<ケテタヒ小屋からタウポ湖を望む>
[復刻版]
ルアペフ山・エルバート山登頂記:第3日目(4):トンガリロクロッシング(4)
(山旅スクール5期同窓生)
2006年1月27日(金)〜2月4日(土)
第3日目;2006年1月29日(日) (つづき)
ケテタヒトラック
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<ルート地図>
↓ 拡大図
<プロフィールマップ>
※再掲 ↑ ↑
ケテタヒ小屋 駐車場(終点)
<ケテタヒ小屋>
■ケテタヒ小屋で休憩
私達は見晴らしの良いハイキング道をのんびりと下り,13時40分にケテタヒ小屋に到着する.テラスの柵に腰掛けて小屋の様子をザッとスケッチする.どういう訳かボールペンのインクの出が悪くなり,紙に引っかかるので,線がかすれる.うまく書けないのでイライラする.ガサガサな絵になるのを承知で書きなぐる.
ガイドが私の所に近寄ってきて,私のノートを覗き込む.
「・・・ほう・・なるほど! 上手いものだね・・・」
と感心する.私は恥ずかしくなる.
“I hope so・・・”
とか何とか言って,その場をごまかすが,もっとボールペンの調子が良いときにみてくださいと言いたくなる.
私たちは小屋の前で,暫くの間,ノンビリと休憩をする.
<ケテタヒ小屋の入口>
■タウポ湖遠望
ケテタヒ小屋の前に座る.眼下にはうねうねと続く丘陵が見えている,丘陵の先には,青い水を湛えたタウポ湖が横たわっている.さらにその先には小高い山並みが望める.
“良い景色だな…素晴らしい!”
私たちは,暫くの間,この雄大な景色を楽しむ.
<ケテタヒ温泉>
■温泉の湯煙板
私達は,ガイドの合図とともに,14時25分5にケテタヒ小屋を出発する.進行方向左から右へ流れるなだらかな傾斜をトラバースしながら先へ進む.すぐに深く掘れた荒れ道になる.両側に覆い被さるような土手と草花が続く.
14時56分,進行方向右手の小高いところから白煙が立ち上っているのが見えるようになる.ガイドの説明によると温泉だそうである.ただこの温泉は私有地の中にあるので近づけないとのことである.
<ケテタヒ温泉の湯煙>
■温泉の案内板
近くに温泉の案内板が立っている.例の濃緑の地の上に黄色い文字の案内板である.
ゆっくり読んでいる時間はないが.ここは私有地,でも立ち寄る許可は得ている…ここから400メートルほど入ったところにあるが,決められたルートだけ歩け.ルートから外れるなという趣旨のことが書いてある.
“けちくさいな…”
と内心では思うが,私有地なら致し方ない.
<温泉の案内板>
<花と展望の散策路>
■白い花
路傍には小さな白い花がビッシリと咲いた灌木が沢山自生している.とても可愛い花である.ときどき小さな赤い実をつけた草がある.ガイドから草の名前を聞いたが,聞いた途端にすぐに忘れてしまう.
ガイドが小さな実をいくつか採って,私達に,
「食べてみな・・・」
と勧める.
ガイドの脂ぎって分厚い手の平から,小さな赤い実を一つとって口に入れる.ほのかに甘い味がする.
<花の名前は直ぐ忘れたが,綺麗な花が沢山咲いている>
■素晴らしい散策路
15時11分,いつの間にか掘り割りのような道を通り過ぎて,見通しの良い道に変わっている.道路は極めて良く整備されている.見晴らしの良い道路をノンビリ,ゆったりと下る.道路の砂利の上には,目の粗い金網が敷き詰めてあって,滑らないように工夫されている.とても歩きやすい.
2人のガイドが先頭を行く.その後にフクロウ,バーダー,私,大阪のTさんと続く.2人のガイドの内,スコッティさんは偉く太っている.太鼓腹を揺さぶりながら,先頭に立ってどんどんと先へ進む.もう1人のガイドの名前は忘れた.のっぽで痩せている.まるで「アボットとコステロ」のようである.後ろから歩きながら,
“この2人を足して2で割れば丁度良いのに・・・”
と下らないことを想像する.
<整備された素晴らしい遊歩道を行く>
■ガイドの靴底がパクパク
15時14分,ガイドがいきなり立ち止まる.すぐ後ろを歩いていたフクロウが,節路を振り返りながら,
「・・ガイドの羽が壊れたよ・・・」
という意味の分からない冗談を言う.
何事かと訝りながら様子を見ると,どうやらアボットさん(コステロかな? とにかくのっぽで痩せている方)が履いている登山靴の窟底,がいきなり剥がれて,パコパコしている.
道端に座り込んで,応急処置をすることになる.
早速,大阪のTさんが,リュックからいろいろな品物を取りだして提供する.結局,Tさんが提供した黒い絶縁テープを靴にグルグルと巻きつけて,剥がれた靴底を固定する.
「・・・それにしても,この方,ガイドなのに,随分ボロい靴を履いているな・・・」
というのが私の率直な印象である.ローカットで何年も履きつぶしたような靴である.
5分ほどで修理が終わり,ふたたび歩き出す.
<ストリームウオーターに沿って>
■密林に入る
15時27分頃,私達はいよいよ背の低い灌木帯に入る.この辺りから標高が下がるにつれて,周囲の樹林の高さがますます増して,15時32分頃,ついに密林のような薄暗い樹林帯に入り込む.この辺りの標高は1,025メートルである.
やがて急な下り坂になる.木製の階段が現れ始める.
15時42分,この階段の手前で立ち止まる.そして,皆が付いてきているかを確かめる.後ろから添乗員のSさんが,
「お1人が大分遅れています・・・」
と報告する.
遅れているのは酋長さんある.2〜3分待っていると,顔をしかめた酋長さんが妙な足取りで現れる.どうやら靴擦れができたらしい.早速Tさんのリュックから絆創膏が出てくる.
今回は,まだ皮膚が破れない内に,絆創膏で応急処置をすることができた.良かった!
応急処置を終えて,再び,15時57分に歩き出す.ここから急な木道を下ると,一層薄暗い密林の中に入り込む.少々薄気味悪いほど薄暗い.
<密林の中を下る>
■小川の畔
16時02分,ストリームウオーター(Stream Water)という小川の畔に出る.
例の濃緑の看板が立っている.黄色い字でストリームウオーターと書いてある.何とも即物的な名称である.その下に「飲料水としては不適」と書いてある.
多分,この辺りが火山地帯なので,いろいろな硫化物が水に溶け込んでいるのであろう.暫くの間,ザワザワと流れるせせらぎの音を聞きながら川に沿って下り続ける.
16時07分,橋を渡る.ここの標高は約835メートルである.この辺りからなだらかな道になる.相変わらず濃い密林の中である.
<スクリームウオーターの案内板;飲料水に不適と書いてある>
■水が滔々と流れる小川
16時10分,小さな道が左に分岐している.ガイドが,
「・・・この道を入れ。滝があるから見てこい・・・」
という.
フクロウ,バーダー,Tさん,私の早足組は,ガイドの指示通り,左の小径に入り込む.少し急な坂をほんの20〜30数メートル下ると,密林を分けるように流れる小川に出る.
それほど川幅がある川ではないが,豊富な水が滔々と流れている.確かにストリームの名前がぴったりな川である.ここが火山地帯のためか川の水が幾分濁っているように思える.
<小川:スクリーミグウオーター>
■小さな滝
川の左岸をほんの少し遡ると,水が激しく流下する滝に突き当たる.それほど大きな滝ではないが,水がいくつかの岩を分けるようにざわざわと激しく流下している.さきほど見た温泉が水源地だという.
<スクリームウオーター小さな滝>
<祝杯後専用車でホテルへ移動>
■あと10分で終点
16時12分,元の道に戻る.私達が滝を見に行っている間に,後続部隊が先へ行ってしまったのか,それとも,まだ後ろにいるのかが良く分からない.でも,ガイドの指示もあって,そのままトレッキングを続ける.
私達は,いよいよトレッキングルートの終点を目指して,最後の歩きしている.
スコッティさんが,
「後,10分で終点だよ・・・「これ」が待っているよ・・・」
と言いながら,陽気にビールを飲むジェスチャーをする.
再び,
「早く飲みたいよ!」
というような,おどけた仕草をした後,
「バイバイ」
をする.そして,私達を置き去りにして,走り出してしまう.
取り残された私達は,そのまま歩き続ける.
■トンガリロクロッシングの終点
16時22分,密林の中の小径は突然終わりになる.
車止めのような柵を越えると,いきなり広場に飛び出る.そこは駐車場である.ここがトンガリロクロッシングの終点である.近くに終点を示す看板が立っている.
記念にと思って,看板の写真を撮る.
<トンガリロクロッシングの終点>
■完走を記念して乾杯
出口と反対側にバスが駐車している.
その脇にヘンリーさんがこちらを見ている.私達の姿を見ると,
「・・・早く,早く・お出で,お出で・・」
と大げさなボデーランゲージを交えて,盛んに早く来るように促す.
つられるようにして,私達がバスの前まで行くと,早速,缶ビールを1人ひとりに1本,おめでとうと言いながら手渡す.そして,とりあえず居合わせた人達だけで,缶ビールを高々と掲げて乾杯する.
下戸の私でも,ビールの最初の一口は,実に旨い!
私達の到着から5分ほど遅れて,ビアンコ夫妻,スケルトンさん,酋長さん,ドッジさん夫妻が一団となって続々と広場に入ってくる.
ヘンリーさんが,缶ビールを高く掲げながら,
「早く,早く。早くお出でよ・・・!」
と盛んに一同を鼓舞する.
そして全員で二度目の乾杯をする.
“ 完走乾杯…!”
私達は,トンガリロクロッシング,全長17キロメートルのハイキングを無事終えた.
駐車場で缶ビールを片手に,完走の祝杯をすると疲れも一気に吹っ飛ぶ.
アルコールに弱い私は,缶ビールを全部のみ干すことができない.残念ながら残った半分以上のビールを大地に戻してしまう.
<完走を記念して乾杯>
■一路ホテルへ
乾杯を終えて,16時30分,迎えのバスに乗車する.私たちが乗り終えると,バスは直ちに発車する,
バスは2車線の道路をもの凄い速度でひた走る.
トンガリロ山群の広大な山麓の中をバスは進む.振り返ると私達が下ってきた谷間が良く見える.山麓を北側から東へ回り込むようにして南下する.
17時04分にバスはベイビューシャトーに到着する.
<専用バスでホテルへ移動する>
(つづく)
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(編集中)
「目次および索引」
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