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Channel: 中高年の山旅三昧(その2)
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お盆休み特集;昭和を振り返る;第2話;自分の学歴が良くわからない

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     お盆休み特集 昭和を振り返る;第2話;自分の学歴が良くわからない

(2017年8月16日記)

 終戦の年の4月,私は旧制中学に入学した.当時,すでに物資が不足していたのか,入学試験には筆記試験はなく,口頭試問だけだった.
 入試当日,服の前に受験番号が書いてある荷札を付けて,口頭試問を受けた,試験内容の一部は今でも鮮明に覚えているが,余談になるので披露するのは別の機会にしよう.
 どの程度の受験倍率があったか,もう全く覚えていないが,何とか合格した.この中学校は自宅近くの駅から信越線で4つ目の駅の近くにあった.4月からは汽車通学が始まった.
 その頃から戦局はいよいよ厳しさを増し,東京から150キロメートルも離れた片田舎の上空を敵B29が我が物顔に飛行していた.ついには艦載機グラマンF6Fまで上空に飛来するようになった.
 東京大空襲のときは碓氷峠を越えて遙か遠くにあるはずの東京方面の夜空がそれこそどす黒い炎の中天まで燃え上がっているのが見えた.そして,日立辺りが艦砲射撃を受けているのだろうか,ドスン,ドスンという地響きが信州まで聞こえてきた.
 詳しいことは覚えていないが,信越線の列車は,多分,1日に4~5往復しか走っていなかった.戦局がいよいよ厳しくなると,客車が不足したのか貨物車が代用されるようになった.
 …まあ,そんな状態で学校に通ったが,汽車通のことは,また稿を改めて書こうか思っている.
 閑話休題.
 勤労奉仕と教練,それにたまたま行われる授業で慌ただしく過ごしているうちに終戦となる.あれよ,あれよ,と思っているうちに,世相が激変する.
 終戦後,暫く経ってから教科書が配布される.今の新聞の夕刊程度の量しかない教科書である.それも新聞紙を教科書ぐらいの大きさに折りたたんだものである.生徒は自分で折り目を切って使えるようにする.
 この教科書をすぐに使うのではなく,先生の指示によって,不適切な表現の部分は墨で消す.1ページのほとんどを塗り潰さなければならないところもある.
 先生の指示で「飛行機」という単語を塗りつぶす.
 ”塗りつぶしても,飛行機なんて頭に入っているのに…”
と不思議に思ったのを今でもはっきり覚えている.
 それでも曲がりなりにも,次第に授業が行われるようになった.
   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 やがて中学2年生になる.
 この辺りから私の頭の中がこんがらかる.
 学制の大改革が行われる.正に学制の大地震である.
 国民学校が小学校に逆戻りしている.これはまだ良い.小学校高等科が新制中学になり,私が漠然と進学したいなと憧れていた松本高等学校が新制大学になる.そして,私が通っていた中学校は○○中学併設中学校というややこしい学校になる.その併設中学校がいつの間にか新制高校になる.
 あれよあれよという間もなく,同じ学校に6年間も通ってしまった.結果的に,今で言う中高一貫教育(ただし内容は混乱していた)を受けたことになる.
 そして,昭和26年,私は東北地方にある新制駅弁大学工学部に入学する.
 大学は戦災を受けていて貧相だった.学生寮に入った.旧制の大学生がまだ在学中.同じ大学生と言っても旧制と新制とでは学力に雲泥の差があるように思えた,
 授業が始まった.
 今でも覚えているのが熱力学の授業である.
 やたらに数式が出てくる.偏微分方程式など見たことがなかった.
 「先生,分かりません…」
と受講線の誰かが言う.
 教授はため息をしながら,
 「私はあなた方に何を教えたら良いか分からなくなりました…」
と独り言のように言う.
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 ついでながら言うと,私が小学校に入学したときは尋常高等小学校尋常科だった.それがいつの間にか国民学校初等科に変わっていた.
 ついでながら,田舎育ちの私は幼稚園には行っていない.
 かくして,私は履歴書の学歴の欄を詳述しなければならないときに,何時も何がどうなったのかはっきりしないので,戸惑うのである.
                                            (第2話おわり)
お断り;
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