<花立階段からの眺望>
初夏日に豆桜を愛でながら登る丹沢:塔ノ岳(今年21回目)
(ほぼ単独山行)
2014年5月3日(土) 晴・やや暑い
<朝霧と富士山>
■幻想的な朝霧
いよいよ連休たけなわである.天気予報では,今日は夏日になる可能性が高いという.
約2週間のブランクがあるが,また,久々に塔ノ岳詣でをしようかと思う.4時10分に自宅を出発する.勿論,もう完全に夏装備である.とはいえ,朝の内はまだヒンヤリとしている.
それでも,
“行くぞ,行くぞ,…”
と気合いを込めないとなかなか出掛ける気になれない厳冬期に比較すると,随分と気楽に出掛けることができる.やっぱり春は良いなと心底から思う.
外には深い霧が立ちこめている.明け方に気温が下がって,空気中の水蒸気が霧になったようである.ほのかに明るくなり始めた朝霧の住宅地から標高約70メートルの丸山を下って大船駅に向かう.歩いている内に辺りが次第に明るくなる.
大船駅近くの踏切を渡る.赤い信号が霧の中でボンヤリと見えている.
<霧の横須賀線踏切>
■大船駅
4時40分,大船駅に到着する.湘南モノレールの線路が霧の中に見えている.
駅前のコンビニで,オニギリ2個,ヨーグルト1本を購入してから,大船発5時10分熱海行電車に乗車する.電車は霧のために2分ほど遅延するが,途中で取り戻して,小田原には定刻に到着する.
<霧の大船駅>
■富士山と矢倉岳
5時51分,小田原駅に到着する.時間がタップリあるので,ノンビリと小田急線電車に乗り換える.例によって電車はガラ空きである.
霧は何時の間にか消えている.車窓の外は雲一つない青空が広がっている.
“よお〜しっ…,今日は富士山と矢倉岳の写真を撮るぞ…”
私は座席に子ども座りをして,富士山と矢倉岳が重なる瞬間の写真を撮る.富士山は山裾まで雪で真っ白だ.
<富士山と矢倉岳>
<定速で登り続ける>
■バスは大混雑
6時21分に渋沢駅に到着する.多分,私が一番乗りだろうと思って,大倉行バス停に行ってみると,すでに10人ほどの先客が居る.連休の今日も大倉尾根は混雑しそうである.何時ものように,1番バスの10分前に臨時バスが出る.混雑.臨時バスに乗り合わせた常連は,駆けっこのHさん,毎日登山のTGさん,MMさん,SSKさん,NMさん,TDさん,KIさん,MTさん,FTさん,若手のTDさんなど沢山の方々である.
バスが大倉に到着すると,ご常連の皆様も次々に歩き出す.私はSSKさん,NMさん,NMさんのお友達と一緒に,7時14分に大倉から歩き出す.何時もより約10分遅い歩き出しである.
歩き出して直ぐに,今日は大分蒸し暑くなるなと予感する.
例によって皆さんの歩き出しの歩行速度が速いので,私はご一緒するのに少々苦労する.特に登山口手前の坂道が辛い.早くも汗ばんでくるので,皆さんの後を付けるのをアバンダン.今日はマイペース,同行の方々とは歩調を合わせずに,定速で登るぞと決心する.
■見晴階段
克董窯を通過する頃,私も定速になれて,何とか調子が出てくる.そのまま,マイペースで登り続ける.
8時丁度に見晴山荘を通過する.いよいよ最初の難所,見晴階段に差し掛かる.何時の間にかお仲間の先頭に居た私は,
「私,ユックリ登りますので,どうぞお先に…」
と先頭を譲ろうとするが,皆さんがユックリでも良いと言うので,そのまま定速運転を続ける.
例によって,階段下から上を見上げて写真を撮る.新緑の下で,沢山の登山者が列になって登っているのが見える.
やがて,モミジ坂に差し掛かる.フト気が付くと,何時の間にか,私のすぐ後ろから聞こえていた仲間達の話し声が聞こえなくなっている.私は一人旅をしているようである.
“まあ,いいや…,このまま定速運転を続けよう…”
もう少しで一本松というところで,私たちより遅いバスで来られたNGさんに追い抜かれる.続いて,若い女性に,
「FHさん…」
と声を掛けられる.TDさんである.TDさんも軽々と私を追い越して行く.
<見晴階段>
■涼しげな緑陰
8時14分,モミジ坂上のベンチに到着する.すでに大倉を歩き出してから1時間経っている.何とも遅いペースだが,今日の私の体調ではやむを得ない.
この所一気に芽生えた緑陰が登山道の上空を覆っている.実に快適,気分が良い.モミジ坂入口のベンチで,沢山の登山客が休憩を取っている.
緑陰の中,最高の気分で歩き続ける.
■堀山の尾根道
駒止階段をユックリ登る.それでも,もう汗ビッショリで止まりそうな登山客を2〜3人追い抜く.皆さんどうもハイペースで登るので途中でへばってしまうようである.
“ゆっくり自分のペースで登れば良いのに…”
と人様のことながら焦れったい気分になる.
8時31分,駒止茶屋を通過する.大倉からの所要時間は1時間17分.体調が本調子の土岐に比較して10分ほど遅いラップである.
堀山の尾根道に差し掛かる.この辺りが,歩いていて,一番気分の良いところである.
この時期にしては,めずらしく富士山が良く見えている.早速,立ち止まって富士山の写真を何枚か撮る.
<堀山の尾根道からの富士山>
<二つの平>
■小草平
大倉尾根には二つの平がある.最初の平が小草平である.この平に堀山の家が建っている.
定速一人旅で,8時48分,漸く小草平に到着する.まだ時間が早いので,山荘は開店していない.山荘の柱に吊り下げてある温度計は11℃を指している.やっぱり少々高温である.
小草平のベンチは登山者で鈴なりになっている.相変わらず富士山も良く見えている.
私は低速の定速ながら,小草平でも休憩を取らずに,そのまま登り続ける.
<小草平>
■私はカビ人間
余談になるが…
実は,つい先日,左足親指にできた血豆が気になって,近所の皮膚科医院で診断を受けた.医師曰く,
「血豆は大したことないけれど,爪に白癬菌が見つかりましたよ…」
いわゆる水虫である.
医師の勧めで,水虫退治の飲み薬を服用し始めている.調剤薬局から貰った説明書きによると,どうやらカビ退治の薬のようである.
“オレはカビ人間か…!?”
全身がカビだらけなら,こりゃ〜…,もう何事か言わん哉”
この薬には,残念ながら多少の副作用があって,時々倦怠感を生じる.もちろん軽度だが…今日も朝出掛けるときに,倦怠感があった.
“カビ人間ならカビ人間らしく,ゆっくり登るぞ…”
が今日のモットーである.
■萱場平
私はカビ人間に相応しい定速度で,登り続けて,9時10分に萱場平を通過する.ここのベンチでも,沢山の登山客が休憩を取っている.
私は愛用のバカカメラを取り出して,定点観測の写真を撮る.
萱場平は5月の陽光を浴びて,陽炎が立つのではないかと思えるほどの暖かさである.
■ど根性アザミ
萱場平の木道の間に鎮座するど根性アザミが,ここ1〜2週間の間に,随分と大きく育っている.
アザミは何も知らないだろうが,私はこのアザミから随分勇気をもらっている.厳しい冬を乗り越えて,再び芽吹いたアザミを見ていると,私はとても嬉しくなってくる.
<ど根性アザミ>
<眺望を楽しむ>
■後7分坂
今日は体調が何だか冴えないので,無理をせずに定速を守り続ける.
9時26分,漸く後7分坂(花立階段)に辿り着く.坂下から眺める富士山は絶品である.私は少し立ち止まって,富士山の写真を数枚撮る.
写真を撮り終えて,すぐに階段を登り始める.私が登る速度は超ユックリだが,それでも,階段の途中で2〜3人の登山者を追い越す.私が追い越した方々は全員汗ビッショリになって喘いでいる.
“どうしてそんなに全速力で登るんですか! 公園の階段でも登るつもりで,ユックリ登れば,どうということないですよ…”
と口には出さないで,心の中だけで注意する.
<花立階段の上り口から富士山を望む>
■花立山荘
後7分坂の途中で,下山してくる常連のIIさんとバッタリ.1〜2分立ち話,
「…随分と早いですね」
「今日は用事があるので早く登りました…花立山荘手前でMGさんとYDさんとすれ違いましたよ.その後でTGさんと会いました」
…ということは,今,MGさん達は花立山を登っているところである.
“オレとの差は,せいぜい10分程度だな…”
とおよその見当が付く.
9時35分,やっと花立山荘に到着する.山荘前のベンチは,やっぱり登山者で一杯である.富士山も良く見えている.
大倉からの所要時間は2時間21分.いくら何でも掛かりすぎだなと思う.
小草平からの所要時間は47分.こちらは掛かりすぎで論外.言葉もなし.
ただ,幸いなことに流れるような汗はかいていないし,疲労感もほとんどない.何時の間にか体調はかなり良くなっている.
<花立山荘は盛況だ>
<豆桜を愛でながら塔ノ岳山頂へ>
■花立山荘の桜
花立山荘から先は,満開の豆桜を眺めながらの登山になる.体調が回復して、身体が軽く感じるようになっている.私は豆桜に結城をもらいルンルン気分で登り続ける.
花立山荘を通過して,花立山に差し掛かる.途中で,後ろからいきなり,若い女性から
「FHさん…」
と声を掛けられる.
先ほど私を追い越して行った,TDさんである.
「あれ〜っ…,どうしたんですか?」
「花立山荘で休憩していました…」
TDさんとお友達は,軽々とした足取りで私を追い越して行く.
<花立山荘の豆桜>
■花立山と金冷シ
豆桜の下を潜りながら花立山を登る.途中で富士山の写真を何枚も撮るが冗長になるので,ここでは割愛する.
9時44分,花立山を,9時49分に金冷シを通過する.
<豆桜を眺めながら花立山へ>
■塔ノ岳山頂
塔ノ岳山頂手前の階段で,下山してくるMGさん,YDさんとすれ違う.
10時05分,何とか塔ノ岳山頂に到着する.山頂の気温は13℃.涼しいそよ風が吹いていてとても気持ちがよい.
遠目で尊仏山荘を覗くと,窓越しにMTさん,KIさん,FTさんの後ろ姿が見えている.華伊達美弥雄さんは居るのか居ないのかハッキリしない.
でも,天気は良いし,そよ風が心地よいので,とにかくSSKさん達が到着するのを待つことにする.山頂に腰を下ろして,フト脇を見ると健脚のITさんがすぐ近くに居る.
「おや,暫く振りです…」
「今日は××から登ってきました.」
「それにしては随分と早いですね…箒に乗ってきたんですか?」
ITさんから,今年の秋,是非,浅間山に一緒に登りたいというお話しを頂く.浅間山の地元民であり私には有り難いことである.
SSKさんたちが一向に現れないので,痺れを切らせて,10時15分,下山開始.
<塔ノ岳山頂から富士山を眺める>
<満開の豆桜を愛でながら下山>
■満開の豆桜
下山を開始して,最初の階段をほぼ下りたところで,登ってくるSTさんとすれ違う.相変わらずSTさんはお元気なようである.
金冷シ手前の長い階段に差し掛かったところで,NMさん,SSKさん達とすれ違う.
「スミマセン…待ちきれなくて先に降りてきました…」
満開のサクラを愛でながら,10時43分,花立山荘に到着する,山荘前は沢山の登山客でさらに混雑している.
何気なく花立山荘前を通過しようとすると,1人の女性が私を見付けてニコニコしている.一瞬,何方かなと思ったが,ARENAオフミで時々ご一緒する山旅スクール11期のSNBさんである.
「この間の展覧会見に行きました.秀作賞,凄いですね…」
私,恐縮.見に来て頂いたとは知らなかった…
<花立山荘付近の桜>
<道草>
■堀山の家
次から次へと数珠繋ぎに登ってくる登山者とすれ違いながらの下山が続く.下りの方が上りより返って時間が掛かるほどである.途中,,何人かの山の知人とバッタリを繰り返す.
11時23分,ようやく小草平まで下山する.
堀山の家に立ち寄る.
女主人が,
「おや…FHさん,暫く振りですね…」
と愛想良く出迎える.
何時すれ違ったかハッキリしないが,TGさんが先客である.多分,私が塔ノ岳山頂でグズグズしていたときに,TGさんが山頂から下山を始めたんだろうと思う.
今日は夏バージョンの300円也のトコロテンを所望する.
“正に絶品!”
これからはトコロテンに限るなと思う.
<堀山の家のカステラ付きトコロテン>
■ご常連と一緒に…
11時37分,堀山の家から外に出る.
小草平のベンチで,FTさん,KIさん,MTさんが休憩を取っている.ここから先は,私もお三方と一緒に下山する.
<顔見知りと挨拶するご常連>
<花を愛でながら…>
■場所は書けないが…
途中,花を眺めながらの道草道中.
ナルホド…注意をして見ていると,登山道沿道には実に沢山の花が芽吹き始めている.花に疎い私でも興味が湧く.
撮影した場所を,ここで明かすことはできないが,撮影した写真の中から2枚だけ披露する.
<山麓に咲く花>
■ホウチャクソウ
道すがら,MTさんから,
「…この間,ブログに出ていた花はホウチャクソウって言う花ですよ…」
と教えて頂く.
「一寸,待って…今,ノートにメモするから…」
私はポケットからノートを取り出して,金釘流で,「ホ,ウ,チ,ャ,ク,ソ,ウ」とつっかえながらメモする.
「…そう言えば,先日,『上海帰りのリル』で覚えたルリソウですが,名前は覚えたけれど,肝心の花がどんな花だったか忘れちゃいました…」
と私が愚痴る.
するとMTさんが直ぐ近くに自生している青紫色の小さな花を指し示して,
「これですよ…これがルリソウ」
と改めて教えてくれる.
これでどうやら,ボンクラ頭の私でもルリソウは覚えられそうである.
<ホウチャクソウ>
<今日も一日楽しかった>
■ミスタードーナッツ
12時58分,無事,バス停大倉に到着する.
13時12分のバスに乗車する積もりである.バス停にはもう10人余りが並んでいる.先頭には韋駄天組のNGさんとYDさんが並んでいる.私たちを見て,
「ここに居るよ…」
というボデーランゲージを送ってくる.
バスは立ち席が出るほど混雑する.
渋沢駅ビルのミスタードーナッツに立ち寄る.土曜日恒例のお茶会である.取りあえずの参加者は,TGさん,MGさん,YDさん,STさん.私もホットコーヒーとお水を所望する.
私は,SSKさん達の到着を待たずに,14時頃先にお店を出る.
<ミスタードーナッツ>
■無事帰宅
渋沢駅から小田急線で小田原駅へ.さらに東海道本線に乗り換えて15時過ぎに大船に到着.大船駅周辺も大変な人出でビックリする.
16時少し前に無事帰宅.早速洗濯を済ませて,風呂に入る.
今日も良かった! 良かった!
<ラップタイム>
7:14 歩き出し
7:39 観音茶屋
8:00 見晴山荘
8:31 駒止茶屋
8:48 堀山の家
9:35 花立山荘
9:49 金冷シ
10:05 塔ノ岳山頂着(+13.0℃)
10:15 〃 発
10:26 金冷シ
10:43 花立山荘
11:23 堀山の家(11:37まで休憩)
11:55 駒止茶屋
12:20 見晴山荘
12:35 観音茶屋
12:58 大倉着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1269m
■登攀所要時間(雑談時間を含む)
大倉 発 7:14
塔ノ岳 着 10:05
(所要時間) 2 時間51分(2.85h)
水平歩行速度 7.0km/2.85h=2.46km/h
登攀速度 1,269m/2.85h=445.3m/h
■下降所要時間(休憩時間を含む)
塔ノ岳 発 10:15
大倉 着 12:58
(所要時間) 2時間43分(2.72h)
水平歩行速度 7.0km/2.72h=2.57km/h
下降速度 1,269m/2.72h=466.5m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/2fe63d400e1c77d76b95e126d9b713f8
「丹沢の山旅」の次回の記事
(なし)
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初夏日に豆桜を愛でながら登る丹沢:塔ノ岳(今年21回目)
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