わらず富士山が良く見えている.
今日は平日なのに,花立山荘は店開きをしている.山荘前の氷水の幟旗が魅力的である.
“帰りに,ここで氷水でも飲もうかな…”
と思いながら,山荘前で富士山の写真を撮ってから通過する.
<花立山荘>
■花立山
花立山荘から花立山までが,私には実にシンドク感じる.花立山の山頂がすぐそに見えているのに,なかなか登り付けないのでイライラしてしまう.
空を見上げると,大分雲が湧いている.相変わらず富士山は見えてはいるが,いまにも雲の中に消えてしまいそうである.
写真を撮りながら,ノタノタと登り続けて,10時10分,漸く花立山を通過する.
<花立山>
■塔ノ岳山頂
10時13分,馬の背に差し掛かるところで下山してくるTGさん,金冷シ手前でTDさん,さらに,10時18分,金冷シで,IIさんとすれ違う.すれ違う度に一言二言雑談.
金冷シから先も,ヤケクソ気分でダラダラ歩きを続け,10時36分,ようやく塔ノ岳山頂に到着する.山頂の気温は+23℃.多少の風があるので,土曜日に比較すると幾分過ごしやすいようである.
今日の記録は無惨にも,3時間30分.まあ,途中で何回も立ち止まって雑談をしていたので,合計のロスタイムは20分ほどあるにしても…理由はともかく,もはや,記録なんて言えたものではない.
“いやはや…オレ様も落ちぶれたものよ…老兵は消えゆくだけだな”
と思う反面,かのウルマンの詩,
“Youth is not a time of life; its a state of mind…
Years may winkle the skin; but not winkle the seoul”
を連想する.
自分の人生を振り返ると,このウルマンの詩にどれだけ勇気付けられたことか,今更のように思い出す.
山頂から富士山や大山の写真や,自分の写真を撮っていると,尊仏山荘から常連の皆さんが出てくる.
「もう,下山するよ…」
と私に言ってから,下山し始める.
<塔ノ岳山頂>
■雲間の富士山の写真を撮って下山開始
私は尊仏山荘に立ち寄るのを諦める.常連が誰も居なくなった山荘に立ち寄っても詮ないことなので…
風通しの良いベンチに座って,そそくさと昼食を済ませる.心地よいので,時間が許す限り,ここに座っていたい.でも,大倉発13時22分のバスに乗りたいので,あんまりユックリもできない.
私は雲間に一寸だけ頭を出している富士山の写真を撮ってから,11時50分に下山を開始する.
<雲間の富士山>
■勝手気ままな下山
下山は完全に単独行動である.私は時計を見ながら,適当な速度で気儘に下山し続ける.途中で道草をしたので,少々遅れ気味になって,見晴山荘を通過してから,かなり急ぎ足になる.
大倉の集落まで下山すると,家の入口に不思議なものが置いてあるのに気がつく.どうやらお社の形を模したようである.多分,この地方特有のお盆に関係するものと思われるが,ここからそれほど離れていない鎌倉付近では,ついぞ見かけたことがない.
ローカル色豊かな飾りに思わず足を止めて写真を撮る.
<お盆の飾り物>
■無事大倉へ
予定通り,13時08分にバス停大倉へ戻る.下り所要時間は2時間12分だった.
靴を洗うために洗い場へ.私が塔ノ岳山頂ですれ違った常連が洗い場付近に屯している.
私の顔を見るなり,
「…あれ,随分と速いですね…食事はしたんですか」
と私に尋ねる.
「(山頂で)食べましたよ…15分ばかり山頂で休憩をとりました…」
予定通り.小田原駅14時04分発特別快速高崎行電車に間に合う.大船14時33分着.
その足で,掛かり付けの医師を訪れる.この間の血液検査の結果を貰う.AGT,ALT,ALP,γ-GTPなど全て異常なし.
それにしても,オレは暑さに弱いな…というのが今日の実感である.
…ま,そんな結果を含めて,今日の山行は猛暑でシンドかったが良かった.良かった.
<ラップタイム>
7:06 歩き出し
7:30 観音茶屋
7:47 見晴山荘
8:30 駒止茶屋
8:58 堀山の家
9:55 花立山荘
10:18 金冷シ
10:30 塔ノ岳山頂着(+23.0℃)
10:50 〃 発
11:10 金冷シ
11:19 花立山荘
11:56 堀山の家(11:58まで休憩)
12:15 駒止茶屋
12:37 見晴山荘
12:39 雑事場ノ平
12:50 観音茶屋
13:08 大倉着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1269m
■登攀所要時間(雑談時間を含む)
大倉 発 7:06
塔ノ岳 着 10:36
(所要時間) 3 時間30分(3.50h)
水平歩行速度 7.0km/3.50h=2.0km/h
登攀速度 1,269m/3.50h=362.6m/h
■下降所要時間(休憩時間を含む)
塔ノ岳 発 10:50
大倉 着 13:08
(所要時間) 2時間18分(2.30h)
水平歩行速度 7.0km/2.30h=3.04km/h
下降速度 1,269m/2.30h=551.7m/h
(おわり)
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