<山麓は新緑>
名残の豆桜と新緑が美しい丹沢;塔ノ岳(今年20回目)
(上り単独・下り常連と一緒に)
2014年4月23日(水) 晴
■春が来て早朝出発も気楽になる
4月も下旬になると夜明けが早くなるので大助かりである.天気予報では,今日は夜明けまで雨,日中は晴とのことである.
4時10分に家を出発する.雨は止んでいるが,上空を分厚い雲が覆っているだけでなく,道路はグッショリと濡れている.
“こんな日に塔ノ岳はイヤだな…”
と思ったが,一方では,
“日中になって晴れれば,山へ行かなかったことを後悔するな…”
とも思う.
それより何より,私はご常連の某氏に,今日,ピッケルをお貸しすることにしているので,これをお届けすることになっているので,行かないなんて言う選択肢はもともとない.
…が,とにかくこの時期になると,どんな早朝でも,ほとんど抵抗感もなく出掛けられるのが有り難い.
途中,小田急線の車窓から真っ白に雪化粧した富士山がとても良く見えている.このまま天気が続けば有り難いなと思いながら,渋沢駅に到着する.
渋沢発大倉行1番バスは,平日の割にはそれなりに混雑している.乗り合わせた常連は韋駄天のNMさん,TGさん,YKさんの毎日登山組,TDさん,TNさん,YUさん,NGさん,KIさん,MTさん,SSKさん,IIさん,NMさん,Hさんなど多士済々.
バスは7時丁度にバス停大倉に到着する.
■ご常連の皆様と一緒に大倉から歩き出す
例によって,私は,7時09分,TGさん,SSKさん,NMさん,IIさんと一緒に大倉から歩き出す.私たちよりほんの一寸前に歩き出したTDさんとTNさんの後ろ姿が20〜30メートル先に見えている.
これもまた例により,皆さんの歩き出しの速度が速いので,私はいきなり皆さんの後に付いていけなくなる.下の写真のように,私と常連の皆様の間は,ジワリジワリと広がっていく.ここで私は覚悟を決める.
“今日は,自宅近くの公園でも歩くような気持ちで,絶対にユックリのんびり登るぞ…”
<常連の皆様と一緒に大倉から歩き出す>
■見晴階段
登山口を過ぎて丹沢ベースに差し掛かる頃になると,私より先を歩いている皆さんの歩行速度が幾分遅くなる.そのため,なんとか私も皆さんに後ろにつけるようになる.
7時32分,観音茶屋を通過して,いよいよジグザグの上り道に差し掛かる.ご一緒の常連のお一人から,それぞれ自分に合った速度で登ってくれという提案がある.
上り勾配がそれほどきつくないところでは,もう少し速い速度で歩けるかなと思った私は,
“それでは…”
ということで歩行速度を幾分速める.
7時37分,高源の家への分岐を通過してヘヤピンカーブを右に曲がる.カーブを曲がって少し高い位置を通過するときに下の方を見下ろすが,先ほどまでご一緒していた皆さんの姿が見えない.私は,この時点で,ここから先は勝手気ままの気楽な登山をしようと心に決める.
7時49分,見晴山荘を通過する.大倉を歩き出してから,もう40分も経過している.今日は多少気温が高いものの湿度が低くとても歩き易い.それにもかかわらず随分と時間を掛けたなと思うが,これも気儘歩きの結果である.今更何をか言わん哉である.
見晴階段に差し掛かる.恒例の定点観測写真を撮る.先週に比較して,この辺りの新緑が一気に芽生えたようである.
つい先ほど私を追い越して行った2人連れの後ろ姿が写っているものの,この2人以外,前方には全く人影がない.私は体力を温存するために,ユックリユックリと見晴階段を登る.
階段の途中で若い男性に追い越される.
<見晴階段>
■新緑が美しいモミジ坂
見晴階段を登り切って,モミジ坂に差し掛かる.目の前には美しい新緑が一杯に広がっている.今日はユックリした速度で登っているので,全く疲労感はなく汗もかいていない.その分,気分にも余裕があるので,十分に新緑を楽しむことができる.そうなると何とも言えない抑揚感が体中に漲ってくる.私は心の中で,
“はは〜ん…こういう気分を山登りの醍醐味って言うんだろうな”
と独りよがりの“合点”をする.
一本松手前で,先ほど私を追い越して行った若い男性が休憩を取っている.私が再び追い越す,
<新緑のモミジ坂>
■駒止茶屋
9時08分,一本松を通過する.歩き出してから既に1時間が経過している.本来ならば,駒止階段を登っていなければならない時間である.でも,まあ,遅くても良いかと思いながら通過する.
すぐに駒止階段に差し掛かる.
“ここもユックリ登ろう…!”
階段の登り口で,先ほどの若い男性に再び追い越される.この男性とはその後何回も追い越したり追い越されたりを繰り返す.
8時25分,漸く駒止茶屋に到着する.大倉から駒止茶屋までの所要時間は1時間16分.
“こりゃぁ〜…いくら何でも遅すぎるな”
と自問自答する.すると私の心の中に巣喰っているもう一人の私が,
“なに言ってるんだ…さっきマイペースでユックリ歩くって言ったばかりだろう”
と私を揶揄する.
“はい…ご尤も…!”
私は引き下がるしかない.
■堀山の尾根道からの富士山
堀山の尾根道に差し掛かる.新緑に囲まれた清々しい尾根道である,実に気分良く歩ける.
富士山が良く見える場所に到着する.山麓に幾分雲が湧いているが,雪で真っ白な富士山がとても良く見えている.何となく気高さすら感じる素晴らしい富士山である.勿論,ここで立ち止まって,富士山の写真を数枚撮る.
富士山の写真を撮りながら,
“これまで,ここから富士山を撮った写真は何枚ぐらいになるだろう…?”
とフト気になる.
塔ノ岳登頂1回当たり3枚撮影するとして,
3枚/回×60回/年=180枚/年
つまり,年間約180枚の写真を撮っている計算になる.仮に20年塔ノ岳に通っているとして,
180枚/年×20年=3,600枚
“うわ〜ぁ…! 大変な枚数だな…”
下手な計算をした当の本人が,自分で驚いている.
進行方向右手の谷間から,ツツドリの啼き声がこだまするように聞こえてくる.これも春の風物詩である.
<堀山の尾根からの富士山>
■名残の豆桜
8時32分,堀山の標識を通過する.
先週満開だったこの辺りの豆桜も見頃は終わり,今は名残のサクラとなっている.でもまだまだ美しいので,ここでも足を止めて数枚の写真を撮る.
私の前後には,登山者の姿は全くない.
<堀山で名残のサクラを愛でる>
■堀山の家
8時48分,小草平に到着する.
今日は平日.堀山の家はお休みである.小草平のベンチでは男性1人が休憩を取っている.私は軽く会釈する.
相変わらず富士山は見えているが,春霞が湧き始めたのか,ウスバカゲロウのようにボンヤリとしか見えていない.
これまでユックリ歩いてきたこともあって,今のところ全く疲労感はなく快調である.
今日も堀山の家から花立山荘まで約40分掛けて登ろうと思う.小草平は休憩を取らずにそのまま通過する.
<小草平からの富士山>
■萱場平
オーバーペースにならないように細心の注意を払いながら登り続ける.その方が身体が楽だし,結果的に楽しく登れることが分かっているからである.
でも,実際にはこれがなかなか難しい,ついつい力んで速歩になってしまいがちである.特に前後に登山者が居ると,追い越したくなったり,追い越されたくないばかりに急いだりしがちである.そこを抑えて自分の身体にあった定速で登り続けるには応分の忍耐力が必要である.
今は幸い一人旅である.実に気楽に登り続けて,9時07分に萱場平を通過する.萱場平には人気が全くなく,明るい太陽が無音で降り注いでいる.
<萱場平>
■花立山荘
後7分坂(花立階段)の登り口から30メートルほど下で下山してくるNMさんとすれ違う.何時もは後7分坂の途中ですれ違っているので,今日は階段1本分,つまり何時もより私が7分ほど余計に時間が掛かっている計算になる.
後7分坂に差し掛かる.長くて辛い階段である.この階段を登るには,いろいろ考えずに無心に(あるいは麻酔が掛かったような状態で)登るのが一番である.
私は何も考えずに登ろうと思う.そして何も考えないようにしようと努力するが,結局,“何も考えない”ということを考えていることに気が付く.
“結局,考えているじゃないか…バカみたい”
私は妙な気分のまま後7分坂を登り切って,9時25分に花立山荘に到着する.山荘前のベンチには誰も居ない.静まり返っている.富士山は何時の間にか雲の中である.
の所要時間は2時間16分.イヤハヤ,いくら何でも遅すぎる.でも,堀山の家からの所要時間は38分.こちらは速い.要するの大倉から堀山の家までが遅すぎたということだ.
<花立山荘>
■塔ノ岳山頂
今日は花立山荘から塔ノ岳山頂までキッチリ30分掛けて歩いてみようかな…なんて,また,余計なことを試みる.
幸いなことに今のところ疲労感は全くないし,流れるような汗もかいていない.多分余裕を持って30分で山頂まで辿り着けるはずである.
残念なことに時間が経つにつれて沸き上がる雲が増えてしまい,遠くの眺望が殆ど利かなくなっている.お義理程度の写真を撮って,スタスタと登り続ける.
新装なった花立山荘のトイレが使用できるようになっている.入口に使用料100円を入れる缶がぶら下げてある.
“初使用してみようかな…”
という野次馬根性が心の中で芽生えるが,何もわざわざトイレに行くこともなかろうと言い聞かせて先へ進む.
9時40分,金冷シを通過する.花立山荘から丁度15分だ.
“シメ,シメ,…その調子”
引きつづき体内時計を駆使しながら,金冷シから塔ノ岳山頂まで15分掛けて登るように歩行速度を調整しながら歩き続ける.
金冷シ付近から上の木々は,まだ,枯れ枝のまま,蕾も膨らんでいない.
山頂直下で下山してくるご常連と30秒ばかり立ち話.まあ,30秒程度なら誤差の内,何の問題もない.
9時55分,塔ノ岳山頂に到着する.上空は晴れているが,富士山や南アルプス方面は雲が湧いていて全く見えない.これも春だからだ.眺望が冴えない写真を撮ってもどうしようもないが,まあ惰性で,周囲の写真を数枚撮る.
山頂の気温はプラス13℃,かなり暖かい.山頂では数人の登山客が休憩を取っている.
大倉からの所要時間は2時間46分と冴えない.ただ,花立山荘からの所要時間は目論見通り丁度30分.こちらの方は予定通りだったので満足.
<塔ノ岳山頂から富士山方面を望む眺望>
■尊仏山荘は大賑わい
山頂での儀式を終えてから尊仏山荘に入る.
今日の小屋番はオーナーのHDさん.華伊達美弥雄さんの姿はない.先客はYUさん,KIさん,MTさん,NGさん,TNさん,Hさん他.300円也のお茶を所望する.
暫くすると,YUさんとTNさんのお二人は丹沢山方面まで少し降りてみるとのことで山荘を出発する.
10時を過ぎる頃,私たちより1時間遅いバスで来られたFTさんが山荘に到着する.それから暫くして一緒に大倉を歩き出した皆さんが続々と山荘に入ってくる.
私のピッケルをお貸しした某氏から小さな箱入りの甘いお菓子を頂戴する.有り難く賞味させて頂く.甘くて濃厚な味がする菓子である.
<尊仏山荘は登山客で大賑わい>
■新緑の中をノンビリと下る
その内に見知らぬ登山者が次々に到着して,山荘の客室が混雑し始める.
“先入れ先出し(FIFO)”ではないが,早く到着した私は何となく居づらい感じがしてくる.
10時32分,先着組のKIさん,MTさん,HさんそれにFTさんと一緒に下山を開始する.
山頂の階段を下りかけたところで,TDさんと一緒になる.その後は6人が前後しながら下り続ける.途中,何か良いものがあれば立ち止まって道草をしながらの気楽な下山である.
12時34分,無事,バス停大倉に到着する.
下り所要時間は,2時間02分.
新緑の中の下山は実に爽快であった.
<新緑の中をノンビリ下山>
■今日も無事だった
大倉発12時52分のバスで渋沢へ.バスはそれなりに混雑する.
渋沢駅で皆様とお別れである.私以外の皆さんは上り電車,私だけ下り電車に乗車,小田原経由で,14時過ぎに大船に到着する.
今日は暑くも寒くもない素晴らしい陽気である.家までバスなどに乗らずに歩こうかと思ったが,夕方,自宅近くの病院で健康診断を受ける予定である.
15時前に無事帰宅.急いで汗臭い登山着を脱ぎ捨てて,普段着に着替える.そして,近くのホームドクターに向かう.診断結果は血圧などに異常なし.
今日も良かった! 良かった!
<ラップタイム>
7:09 大倉歩き出し
7:32 観音茶屋
7:49 見晴山荘
8:25 駒止茶屋
8:48 堀山の家
9:25 花立山荘
9:40 金冷シ
9:55 塔ノ岳山頂着(+13.0℃)
10:32 〃 発
10:44 金冷シ
10:55 花立山荘
11:24 堀山の家
11:46 駒止茶屋
12:02 見晴山荘
12:15 観音茶屋
12:34 大倉着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1269m
■登攀所要時間(雑談時間を含む)
大倉 発 7:09
塔ノ岳 着 9:55
(所要時間) 2時間46分(2.77h)
水平歩行速度 7.0km/2.77h=2.53km/h
登攀速度 1,269m/2.77h=458.1m/h
■下降所要時間(休憩時間を含む)
塔ノ岳 発 10:32
大倉 着 12:34
(所要時間) 2時間02分(2.03h)
水平歩行速度 7.0km/2.03h=3.45km/h
下降速度 1,269m/2.03h=625.1m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/0a6542bb50de029a7fc78dc672569e90
「丹沢の山旅」の次回の記事
(なし)
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名残の豆桜と新緑が美しい丹沢;塔ノ岳(今年20回目)
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