<塔ノ岳山頂からの富士山>
季節外れの夏日に花立山から登り返した丹沢;塔ノ岳(2018年13回目)
(登り単独;下り常連と一緒)
2018年5月2日(水) 高曇り
▇煌々の月明かり
天気予報が教諭型から雨だと言っている.それに明日,木曜日は終日雨とのこと.先週金曜日に九鬼山へ登ったこともあって,その後の日程が何となくチグハグになってしまい,結局,塔ノ岳には4月21日以来,1回も登っていない.
”これ以上,ブランクを続けると,塔ノ岳には登れなくなるぞ…”
という脅迫感もあって,急遽,塔ノ岳に登ることにする.
この頃は夜明けも速くなり,早朝でも寒いこともないので,吉良キナ気分で,4時10分に自宅を出発する.
夜明けが大分速くなり,もうこんな早い時間でも,辺りが薄明るくなっている.
西の空には,まん丸な月が煌々と輝いている.十五夜かな,それとも十六夜かな,まあどっちにしても,夜明け近くの月夜はロマンチックである.月影を踏みながら,4時40分頃,大船駅に到着する.
<夜明けの月>
▇矢富士山と倉岳が良く見える
大船5時10分発東海道本線下り電車に乗車する,土曜日の同じ電車より空いている感じがする.
小田原駅で小田急新宿行急行に乗り換えるが,先月のダイヤ改正以来,平日,小田原での待ち時間が10分近くあり,ダイヤ改正前より接続が少し悪くなったようである.電車が新松田に到着する少し前に春霞の富士山と矢倉岳が重なるのが見える.
何時ものように,この二つの山が重なっているところを写真に撮るが,どうも薄らボンヤリとしか写らない.
6時22分,電車は市鵜沢駅に到着する.
<富士山と矢倉岳>
▇日の当たる坂道
渋沢駅発7時48分大倉行き1番場巣に乗車する.平日にもかかわらずバスは混雑している.乗り合わせた常連は毎日登山のTGさん,SSKさん,AIさん,KMさん,IWIさん,TTさん他,
7時05分,バス停大倉から歩き出す.取りあえずは単独行である.
路面はよく乾いているが,気温が高くムシムシ感が強い.
”今日はノンビリ歩くぞ…”
毎度思うことだが,途中でなまじっかラップタイムを記録していると,ついつい良いラップが欲しいので,オーバーペースになりがちである.今日は何としても終始オーバーペースにならないように注意をしながら登ろうと固く決心する.
7時13分,登山口を通過する.
”ありゃ~…っ! 登山口まで8分も掛かったぞ…!”
オーバーペースにならないようにと誓った矢先に,もうラップが気になってしまう.これだから私はダメなんだ!
ともあれ,7時24分,丹沢ベースを通過する.そして日の当たる坂道へ.今日は平日で人影もまばらである.前後に登山者が居ないので,新緑の中,とても気分良く歩き続ける.
<日の当たる坂道>
▇観音茶屋
7時34分,観音茶屋を通過する.通過しながら何となくかき氷を連想する.
見晴茶屋から先も,流れるような汗をかかないように注意をしながら,心してごくユックリペースで登り続ける.
”今日の体調は絶好調だぞ…!”
と感じるが,それは当たり前.近くの公園でも散策するような積もりで,ユックリ歩きを続けているからである.
観音茶屋から先のジグザグの山道をノンビリ気分で登り続けて,7時51分,雑事場ノ平を通過する.
<観音茶屋>
▇見晴茶屋
7時53分,見晴茶屋に到着する.
茶屋の前から相模湾の見下ろす.
今日は全体に高曇りである.かなり濃い靄が掛かっていて,海と空の境目がはっきりしない.これまでのシーズンでは,海面で太陽の光が反射して海が光って見えていたが,5月とも成ると太陽の位置が大分高くなっている.そのために海からの反射光は見られないのがちょっと残念だが,これも風物詩である.
<見晴山荘から相模湾を望む>
▇見晴階段
見晴階段に差し掛かる.
もちろんここで定点観測の写真を撮る.
今日の見晴階段の第一印象は,新緑が綺麗なことと,登山者の後ろ姿が少ないことである.登山者が少ないのは平日なので当然のことだが…
<見晴階段>
▇駒止階段
8時12分,一本松に到着する.
大倉から一本松まで,1時間07分も掛かっている.何時もより5分ほど余計だ.
”ドンマイ,ドンマイ…今日は公園歩きに徹するぞ…”
やがて駒止階段に差し掛かる.長い階段を見上げてウンザリ.でも,まあ,登るしかないサ.
半ばよたりながら階段を登り続けて,8時29分,駒止茶屋を通過する.大倉からの所要時間は1時間24分,前回の登山より約9分も余計に掛かっているが,今日の合い言葉は”ドンマイ,ドンマイ”だ.焦らずに公園歩きを続けよう.
<駒止階段>
▇新緑の散策路
堀山の水平道に入る,大倉尾根で一番気分良く歩けるところである.新緑のトンネルが何と居ても心地よい.
”こんなに気持ちの良いところを,サッサと歩いてしまったら勿体ない…”
と自分に言い聞かせながら,のんびり歩き続ける.実に良い気分である.
<新緑の尾根道>
▇枝の間から垣間見る富士山
とも思うのだが,せっかちな性分がどうしても表に出てしまう.
やがて富士山が良く見える場所に到着する.この頃木が大きく育ちすぎて,富士山も殆ど見えなくなってしまったが,木の枝と靄の先に薄らと富士山が見えている.
勿論ここで立ち止まって富士山の写真を撮る(…が,みえるかな).
谷間から「ボー,ボー」というツツドリの啼き声が聞こえてくる.これもこの時期の風物詩である.
<木の枝の間から富士山が見える>
▇小草平(堀山の家)
8時40分,堀山の標識を通過する.ここから緩やかな下り降板が暫く続く.ここは気分良く通過する.そして,その先に登り返しがある.気分的に実に嫌な場所である.
登り返しを辛抱しながら登って,8時48分,小草平に到着する.
堀山の家は閉店中.軒下の温度計は14.5℃を指している.まだそれほど熱いというわけでもなさそうである.
大倉からの所要時間は,1時間43分.最近は1時間35分程度で歩いているところである.私の体のどこかで,
”公園歩きもいい加減にせえ…!”
と叫んでいる.でも一方では,
”そう言いなさんな…公園歩きも結構愉しいじゃないか…”
と体のどこかで反応している.
…ま,とりあえずは,小草平から見える富士山の写真を撮ってから,休憩を取らずに登り続ける.
<小草平から富士山を望む>
▇萱場平
連続する坂道を楽しみながら登り続けて,9時11分,ようやく哉場代等に到着する.
高曇りの空を抜けてむせるような日光が射し込んでいる.広場は静まりかえっているが,少々蒸し暑い.
この時点で9時を大幅に回っているようでは,大倉から塔ノ岳山頂までの所要時間が3時間以内というのは,もはや無理である.そうなると,観念して公園歩きを楽しむしかない.
萱場平の平坦地を歩いている間に,体調を整えて,花立山荘を目指すことにする.
森の中からウグイスの鳴き声が聞こえてくる.
<萱場平>
▇ちょっと寄り道
私は植物オンチ.植物の名前などサッパリ分からない.でも美しい花,可憐な花にはやっぱり感動する.
どうせ時間は遅れ序でである.花を見付けると,立ち止まって,ポケットからデジカメを取り出す.
▇花立階段下からの富士山
あともう少しで花立階段というところで,下山してくる超韋駄天のNMさんとすれ違う.
数年前までは,NMさんのお兄さんと,大倉尾根で頻繁にお会いしていたので,この頃,お兄さんはどうされていますかと伺う.すると既に他界されたとのこと.残念! 私の心の中にポッカリと暗い穴が空く.
長いガレ場を登る続けてようやく花立階段に到着する.
階段下から富士山がとても良く見えている.もちろん,ここで立ち止まって富士山の写真を撮る.撮り終わってから階段を見上げて,
”よお~シッ…登るぞ!”
と自分に言い聞かせる.
<班建て階段下から富士山を望む>
▇後七分坂なんてとんでもない…
花立階段をユックリと登り続ける.
階段の上を見るとガックリくるので,足許だけを見つめながら登り続ける.
”階段1段を1秒で登れば,計算上では7分で登れるはずだが…”
ところがなかなかどうして…
やがて前方に花立案層の棒が見え始める.何か旗がはためいている.今日は平日なのに山荘は営業しているようである.
実はこの棒が見え始めてから僅かの間の階段を登るのが一番きつい.
<花立山荘まであと僅か>
▇花立山荘
9時39分,ようやく花立山荘に到着する.
山荘前のベンチにはもう数名の登山者が屯している.山荘の気温は19.5℃.やっぱり,この時期にしては高温である.
まずは,山頂から富士山の写真を撮る.
大倉からの所要時間は2時間34分.いやはや,いくら公園歩きでも,”そりゃ,ないよ”という気分である.でも,お陰様で,疲労感は全くない.
<花立山荘からの富士山>
▇花立山
花立山荘でも休憩を取らずにそのまま登り続ける.
体調は上々.
天候は高曇りだが,この時期にしては遠くまで良く見えている.
階段道が大和手ガレ場に入ると,鍋割山稜の向こうに富士山が意外にクッキリと見えている.もちろん,ここで何枚かの写真を撮る.
9時49分,花立山山頂を通過する.
<花立山から富士山を望む>
▇塔ノ岳山頂
馬の背付近は,とくに写真を撮りたいところもないので,そのまま通過して,9時57分に金冷シを通過する.
もうここまで登ったら,後はちょっとした階段が二つばかり.その先の急坂を登れば塔ノ岳である.気を引き締めて登れば所要時間15分の道のりである.でも,今更急いでも手遅れなので,遅れ序でに”公園歩き”,つまりブラブラ歩きを続行する.
10時16分,ようやく塔ノ岳山頂に到着する.
もう科なら理沢山の登山客が山頂で休憩を取っている.山頂の気温は14.5℃.冷たい風が吹いているので,気温の割には寒い.
相変わらず富士山が良く見えている.例によって,山頂からの風景をデジカメに収める.
大倉からの所要時間は3時間11分.今年の最低記録である.でも疲労感は全くなく,まだ少々物足りない感じもするが,山頂でしばらく休憩を取ったら下山することにする.
<塔ノ岳山頂>
▇早々に下山開始
軽く食事をしてから,10時23分,下山開始.
山頂直下の木土脇の桜の花が綺麗なのを発見する.登りのときは下ばかり見ていて気がつかなかった.
木道の脇に立って,桜の写真を撮る.
<まだ美しい桜の花>
▇花立山遠望
10時36分,金比野洲を通過する.そして,10時42分,花立山山頂に到着する.
ここからの駿河湾の眺めは最高である.写真を撮りたくなり,花立山でちょっと立ち休憩をとる.
<花立山から相模湾を望む>
▇花立山荘手前から登り返す
花立山からガレ場を下って,荒れた階段道を下り始める.
そこで,坂道を登ってくるYGさん,SSKさん,AIさんのお三方とバッタリ.このお三方はてっきり花立山荘辺りで下山したとばっかり思っていたので,少々驚く.
私もちょっと歩き不足かなと思っていたので,これは丁度良い機会,お三方と一緒に,もう一度,塔ノ岳山頂を目指すことにする.そして,立った今,下ってきたばかりのガレ場で向きを変えて,ふたたび花立山を目指す.
10時49分,花立山を通過する.
<花立山を通過する>
▇再び塔ノ岳山頂
10時55分,金冷シを通過する.その後もユックリペースで登り続けて,11時17分,ふたたび塔ノ岳山頂に到着する.山頂で記念写真を撮る.
<塔ノ岳山頂>
▇尊仏山荘
久々に尊仏山荘に入る.
猫のミー君がなくなってから,尊仏山荘にはほとんど行っていない.本当に久々の尊仏山荘である.常連のNMさんが居られる.
「1時間ほど前に,FHさん山頂に居られたでしょう…?」
コーヒーを所望する.山頂でのコーヒーは格別である.
私がNMさんのお父さんと1歳違いだけと聞かされて,”ありゃりゃ”と思う.
”オレもそんな年になったのか…!”
そう言われてみれば,我が家の息子も某社でかなりの古狸になっていたっけ…
世間の常識から見れば,
”オレはもうシーラカンスだなあああああ…”.
<尊仏山荘のコーヒー>
▇新緑を楽しみながらユックリ下山
11時52分,お三方と一緒に塔ノ岳から下山開始.
途中,新緑を楽しみながらユックリと下山し続ける.ほぼ同時に下山を開始した常連のTTさん,NMさんのお二人が私たちに前後しながら下り続ける.
12時50分,堀山の家に到着する.ここで約10分休憩を取る.
<緑陰を楽しみながら下山>
▇何とか帰宅
14時12分,登山口に到着する.
”オツ…! ちょっと急げば大倉発14時22分のバスに間に合うぞ…”
私はお三方には申し訳ないが,独りで先へ行かせて貰い,無事,このバスに乗車する.
ところが,渋沢駅,小田原駅ともに電車の接続が悪くて,待ち時間ばかり.
挙げ句の果てに,大船から自宅近くを通るバスの接続も悪く,帰宅したのは16時過ぎのことだった.
<ラップタイム>
7:05 大倉歩き出し
7:34 観音茶屋
7:53 見晴茶屋
8:29 駒止茶屋
8:48 堀山の家
9:39 花立山荘
9:57 金冷シ
10:16 塔ノ岳着
10:23 〃 発
10:36 金冷シ
11:42 花立山
11:44 (SSKさん,TGさん,AIさんに合流)
=======登り返し======
11:49 花立山
10:55 金冷シ
11:17 再び塔ノ岳着
11:52 塔ノ岳発
12:06 金冷シ
12:13 花立山
1222 花立山荘
12:50 堀山の家(12:58まで休憩)
13:16 駒止茶屋
13:42 見晴茶屋
13:56 観音茶屋
14:17 大倉
[山行記録]
▇水平歩行距離 7.0km(片道)
▇累積登攀下降高度 1,269m
▇上り所要時間(休憩時間込み)
大倉発 7:05
塔ノ岳着 10:16
(所要時間) 3時間11分(3.18 h)
水平歩行速度 7.0km/3.18h=2.20 km/h
登攀速度 1,269/3.18h=399m/h
▇下り所要時間(休憩時間込み)
塔ノ岳発 11;52
大倉着 14:17
(所要時間) 3時間19分(332h)
水平歩行速度 7.0km/3.32h=2.11 km/h
下降速度 1,269m/3.32h=382m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
https://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/0c1aacfea9dee1f19b74efc7cae9465b
「丹沢の山旅」の次回の記事
(なし)
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