<花立山付近からの眺望>
”こりゃもう登るのは無理!”と思った丹沢;塔ノ岳(今年20回目)
(単独山行)
2019年7月8日(月) 曇
<ルート地図>
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▇このところ土日は雨ばかり・・・
平素,土曜日に塔ノ岳に登ることにしているが,今年の梅雨はなかなか手強くて,殆ど毎日雨ばかり.なんぼなんでも雨の日に山に登る気がしないので,ついつい山から足が遠のく.最低週1回ぐらいの頻度で登山をしていないと,すぐに脚力が鈍ってしまうのは自明である.特に高齢者になるとこの弱り方は尋常ではない.
それに加えて,ここのところ,なんやかやで結構多忙である.そんなこともあってやっと今日,塔ノ岳に出掛けることにした.そうはいっても,早朝3時に起床して4時に自宅を出発しなければならないのは結構億劫である.
前の日の晩に,
”明日の朝は確実に3時に起きるぞ”
と自分に言い聞かせて,20時30分に就寝した.でも明日は山と決めるとどうにも落ち着かない.そんなわけで,眠ったのは多分9時過ぎだっただろう.でも気が張っているのか1時前に目が覚めてしまう.
”あと2時間眠るぞ・・・”
ということで目覚まし時計をセットして眠ろうとするが,気が立っていてもう眠れない.仕方がないので起床.したがって睡眠時間は4時間.これでは最初からダメ.起き上がっても体がどうも重い感じである.
4時ちょっと過ぎに自宅を出発.何時もの通りである.ちょっと涼しい感じ.曇り空ながら清々しい.ただ寝不足もあって体がやけに重い感じがする.
大船観音に見守られながら,大船駅に到着.何時ものように東海道本線下り初電に乗車する.
<大船観音に見送られながら・・・>
▇富士山と矢倉岳
小田原駅で小田急線新宿行快速急行に乗り換える.
天気予報では今日は曇で夜から雨とのことだったが,今のところ青空が一面に広がっている.期待していた富士山と矢倉岳も重なって良く見えている.早速写真を撮るが,電車の窓の反射があってあまり良い斜視は撮れない.
富士山ももうすぐ山開きである.表側から眺めた富士山にはもう殆ど残雪はないようである.
<富士山と矢倉岳>
▇渋沢駅から富士山を望む
6時21分,渋沢駅に到着する.
まずは渋沢駅歩道橋の上から富士山を眺める.山裾に雲が湧いてきているが,富士山がスッキリと見えている.
7時48分発大倉行バスに乗車する.土日の天気が悪かったせいか平日にしては随分と乗客が多い.NGさん,MMさん,AIさん,MGさんなど常連の方々も乗車しているようである.
<渋沢駅前から富士山を望む>
▇大倉から歩き出す;体が重い
バスは7時01分に大倉に到着する.
登山の準備を済ませて,7時07分に登山開始.
歩き始めて直ぐに,やっぱり今日も本調子ではないなとすぐに気がつく.このままだと到底山頂までは辿り着けそうもないので,極々ゆっくりペースで登り続ける.常連の皆様には歩き出して極最初の段階でどんどんと先に追い抜かれてしまい,結局単独ノンビリ登山となる.まあ老いぼれの気楽な登山なので,山頂まで行かなくても良いさと歩き出し当初からもう戦力を喪失している.
前日までの雨で路面が濡れている道をノソノソと登り続ける.克董窯を通過して程なく砂利道に入る.道一面に敷かれた礫が濡れていてとても歩きにくいが我慢してユックリノンビリと歩き続ける.やがて,丹沢ベースを通過して日の当たる坂道に差し掛かる.先ほどまで晴れていたのに,何時の間にか辺り一面に薄らと霧が立ちこめている.それほど暑くはないが,湿度がやけに高そうで,歩き始めからベタベタ感が不快である.
7時39分,観音茶屋を通過する.何時もならばこの辺りまで登ると体も順応して足取りも軽くなるのだが今日はダメ.全くダメ!
”一体どうなっちゃたんだろう・・・!”
8時02分,ようやく見晴茶屋に到着する.大倉から歩き出してからすでに52分も経過している.
”こりゃあ・・・! 駄目ダ! 駄目ダ! 絶対駄目ダ!”
字単打を踏むとはこのことか.でもこれが厳しい現実.
”そろそろオレも年貢の納め時かな”
と思いながら,ショボショボと登り続ける.
<日の当たる坂道>
▇見晴階段
いよいよ見晴階段である.
何時ものように坂を見上げた写真を撮る.今日は平日.登山者の後ろ姿は殆ど写っていない.鬱蒼とした木立の中の急階段をユックリユックリと登る.
”さて・・・っと! 今日は何処まで登ろうかな・・・”
と頭のどこかでこんな考えが蠢いている.
周囲の森からはウグイスやホトトギスの啼き声が聞こえてくる.
”お前等,陽気で良いなぁ・・・”
ようやく急階段を登り切って,モミジ坂に差し掛かる.ここまで登れば,この坂道,長いけどユックリ登ればそれほど大したことはないので,8時16分,一本松を通過する.大倉からの所要時間は1時間09分.ここまではせめて1時間03分ぐらいで通過したいところである.
<見晴階段>
▇駒止茶屋
一本松上で下山してくるKSさんとバッタリ.
「やあ,やあ,FHさん・・・」
で何時ものように握手.
ここで数分立ち話.
私がシンドそうにしていると,
「(貴方の年でいくら時間が掛かっても)塔ノ岳山頂に登れるだけでも素晴らしいですよ・・・」
と慰められる.
またまたKSさんから勇気を頂戴する.KSさんは私にとって有難い存在である.
”そうか! そういう考え方もあるな・・・”
私はもうラップタイムなど記帳するのはやめようかなと思う.なまじ時間を記録するから,速いの遅いのがどうしても気になる・・・それよりも辺りの風物を長めながらユックリ登ろう・・・と当座は思う.でも,結局はラップタイムを記録してしまうから小股者だ.
一本松から暫く続く水平道で体力を整えてから,駒止階段を登り始める.この階段はそれほど長くはないが,結構な急坂である.ここを力んで登ると必ずあとでスタミナ切れになる.数年前まではそんなことなかったのに・・・
8時45分,やっと駒止茶屋前を通過する.KSさんと数分立話をしたにしても,大倉からの所要時間は1時間38分.もう小草平を通過していなければならないラップである.すでに何時もより20分以上ビハインドになっている.<駒止茶屋>
▇癒やしの尾根道
駒止茶屋から先はなだらかで心地よい尾根道が連続する.大倉尾根で一番楽しいところである.谷間から爽やかな風の音や小鳥の鳴き声が聞こえている.微風ながら心地よい風が火照った頬を優しくなでてくれる.ほんの20分ぐらいの時間だが正に癒やしの尾根道である.
9時01分,やっと堀山の案内杭の前を通過する. <癒やしの尾根道;堀山>
▇小草平(堀山の家)
ちょっとした登り返しがあって,9時11分,ようやく小草平に到着する.堀山の家の温度計は14℃を指している.涼しいが,湿度が高いようである.大倉から歩き出してすでに2時間04分経過している.KSさんとの雑談時間を5分としても約2時間かかっていることになる(平素は1時間35分程度で歩いているが・・・).
最近,強風でも吹いたのか,堀山の家の掲示板の扉が開きっぱなしになっている.そして掲示してあった私の絵が地べたに落ちて雨ざらしになっている.開いたままの扉を閉めて,雨ざらしになっている絵を回収する.
相変わらず富士山は見えない.小草平のベンチには誰も居ないし,堀山の家は平日なので休業中.人の気配が全くない小草平で,小腹が空いたので,ニギリメシを1個頬張る.何分休憩をとったかはっきり覚えていないが,またスゴスゴと登り続ける.
<小草平に到着>
▇萱場平
ここから先の急坂はのんびり登るに限る.
ノンビリ登山のために,それほど体力は消耗していないし,やたらに汗をかくこともなく淡々と登り続ける.
9時41分,ようやく萱場平に到着する.ベンチに腰掛けて給水休憩5分.辺りに立ちこめる霧がますます深くなるようである.振り返ると谷の向こうに下界が見えている.どうやら下界の里には薄日が射しているようである.
辺りには,全く人の気配がない.自然の音だけがかすかに聞こえてくる.まさに静寂.
”今日の終点は花立山荘か花立山にしようかな・・・”
と思いながらまた歩き始める.
<萱場平>
▇韋駄天2人
萱場平を過ぎて,階段道に差し掛かるところで,下山してくる超韋駄天のNMさんとすれ違う.
”いくら超韋駄天さんでも,もうここまで降りてきたの・・・!?”
これには大変ビックリする.それにしても,いやはや大変な違いである.数年前までは,花立階段ですれ違っていたが・・・それだけ私が遅くなったということだ.思い返せば,あの頃,私は花立階段を7分で登っていた.そのため当ブログでも「後七分坂」と表記していた.ところがどうだ! 自慢ではないが今は,登るのにたっぷり10分かかる.
こうしてヘロヘロになりながら花立階段を4分の3ほど登ったところで,同じバスに乗っていた我らが韋駄天MGさんとすれ違う.
「まあ,ここまで登ったんで,ユックリ(山頂まで)登りますよ」
と負け惜しみの弁解をする.
「そう・・・無理しないでユックリ登ってきて下さい・・・」
との声に送られて,10時21分,やっと花立山荘に到着する.周囲の霧が一層濃くなっている.こころなしかポツンと冷たいものが落ちたような気もする.花立山荘の気温は16℃.決して高温ではないが,何せ多湿である.とにかく体感的には蒸し暑い.
大倉から歩き出して,もう3時間14分も経っている.このだらしなさにガックリ! 10年前なら塔ノ岳山頂に到着するラップである.
これから先,この調子だと山頂まで40分ほど掛かりそうである.山頂まで行ってしまうと,大倉発13時22分のバスに絶対に間に合わないことは自明である.でも絶対に山頂まで登りたいという気分が高揚してくる.
<霧の中の花立山荘>
▇白い綺麗な花
階段が終わってガレ場にはいる.
登山道の脇に白い綺麗な花がビッシリと咲いている.花の名前など覚えようとしない私には当然この白い花の名前など分からない.でも,本当に綺麗で可愛いなと思う.ここで何回も立ち止まってこの花の写真を取りまくる.
白い花の向こうには鍋割山稜の山が霧の中で薄らと見えている.その先に蛭ヶ岳が見えるはずだが,完全に霧の中である.
<可憐な白い花>
▇花立山
何時の間にか,汗が引っ込んでいる.湿気が気にはなるが,とにかくやたらには蒸し暑くない.
花立山荘から続く階段道が最近整備され,随分と歩きやすくなっている.これは実に有難い.「感謝!感謝!」である.
晴れていれば花立山からの素晴らしい眺望が見られるのだが,今日は近場の鍋割山稜すらおぼろげにしか見えていない.10時38分,漸く花立山山頂に到着する.花の写真で道草をしていたので,花立山荘から花立山まで16分も掛けてしまった.
花立山山頂から塔ノ岳方面を望む.山頂付近には濃い霧が掛かっている.これは残念.<花立山山頂>
▇金冷シ
花立山山頂から塔ノ岳山頂までは,そんなにキツくはないので,後は楽勝である.ただ塔ノ岳山頂直下の階段が少々きついが,まあユックリ登れば大丈夫.
ここまで登れば気分的には随分と楽になる.私は余裕を持って周囲の風物を楽しみながら登り続ける.登山道の周囲から虫の啼き声が絶え間なく聞こえている.どうやら2種類のセミのような虫が射るらしくて,一方はジージーと何かが軋むような連続音の啼き声である.もう一方は「ジッ,ジッ,・・・」と間欠する啼き方をしている.どちらもこの季節になると鳴き出す丹沢の尤物詩である.
10時44分,やっと金冷シに到着する.
”あと塔ノ岳山頂まで0.6kmか・・・.もう山頂に着いたようなものだな”
<金冷シ>
▇塔ノ岳山頂
金冷シから先は惰性で登り続ける.最近,金冷シから最初の土の階段道が立派な木の階段に作り替えられている.随分と歩きやすくなったので大助かりである.ノソノソと登り続けて,金冷シから2番目の階段を登っているときに下山してくるMTさんとすれ違う.
「・・・山頂まで登ればやっぱり気分がスッキリするでしょう・・・」
と図星なことを言われてしまう.
さらに塔ノ岳山頂あと数メートルのところで,下山し始めたNGさんとすれ違う.ほんの1~2年前までは私の方がNGさんより絶対に速かったのに・・・
週に1回登るか登らないかの私と,週に何回か登っておられるNGさんとでは,塔ノ岳が与えてくれる恩恵に差が付いても当然なことだと心底から思う.
11時09分,漸く塔ノ岳山頂に到着する.大倉からの所要時間は実に 4時間00分である.これで私の最低記録が図らずも更新された.花立山荘から実に46分も掛かってしまった.山頂の気温は17.5℃.やっぱりちょっと高めである.
相変わらず辺り一面に霧が掛かっている.特に風が吹いているわけでもないが,雲が絶えず流れている.少し霧が晴れたときに富士山の方向の写真を撮る(ちょっとぶれていしまった).勿論,富士山は全く見えていない.山頂で数枚の写真を撮るがどれもこれもぶれたり見当違いのところが写っていたりでまともな写真は一枚もない.
<塔ノ岳山頂>
▇破れかぶれでノンビリ下山
折角山頂まで登ったんだからということで,少々眺めに休憩時間を取る.まずは食事.「腹が減っては戦ができぬ」である.
11時20分,ようやく腰を上げて下山開始.
”どうせ遅れ序でだ・・・今日はユックリノンビリ下山しよう・・・”
と覚悟を決める.
”バスなんて・・・何時のバスでもいいや”
こう割り切ってしまうと実に気楽である.
山の音,湿り気の香り,野鳥の啼き声に耳を傾けながら下り続ける.今日は平日なので途中の山小屋は全部お休みである.悟ってしまうと気楽である.今日は平日で天気も良いとは言えないので登山者の数が少ない.何よりも追い越されたり追い越したりが殆ど無いのが精神衛生上実に宜しい.
全くのデタラメ歩きで,14時10分,無事にバス停大倉に下山する.下山所要時間はなんと2時間50分.何時もより30~40分余計に時間を掛けた計算になる.
バス停大倉発14時22分のバスに乗車する.乗り合わせた登山者は5~6人,土日に比較すると圧倒的に空いている.
▇電車,バスの接続が最低
渋沢発14時44分急行新松田行に乗車する.新松田駅で各駅停車小田原行電車に乗り換える.実に焦れったい.15時10分,小田原駅に到着する.
さて東海道本線上り電車である.なんと,15時36分まで上り電車がない.25分ほどホームでイラ,イラ,イラ・・・.
16時05分,やっと大船駅に到着する.ところが今度はバス待ちに時間が17分もある.何だかんだでで16寺半頃やっと帰宅する.
久々の塔ノ岳往復ということもあって,随分と時間が掛かってしまった.さらに自覚症状はなかったもののやっぱり大分体力を消耗したらしく.夜中に左足の足の裏が痙攣してしまい,
”イテ,テ,テ,テ・・・”
寄る年波で,そろそろ塔ノ岳登頂は無理かなと思いはじめている.
大台になるまで,塔ノ岳に登りたいなと思っていたがどうも無理のようである.これも神仏の思し召しならば仕方がないことだが・・・ まあ成り行きに任せよう.
<ラップタイム>
7:07 大倉歩き出し
7:39 観音茶屋
8:02 見晴茶屋
8:45 駒止茶屋
9:11 堀山の家
10:21 花立山荘
10:44 金冷シ
11:07 塔ノ岳着
11:20 〃 発
11:36 金冷シ
11:52 花立山荘
12:33 堀山の家
12:56 駒止茶屋
13:22 見晴茶屋
13:38 観音茶屋
14:10 大倉着
[山行記録]
▇水平歩行距離 7.0km(片道)
▇累積登攀下降高度 1,269m
▇上り所要時間(休憩時間込み)
大倉発 7:07
塔ノ岳着 11:07
(所要時間) 4時間00分(4.00h)
水平歩行速度 7.0km/4.00h=1.75 km/h
登攀速度 1,269m/4.00h=317m/h
▇下り所要時間(休憩時間込み)
塔ノ岳発 11:20
大倉着 14:10
(所要時間) 2時間50分(2.83h)
水平歩行速度 7.0km/2.83h=2.47 km/h
下降速度 1,269m/2.83h=448m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
https://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/1b596e6044e979c1eda06b58f1cf8c2e
「丹沢の山旅」の次回の記事
(なし)
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