<花立山から富士山を望む>
残雪と泥濘・それに富士山眺望の丹沢;塔ノ岳(今年1回目)
(ご常連に付いたり離れたり)
2014年1月4日(土) 曇
■何で朝早く出掛けるんだろう
厳冬期を迎えているので朝寒いのは当たり前である.でも,そうは言っても,暖かい寝床から起き上がるのは何とも億劫である.ましてや,誰に頼まれたわけでもないのに.真っ暗な早朝の寒い時間に,ノコノコと外出するなど,まともな人間のやることではないと.いつでも思っている.
それにもかかわらず,私は今日も4時10分に家を出発する.まるで“狂気の沙汰だな”と自分でも自覚している.
“なんでお前さんは,そんなに無理をしてでも,丹沢に行きたいんだよ…”
と,私の心の中に巣喰っているもう一人の私が,私を糾問する.
いや,全くのところ,私にも何で泥棒のように人が寝静まっている時間にノコノコと出掛ける心情が自分にも分からないのだ.でも,まあ,とにかく,自宅のある尾根筋から大船駅まで約3キロメートル,約7,000歩の道を,30分ほど掛けてノコノコと歩く.
ようやく辺りが少しばかり明るくなる6時20分頃,小田急線渋沢駅に到着する.大倉行バス停には先着の登山者が1人居る.つまり,私は,遠方の鎌倉から来たのに2番目に早い到着ということになる.10分ほど過ぎると登山客が増え出す.常連の方々も次から次へと列に加わり出す.
今朝の1番バスに乗車された常連は,駆けっこのHさん,韋駄天のTGさん,韋駄天のKMさん,編集長のYKさん,NMさん,SSKさん,NGさん,MTさん,STさんなど多士済々.
■居合わせたご常連と一緒に歩き出す
バスは7時丁度に大倉に到着する.私はたまたま居合わせた鵠沼の貴婦人NMさん,SSKさん,キャベツのTZさんなどご常連の皆様と一緒に大倉から歩き出す.私のすぐ前をTDさんとTNさんのお二人が歩いている.お二人の歩行速度が,やや速いので,私たちとの間が少しずつ開き始める.私は先行し始めたお二人の後を追うか,それとも後ろのグループと一緒に登るかで迷うが,ズルズルと後ろのグループに仲間入りする.
前回塔ノ岳に登ったのは昨年暮の12月28日だった.あのときはかなり山裾の方から雪があったが,今日は山麓の残雪が見当たらないようである.
<一般登山客に混じって>
■見晴階段
8時02分,見晴茶屋を通過する.茶屋から相模湾を見下ろすと,何時ものように太陽の光が海面で反射して鏡のように輝いている.
見晴階段に差し掛かる.何時ものように定点観測の写真を撮る.坂を見上げると数人の登山客の後ろ姿が見えているが,人数は何時もの土曜日より幾分少なめである.
私はNMさんの後に着いて歩いているが,気が付くと一緒に歩いていたはずのSSKさんやTZさんの姿が見えなくなっている.坂を登っている途中でリズムを崩すのも疲労を増す原因になるので,ここはそのままのペースで登り続けることにする.
<見晴階段>
■駒止階段から堀山の尾根道へ
一本松を通過して,坂の勾配がやや緩やかになったところで,NMさんと私は後ろを振り返って,先ほどまでご一緒していた常連さん達が見えるかどうか確かめるが,なかなか現れない.
“ユックリ登っていましょう…そのうちに追い付くでしょう”
ということで,歩行速度をやや落として登り続ける.
やがて駒止階段に差し掛かる.階段の途中で止まりかけている登山者を追い抜いて,8時26分,ようやく駒止茶屋に到着する.
大倉からの所要時間は1時間14分.平素の所要時間より7〜8分遅いが,ユックリ歩いたから疲労度が少ないというわけでなく,やっぱり相応の疲労感がある.
ここでも後ろを振り返るが,SSKさん達の姿は見えない.
「どうしたんでしょうね?…堀山の家まで行って,待ちましょうか?」
とNMさんが私に提案する.もちろん異論などない.
そのまま堀山の尾根道に入る.路面の泥濘はまだ凍結したままだが,下山する頃には,多分,泥が溶け出してしまうだろうと思いながら歩き続ける.
やがて富士山が良く見える場所に到着する.
高曇りの空を背景に,富士山が良く見えている.もちろん,私はここで立ち止まって富士山の写真を撮りまくる.そして,8時36分,堀山を通過する.
<堀山の尾根からの富士山>
■堀山の家
8時45分,ようやく堀山の家に到着する.
堀山の家にちょっと顔を出して,新年の挨拶をする.最近,私も土曜日には堀山の家のコーヒーを賞味することが多いので,今日も帰りには立ち寄ろうと思っている.
堀山の家の女主人とNMさんが雑談しているところをパチリ.
私の顔が堀山の家のホームページにかなり頻繁に掲載されているので,今回は逆に私のブログに堀山の家の写真を掲載することにしよう.
<堀山の家に到着>
■小草平からの富士山
私たちは,後続のSSKさんたちを,漕ぐだ平のベンチに座りながら待つことにする.
相変わらず,小草平から富士山が良く見えている.これまで何回もここからの富士さんの写真を撮っているが,きちんと撮れたためしがない.いつも富士山が青空に溶け込んでしまったような写真しか撮れないが,今日は曇り空なので,何とか富士さんの写真を撮ることに成功する.
立ち止まっていると,寒さが身に染みてくる.
「さむいなぁ〜」
と独り言を言うと,NMさんが,
「どうぞ先に行って下さい…私はもう少し待っています」
と私に先に行くように促す.渡りに船とはこのことである.
「では,今日は花立山荘まで45分のペースで登っていますので,花立山荘でお会いしましょう…」
ということで,8時51分,堀山の家から歩き始める.
結果的に,堀山の家でのロスタイムは6分である.
<小草平からの富士山>
■萱場平
私はユックリペースで登り続ける.予定通り45分ピッタリで花立山荘に到着するように歩ければ理想的である.これが速すぎたり遅すぎたりでなかなか思うように行かない.思うように行かないのが逆に面白さでもあるが…
堀山の家からは完全な一人旅である.威勢の良い何人もの若者に追い越されながら,ともすればオーバーペースになりそうな自分を制御して登る…正に忍耐,忍耐である.
9時12分,ようやく萱場平に到着する.終始マイペースならばそろそろ花立山荘に到着する時間である…が,そんなことを考えること自体が,まだ,まだ悟りの境地に達していない証拠でもある.
この辺りまで登ってくると,登山道の両側に残雪がちらちら見え出す.
<萱場平>
■花立山荘
9時28分,後7分坂(花立階段)下に到着する.相変わらず富士山が良く見えている.ならばやっぱり写真を撮らなければ…
ついでに,後ろを振り返る.NMさん達一行は相変わらず現れない.後7分坂を7分掛けて登って,9時35分,花立山荘に到着する.
堀山の家からの所要時間は47分,
“ありゃ〜ぁ! ちと,遅すぎたか!”
なかなか思い通りのラップで歩けないのが,悔しくもあり,楽しくもありである.
ここで,NMさん達を待っていようかとも思ったが,寒いのでそのまま歩き続けることにする.
<花立階段登り口からの富士山>
■金冷シ
花立山荘を通過すると,天候が一変してさらに寒くなる.
左手に富士山を眺めながらガレ場を登って,9時45分に花立山に到着する.ここで,4本爪軽アイゼンを装着する.
花立山から先は,アイスバーンが何カ所かあるので,軽アイゼンを装着した方が無難である.
馬の背の手前で,下山してくるKMさんと,金冷シの手前で三角髭のTDとすれ違う.さすがにお二人とも速い.
9時05分,漸く金冷シを通過する.
<金冷シ付近から丹沢の山々を望む>
■塔ノ岳山頂
金冷シから先は,まだまだ残雪が多く,一面の雪景色である.階段の一部はまだ残雪に覆われているが,日当たりの良いところでは雪はすっかり溶けてしまっている.
10時10分,ようやく塔ノ岳山頂に到着する.大倉からの所要時間は2時間58分.
“ん…まあ,こんなものか…”
山頂の気温はプラス2℃.風もなく暖かい.
山頂ではかなり多くの登山者が休憩を取っている.
<塔ノ岳山頂>
■山頂からの眺望
山頂からの眺望を写真に収める.これは私の儀式である.
曇り空ながら,空気が透明なので,富士山から南アルプスまでとても良く見えている.こういう景色に接すると,なんとも嬉しくなる.そして,やっぱり山に登ってきて良かったナと思う.
暫くの間,山頂からの景色を楽しむ.
<山頂から富士山を望む>
■尊仏山荘には立ち寄らず
NMさん達と一緒に尊仏山荘に入ろうかと思う.
山荘を覗くと,私より先に到着したMTさんとTNさんの姿が窓越しに見えている.
山頂で10分ほど待っていたが,一向に皆さんが現れない.また,わざわざアイゼンを外して山荘に入るのも面倒なので,山荘に入らずに下山することにする.
10時20分,下山を開始する.
前方には,光る相模湾が見下ろせる.素晴らしい風景である.
<光る海>
■沢山の常連とすれ違いながら泥んこ道を下る
ノンビリ一人下山である.途中で写真でも撮りながらユックリ下ろうと思う.
山頂から,少し降りたところで,鵠沼のNMさん,さらに少し下ったところでSSKさんとすれ違う.
「今日は家内がデングリ返っているので,先に下山します」
とお断りして,下山し続ける.
さらに,キャベツのTZさんとすれ違う.
金冷シを過ぎたところで,常連のHさんとすれ違う.お互いに新年の挨拶をして上下にお別れする.さらに馬の背で同じバスに乗車していたAKさんとすれ違う.
10時45分,花立山に到着する.ここで軽アイゼンを脱着する.その間に,登ってくる登山者の何人かに,
「アイゼン,必要ですか?」
と聞かれる.
アイゼンの要不要は正に人それぞれ,正直なところ,私は返答に窮する.
「4本爪の軽アイゼンだったら使用した方が良いと思いますよ…でも,人それぞれですから何とも言えませんね」
と答えるのが精一杯である.
10時52分,花立山荘に到着する.山荘前のベンチはこれから登り人たちで一杯である.
後7分坂を慎重に下り続ける.もう少しで痕7分坂が終わる頃,後ろからいきなり,
「FHさん…」
と呼び止められる.
私より少し後から下山し始めたTNさんとMTさんのお二人である.ここからは,私もグウタラを止めてお二人と一緒に下山し続ける.
萱場平付近,および堀山の尾根道の泥濘は,かなり融け始めていて,泥んこ道になっている.急坂でヌルヌルと滑りやすい泥んこ道に手こずる.
11時17分,堀山の家を通過する.立ち寄らなければマズイかなと思ったが…
続いて11時47分,駒止茶屋を通過する.今日は珍しく駒止茶屋も営業している.滑りやすい駒止階段を慎重に下る.階段の途中で,編集長のYKさんに追い付く.ちょっと申し訳ないが,
「お先に失礼します…」
とお断りして,先に行かせtもらう.
同じように観音茶屋を通過するときにも,ちょっと申し訳ないような気分になる.
その後も,速からず遅からずの速度で下山し続けて,12時37分に,無事,大倉に到着する.
■矢倉岳と富士山の共演
大倉13時10分発渋沢行のバスに乗車する.バスは途中から立ち席が出る程度の混雑である.
渋沢から小田急電鉄の電車で小田原に向かう.途中で,フト思いついて,矢倉岳と富士山が重なるところを写真に収める.
富士山の山麓に雲が湧いているが,結構おもしろい写真になる.
<矢倉岳と富士山>
■今日も良かった!
小田原駅で,14時04分発特別快速高崎行電車に乗り換える.
車窓から射し込む暖かい太陽の光を浴びながら,居眠りをする.実に心地がよい.危うく電車を乗り越し像になりながら,14時33分に大船駅に到着する.
大船駅14時45分発のバスに乗車する.15時前に無事帰宅する.
霊により,風呂を沸かしてノンビリと湯船に浸かる.久々の(…と言っても1週間ぶり)塔ノ岳登山だったので心地より疲労感が残っている.そんなときの風呂は実に気分が良い.
湯船に浸かりながら,
“今日一日も無事に過ごせたな…良かった! 良かった!”
と自己評価する,
<ラップタイム>
7:12 大倉歩き出し
7:36 観音茶屋
8:02 見晴山荘
8:26 駒止茶屋
8:45 堀山の家(8:51まで休憩)
9:55 金冷シ
9:35 花立山荘
9:55 金冷シ
10:10 塔ノ岳山頂着(2.0℃)
10:20 〃 発
10:35 金冷シ
10:52 花立山荘
11:17 堀山の家
11:47 駒止茶屋
12:11 見晴山荘
12:26 観音茶屋
12:47 大倉着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1269m
■登攀所要時間(休憩時間を含む)
大倉 発 7:12
塔ノ岳 着 10:10
(所要時間) 2時間58分(2.97h)
水平歩行速度 7.0km/2.97h=2.36km/h
登攀速度 1269m/2.97h=427.3m/h
■下降所要時間(休憩時間を含む)
塔ノ岳 発 10:20
大倉 着 12:47
(所要時間) 2時間27分(2.45h)
水平歩行速度 7.0km/2.45h=2.85km/h
下降速度 1269m/2.45h=518.0m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/6b001353345ae27f95e4b1c83a2a75db
「丹沢の山旅」の次回の記事
(なし)
※誤字脱字転換ミスは後刻訂正する.
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残雪と泥濘・それに富士山眺望の丹沢;塔ノ岳(今年1回目)
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