水彩画『山頂を目指して(モンブラン)』について
(太平洋神奈川展一般公募作品)
2019年9月8日(日)
去る8月27日(火)から9月2日(月)まで,横浜市民ギャラリーで太平洋神奈川展が開催された.私は自分の未熟さを顧みずに薦められるままに2枚の水彩画を応募した.この経緯については既に当ブログに投稿済みだが,一昨日,出展していた絵が無事手許に戻った.
そこで,この2枚の水彩画を制作した意図について少し記録に留めておきたいと思う.まず最初に冒頭の写真に投稿した『山頂を目指して(モンブラン)』に付いて,私の意図をメモしておこう.
この絵の大きさはF40.会場では小品扱いである.実際に会場に飾られた絵を見ると,F40ではとてもとても小さくて・・・
でも,自宅に戻った自分の作品を部屋に広げて見ると,我が家ではデカすぎてとても飾るところがない.その乖離.個人にとって絵とは何かを考えさせられてしまう.
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さて,この絵は,10年ほど前,私がまだ高所登山に十分な体力があった頃,山仲間と一緒にモンブラン山に登ったときの印象を,当時のメモと写真を頼りに画いたものである.山容などは現実とできるだけ同じになるように心掛けて描いた.右下の2人の人物は,現地の山岳ガイドにザイルで確保して貰っている私を描いたつもりである.勿論自分の姿など自分では見えないので,人物は多分こんな具合であっただろうなという想像で画いたものだ.
平素,何か用事がない限り,毎週,土曜日には塔ノ岳に出掛けている.ただ夏の蒸し暑いときは,塔ノ岳山頂まで登らずに,途中の萱場平や花立山荘から下山してしまうことも多い.でも,同年代の皆様と比較したら,多分,私は健康な部類に入るであろう.それでも十分に高年齢である.高年齢になると,フト来世への憧れのようなものが心のどこかを過(よ)ぎるようになる.
自分に与えられた有限の命が山頂に達したときに旅立つんだろう.山頂までは先導役に導かれながら茨の道を登り続ける・・・実際のモンブランに登っていると,前方に見えている山頂らしきところは,実はまだ山頂ではなく,その先にまだまだ急なヤセ尾根が連続する.
先導役のガイドが持っているピッケルは「道しるべ」そしてザイル(綱)で導かれている影の薄い人物が私.私は連続する急傾斜の尾根道を”ず~”っと登り続けている.疲労困憊.ガイドに促されながら,トボトボと重たい足を山頂へと動かしている.
こんな気持ちを込めて,この絵を描いていた.
この気持ち,見て下さる皆様に伝えられただろうか.どれだけこんな気持ちが伝えられるかでこの絵の評価が決まるような気がしてくる.
ちょっと話題がずれるが・・・
絵の上手い下手って何で評価するんだろうか?
写真のように自然の「模倣」がどれだけ忠実に行われているかで評価するのも一つの方法だろう.事実「模倣」が精緻で忠実な絵は人を感動させるし素晴らしいと思う.だから「模倣」は有力な評価尺度になることは間違いない.
でも,でも・・・である.
ここから先の議論は,正に芸術の専門家でないと歯が立たない.だから,今回はこの辺りで,くだらない文章を終えるが,まあ,こんなことを考えながら,この絵を描いたことだけは記録に留めておこう.
(おわり)
「趣味三昧;セピア色の画集」の前回の記事
https://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/da449fdea25fce5a687e0c7257628825
「趣味三昧;セピア色の画集」の次回の記事
(なし)
お断り;
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水彩画『山頂を目指して(モンブラン)』(F40)について
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