<新緑の大倉尾根>
新緑と豆桜を愛でながら登る丹沢:塔ノ岳(今年19回目)
(常連に同行)
2014年4月16日(水) 晴・春霞
■月光を踏んで…
昨夜は各地で月食が見られた.つまり昨夜は満月である.
早朝,4時10分,何時ものようにそっと我が家を出発する.まだ寝静まったままの住宅地に月の光が煌々と輝いている.
“すばらしい…”
正に“早起きは三文の得”である.
大船に到着する頃には,東の空が白々と明け始める.
もう4月も下旬に近付いている.どんなに早く起きても,寒くて凍えることはない.
小田原で,小田急電車に,ゆっくりと乗り換える.真っ直ぐ乗り換えると早すぎる電車に乗ることになるので,わざと1本乗り過ごして,小田原発6時03分の電車に乗車する.
例によって電車は空いている.今日は1車両に4人の乗客しか乗っていない.
電車が新松田に到着する手前で,私は座席に子ども座りをして,富士山と矢倉岳が重なる瞬間を待つ.
今日の天候は晴.ただ,うっすらと春霞が漂っている.裾の方まで真っ白な富士山がうっすらとみえている.
<月の光> <富士山と矢倉岳>
■花の大倉から歩き出す
6時21分,渋沢駅の大倉行バス停に到着する.1人先客が居る.軽く会釈.
柱の陰でストレッチをしながら時間を潰す.6時30分頃になると,電車が渋沢駅に到着する度にバス待ちの列がたちまちの内に長くなる.TGさん,YKさん,UMさん夫妻,SSKさん,NMさん,MTさん,Hさんなど,多数の常連さんの顔も見える.
平日にしては,1番バスは沢山の登山客で賑わっている.
6時59分,バスは大倉に到着する.
待合室で支度をしていると,大柄な男性が,
「やあ…,こんにちは…」
と挨拶する.
“何方かな…”
と少々ビックリするが,山旅スクール後輩の男性(お名前失念)である.
「今日はミロクの登山日ですよ…」
詳しいことは伺っていないけれど,彼はミロクの重鎮になっているはずである.
7時08分,私はTGさん,SSKさん,NMさんと一緒に,大倉から歩き出す.登山口付近は正に花盛り.綺麗な花に見送られながら,私には少々足早に感じる速度で歩き始める.
歩き出して間もなく,先頭を行く俊足のTGさんとの距離が,じわりじわりと開き始める.
<大倉から歩き出す>
■見晴階段
SSKさんが先頭である.
スロースターターの私には,ちょっと付いて行けないほど速い足並みだが,我慢して後に続く.
“このままの速度で登り続けると,花立山荘手前ぐらいでバテバテだな…”
と思いながらも,暫くの間は,SSKさんに付いていくことにする.
7時30分,観音茶屋を通過して,ジグザグ道に差し掛かる頃,私たちより先に歩き出したYUさん,KMさん夫妻に追い付く.登山道周辺は新緑に覆われている.
7時47分,見晴茶屋を通過する.そして,すぐに見晴階段に差し掛かる.例によって,ここで定点観測の写真を撮る.写真には常連さんの後ろ姿がチラホラと写っている.
<見晴階段>
■堀山の尾根
やがて駒止階段に差し掛かる.先頭を行くSSKさんの歩行速度が急に遅くなる.
“どうしようかな…”
と迷うが,堀山で富士山の写真を撮る時間が欲しかったので,駒止階段を登り切る直前で,先頭のSSKさんを追い越させて貰う.
8時14分,ようやく駒止茶屋を通過する.大倉からの所要時間は1時間06分,まあまあ私の平均時間のようである.
堀山の尾根道に差し掛かる.ところどころに自生する豆桜が満開である.
程なく富士山が良く見える場所に到着する.春霞の中,富士山がうっすらと見えている.もう春真っ盛りだというのに山麓まで雪で真っ白のようである.
<堀山の尾根道から富士山を望む>
■満開の豆桜
堀山の尾根道は,今,豆桜が満開である.
私が富士山の写真を撮っていると,私の直ぐ後を歩いているSSKさんとNMさんが私に追い付く.
辺り一面に自生する豆桜が見頃である.豆桜の写真を撮ると,お二人のツーショットになってしまう.中々良く撮れているが,まあ,ブログで公開するのは差し控えておこう.そのかわりに,豆桜だけ撮った写真を披露する.写真でも分かるように今正に見頃である.
<堀山の尾根道付近の桜>
■萱場平
8時22分,堀山の家を通過する.小草平からも富士山が良く見えている.SSKさんとNMさんが,堀山の家で立ち休憩を取るという.
「今日,私は堀山の家から花立山荘まで40分掛けてユックリ登りますので,先に登っています…」
ということで,私はそのまま堀山の家を通過するが,歩行速度を心持ち落として歩き続ける.
勿論,お二人は直ぐに私に追い付く.その後,NMさんと私の二人が前後しながら登り続けて,8時52分に萱場平を通過する.
ここで定点観測の写真を撮る.今日の萱場平は殆ど人の姿がなく閑散としている.もう初夏を思わせる日射しが照りつけて,やや蒸し暑い感じがする.
<萱場平>
■重い荷物を背負って…
萱場平を通過すると,もう花立山荘まで僅かである.気分的にも随分と楽になる.
相変わらず階段道が連続するが,階段の途中で重そうなプロパンガスを背負った尊仏山荘の小屋番FYさんに追い付く.心の中で“ご苦労さん”を言いながら追い越させて頂く.
<花立階段の手前で…>
■後7分坂(花立階段)
11時02分,後7分坂に到着する.
階段下から見上げる富士山が素晴らしいので,毎回,ここで富士山の写真を撮ることにしているが,今日は春霞のために亡羊としか富士山が見えていない.
「私,今日は7分掛けて登りますので,お先にどうぞ…」
とNMさんに先頭を譲ろうとするが,
「私も7分で登ります…」
とのことなので,そのままマイペースで登り続ける.
<後7分坂から富士山を望む>
■花立山荘
後7分坂の途中で,下山してくる韋駄天のNMさんとすれ違う.何時も通りの場所でのすれ違いである.
後7分坂を,きっちり7分で登って,9時12分に花立山荘に到着する.
まだ時間が早いためか,山荘付近には人影はなく静まり返っている.茫洋とした富士山が相変わらず見えている.
大倉から花立山荘までの所要時間は2時間04分.ちょっと遅い感じもするが,まあまあ,のラップである.堀山の家からの所要時間は,当初想定の40分ピッタリ.こちらは想定通りの時間で歩けたので大満足である.
<花立山荘>
■花立山
花立山荘まで登ってしまえば,塔ノ岳山頂まで後30分,速く歩いても遅く歩いても,もう数分の違いしかないので,ここからは気楽に登ることにする.
花立山荘から先,花立山までの道のりは大した距離ではないが,結構シンドイ.私はノンビリ写真を撮りながら登り続ける.そうこうしている内に,花立山荘で立ち休憩を取っていたSSKさんとNMさんが,再び私に追い付く.
花立山荘から10分掛けてようやく花立山山頂を通過する.
花立山山頂付近で富士山と鍋割山稜の写真を何枚か撮る.
<花立山山頂付近から富士山と鍋割山稜を望む>
■塔ノ岳山頂
9時27分,金冷シを通過する.あと山頂まで15分.
大分余力があるのかNMさんが歩行速度を速める.あっという間に私との距離が開く.
“まあ距離が開いても良いか”
という気持ちと,
”ここまで来たら山頂に到着したのと〃だからノンビリ歩こう”
という気持ちが交錯する.
中途半端な気持ちを反映してか,私はNMさんとSSKさんの丁度真ん中辺りの位置で登り続ける.
9時43分,塔ノ岳山頂に到着する.NMさんが尊仏山荘に入っていくのが見える.山頂の気温はプラス12℃,暖かい.
春霞が濃くなっていて,晴れてはいるものの,富士山は全く見えない.
大倉から塔ノ岳山頂までの所要時間は2時間35分.ちょっと遅いなとは思うが,まあ今の私にはこんな所が精一杯かな.
山頂で周囲の写真を撮っていると,SSKさんも山頂に到着する.一緒に尊仏山荘に向かう.
<尊仏山荘山頂>
■尊仏山荘
尊仏山荘に入る.
YUさん,TGさんの韋駄天組やMTさん,NMさんが先客.小屋番はWDさん.早速300円也のお茶を所望する.
お茶を飲みながら,暫く雑談をしているとHさんが到着する.また次のバスで来られたFTさん,奥さん同伴のUMさんが次々に山荘に到着する.山荘は常連客で賑やかになる.
その間,肝心の華伊達美弥雄さんこと“ミャ〜君”は,石油ストーブの前にかじりついたままである.
ミャ〜君もお年なので,寒さが身に染みるのかな.結局,私たちが山荘を立ち去るまで,ミャ〜君は,ストーブの前から一歩も歩かなかった.
「オマエ,メタボになるぞ…」
<尊仏山荘のミャ〜君>
■美味しい食べ物
隣り合わせに座った常連の皆様から色々な差し入れを頂戴する.嬉しくかつ有り難いことである.
その一例が,下の写真.NMさんからのキュウリである.越後味噌かどうか知らないが,キュウリに添えられている味噌がとても美味しい.
<尊仏山荘にて>
■豆桜を愛でながらの下山
10時47分,尊仏山荘を出て,下山を開始する.
下山はFTさん,MTさん,Hさんと一緒である.NMさんとSSKさんも一緒に下山するかと思っていたが,お二人の下山開始はもう少し後になったようである.
今日は平日,途中の山小屋は全部お休みなので,途中で休憩することもなく,4人で前後しながら下り続ける.
花立山荘付近で,沢山の集団が登ってくる.ミロクの方々である.先頭には先ほど大倉で出会った山旅スクールの後輩が居る.沢山の方々とすれ違いながら,後7分坂を下る.
さらに萱場平に差し掛かるところで,また大人数のグループとすれ違う.こちらもミロクの方々である.同じく山旅スクールの後輩の男性と後輩の女性に声を掛けられる.残念ながらボンクラの私はお二人の名前を失念している.
11時32分,堀山の家を通過する.
標高の高いところの桜はまだ蕾だが,堀山の家を過ぎる辺りから,山桜は見頃を迎えている.堀山の山頂付近には沢山の山桜が群生していて実に見事である.
<堀山の尾根道のサクラ>
<堀山の尾根道のサクラ>
■山麓は新緑
11時50分,駒止茶屋を通過する.
駒止茶屋付近から下の豆桜は,もう見頃を過ぎているが,その代わりに新緑がとても綺麗である.新緑の山道をお三方と一緒に下山し続ける.
<新緑の中を下山し続ける>
■瑠璃草
道すがら花の話になる.私がもっとも弱い領域の話である.
MTさんが私に,
「FHさん…この間のブログに写っていた○○○○○分かりましたか…ヒトリシズカですよ」
「ああ,やっぱり…」
「やっぱりと来ましたか…じゃあ,この花は何ですか…」
という次第で,下の写真の紫色の花がルリソウ(瑠璃草)を教えて貰う.花の名前は聞いてから3歩ほど歩くと忘れてしまうので,ノートに金釘流でルリソウと書き留める.
「覚えにくいので『上海帰りのリル』って覚えますよ…」
「『リル』じゃなくて『ルリ』ですよ…」
「ルリですか…紛らわしいので『上海草』にしておこうか」
<群生する瑠璃草>
■耳形天南草
12時20分,観音茶屋を通過する.
登山口に近付くにつれて,登山道の両側に咲く草花が目立ち始める.前回のブログでも奇怪な姿の花を掲載したが,花博士のHさんやMTさんから,この花の名前はミミガタテンナンソウ(耳形天南草)だと教えて貰う.
“覚えられるかな…多分無理”
帰宅後,手許の植物図鑑で調べると,マムシグサと良く似ているので,多分,私には区別しにくいように思える.
“でも,まあ,良いか…今回は上海草,じゃなくて瑠璃草だけ覚えることにしよう…”
<ミミガタテンナンソウ?>
■大倉は大賑わい
12時43分,無事,大倉に下山する.
塔ノ岳山頂から大倉までの下山所要時間は,1時間56分.下山途中で道草をしていた割には随分と速い下山だった.
春の行楽シーズンとあって,大倉周辺は沢山の観光客で賑わっている.
大倉発12時52分のバスに乗車する.結局,SSKさんとNMさんは,このバスに間に合わなかったようである.
■無事帰宅
渋沢での電車の接続が悪かったが,小田原でのJRへの接続は良かった.電車の中では猛烈な睡魔に襲われるが,乗り越しをすることもなく,14時20分頃,無事,大船に到着する.
まだ,日が高いので,真っすぐ帰宅するのも勿体ないなとは思ったが,バスの接続が良かったので,成り行きでバスに乗車する.
家に戻る.
今朝まで我が家に一時帰国していた息子は私と入れ替わりに赴任地のタイヘ出発したようである.天気が良いので家内も留守.今日からはまた2人だけの生活に戻る.
登山できていた衣類を早速洗濯する.そして風呂を沸かして,ノンビリ入浴だ.これで心身共にリフレッシュする.
さて,明後日の金曜日から2泊3日で甲州道中四十四宿巡りの旅に出掛ける.明日は旅の準備で忙しい.
それに…
NMさんにお貸しするピッケルを来週水曜日に持って行くのを忘れないようにしなければ…今日中にリュックに中にピッケルを入れておこう…
ま,それはともかく,今日も良かった! 良かった!
<ラップタイム>
7:08 大倉歩き出し
7:30 観音茶屋
7:47 見晴山荘
8:14 駒止茶屋
8:22 堀山の家
9:12 花立山荘
9:27 金冷シ
9:43 塔ノ岳山頂着(+12.0℃)
10:47 〃 発
10:58 金冷シ
11:09 花立山荘
11:32 堀山の家
11:50 駒止茶屋
12:10 見晴山荘
12:23 観音茶屋
12:43 大倉着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1269m
■登攀所要時間(雑談時間を含む)
大倉 発 7:08
塔ノ岳 着 9:43
(所要時間) 2 時間35分(2.58h)
水平歩行速度 7.0km/2.58h=2.71km/h
登攀速度 1,269m/2.58h=491.9m/h
■下降所要時間(休憩時間を含む)
塔ノ岳 発 10:47
大倉 着 12:43
(所要時間) 1時間56分(1.93h)
水平歩行速度 7.0km/1.93h=3.62km/h
下降速度 1,269m/1.93h=657.5m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/569f33170e05374d7a9ad87f55eec1da
「丹沢の山旅」の次回の記事
(なし)
※誤字脱字転換ミスご容赦
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新緑と豆桜を愛でながら登る丹沢:塔ノ岳(今年19回目)
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