2018年を振り返る;水彩画編(1);神奈美公募展出展作品
2019年1月10日(木)
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2018年中に描いた水彩画は全部で5枚.全部,神奈川美術協会の展覧会へ出展したものばかり.他の展覧会に応募するだけの余裕はなかった.この辺りにも,
”やっぱり加齢でしんどくなってきたな”
という実感がある.
愚痴はともかく,2018年度の作品を振り返って見よう.
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<2018神奈川美術協会公募展出展作品>
作品名『グランドキャニョン谷底を歩く』(秀作賞受賞)
▇種別 水彩
▇大きさ F40
▇この作品の狙い
グランドキャニョンの谷底には,地上では想像できない別世界が広がっている.この絵で驚異の谷底の風景を表現したかった.
コロラド川支流のブライトエンジェルクリークを遡ると,両岸の断崖が迫ってくる.ところが偶然にも両側の断崖に仏の顔に見える岩が出現する.これにはビックリ.
私は,勝手に,この岩に仏岩という名前を付けた.
私はここでほんの1分,立ち止まって印象をザッとスケッチ.そして写真を何枚か撮る.
帰国後,ここを通ったときの感激を想起しながら一枚の絵に纏めた.
幸いなことに,秀作賞を受賞した.
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▇この絵の構図
この絵の構図で工夫したところは,闇の世界と明るい世界の対比の強調である.二つの世界の境目に仏が鎮座してる.そして,闇の世界に彷徨う私達を明るい世界に導いてくれる.
闇の世界と明るい世界の間には橋がある.私達は,今,正にこの橋を渡ろうとしている.
私はこの絵に自分の明るい未来を託しながら描き上げた.でも,こんな私の気持ちのどれだけが見て下さる方々に伝わったかは全く分からない.そこに絵の難しさがあると感じている.
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作品名『蝙蝠岳から富士山を望む』
▇種別 水彩
▇大きさ F40
▇この作品の狙い
私は以前から一度は富士山の絵を描いてみたいなと思っていた.ところが実に沢山の方々が富士山を題材にした絵を描いている.すると,引っ込み思案気味の私には,どうしても富士山の絵は描けなくなってしまう.でも描いてみたい.
そんな想いから,いっそのこと,富士山を仰ぎ見ることをやめて,ほぼ同じ目線から眺めた富士山を画いてみようかなと思いはじめた.
そこで,フト,南アルプスの蝙蝠岳付近から眺めた富士山のスケッチがあることを思い出した.そのスケッチを参考にして,この絵を纏めた.
南アルプスから眺める富士山はまた格別である.富士山山頂の両側に両耳のように小さな山がくっついている.そして,富士山の手前には,幾重にも重なる山波が見えている.とても雄大な風景である.
私は敢えて残雪のない富士山を画いて,普通の富士山の絵との差別化を図った.
すぐ先の稜線に2人の登山者を入れたが,これは架空の人物.この尾根は私ごとき素人では近づくことができない場所である.でも私はどうしてもこの尾根に登山者を搔き込みたかった.自分自身の投影として.
▇この絵の構図
この絵の構図は単調な水平直線と,斜めの線が基本になっている.
水平直線は幾重にも重なる単調な尾根の繰り返しを強調している.その単調さを打ち破るように富士山が聳えている.
手前の斜めの線は,私の人生の象徴である.険しい岩稜の坂道は人生そのものだ.喘ぎながら登る登山者は私自身のダミーである.
こんなことを思い浮かべながら,この絵を描いた.
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作品名『雪雲せまる大倉尾根(丹沢)』
▇種別 水彩
▇大きさ F40
▇この作品の狙い
烏滸がましい言い方かも知れないが,私の登山のホームグラウンドは塔ノ岳(丹沢)である.かれこれ20年以上に渡り,同じ山に何度も何度も繰り返し登っている.
晩夏の頃,何時ものように塔ノ岳に登った.
ところが,下山中,一天俄に暗雲が沸き上がり,雪雲が迫り始める.
”これはイカン! 早く安全な場所まで下山しなければ…”
この絵の場所は,花立山山頂と花立山荘の間.眼下には秦野の街並みと,まだ明るい太陽が降り注いでいる海が見えている.
私はこの山にもう1000回以上も登っているので,見下ろす風景もほぼ諳んじている.記憶や写真を参考にしながら,このときの情景を水彩画に仕上げた.
絵の中の人物はもちろん架空の人物である.ただ私はこの架空の人物の一人になりきって,この絵を仕上げた.
▇この絵の構図
両側に暗い部分を設けて,逃げる道の狭さを表現したつもり.
明るい海は光明をあらわず.また暗い空にちょっと見える青空は希望の象徴である.二元登山者(つまり私)は人の住む所(光明)を目指している…が迫り来る暗い空が私の行く手を阻害する.
そんな気持ちをこの絵にすり込みたかった.
(つづく)
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(執筆中)
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