<堀山の尾根道>
コオロギが鳴き一寸涼しくなった丹沢:塔ノ岳(今年44回目)
(単独山行)
2013年9月11日(水) 曇・頂上付近は霧雨
■コオロギが鳴き始めた
この所,秋雨前線が停滞しているためか,どうもお天気がスッキリしない,でも,何か特別な予定がない限り,私は水曜日と土曜日には塔ノ岳に登りたいと思っている.ところが,今日の丹沢地区の天気予報は午前中は曇,午後から雨が降りそうだという.どうしよう?
ついでに有料サイトの「山の天気」を見ると,今日の塔ノ岳は,午前中はピーカンの晴,午後から曇という予報である.どうも本当のところ,今日の天気がどうなるか良く分からないが,まあ,ともかく,出掛けることにする.
出掛けるにしても小田原駅での階段二段跳び乗換は,どう考えても身体に良くない.でも,それを避けるには,大船から東海道本線下りの初電,5時10分発熱海行に乗らなければならない.
眠れない夜を過ごした私は,4時10分,山の尾根にある自宅を,早々に出発して,大船駅に向かう.まだ,9月中頃だというのに,随分と日の出の時間が遅くなっている.私は薄暗い住宅地を抜け,山を下って,大船駅に向かう.
住宅地内のあちこちに点在する草むらから,哀愁のあるコオロギの啼き声が聞こえてくる.でも,道路が昨日の熱気を蓄えているので,外気温は24℃にも達している.
■バス停大倉から歩き出す
東海道本線の下り初電に乗車したので,小田原駅で小田急線に乗り換える時間は,超フックリである.何時もより数本早い電車で渋沢駅へ向かう.6時19分に渋沢駅着.
大倉行バス乗り場へは1番乗り.暫くボンヤリと待っている内に,ボツボツと乗客が集まり始める.ご常連は,韋駄天のNMさん,TGさん,TDさん,それにNGさんとMTさん,名前は分からない女性1人.何時もの水曜日より乗客はかなり少ない.
7時04分,たまたま居合わせたTGさん,TDさん,NGさんのお三方と一緒に大倉から歩き出す.気温は23℃でそれほど高くはないが湿度がかなり高いようである.今朝程までの雨で路面はベタベタに濡れている.
「今日はヒルに気を付けなければ…」
とTGさんが言う.
克董窯付近までは,4人ほぼ一緒に歩いていたが,TGさんが歩行速度を速める.つられてTDさんと私も少し歩行速度を上げる.その結果,丹沢ベースを過ぎる頃には,4人がバラバラになる.私は,暫くの間,TDさんと付かず離れずの速度で歩き続ける.
萱場平の手前で,先発のMTさんに追い付く.
「どうぞお先に…」
ということだったので,平らな所だけ先に行かせてもらうことにする.
7時43分,見晴山荘を通過する.
いよいよ見晴階段である.階段を見上げながら定点観測用の写真を撮る.坂の遙か上の方に,黄色い雨カバーのリュックが小さく見えているが,先ほどまでご一緒していたTGさんの後ろ姿である.もう,これだけの差が付いている.
この坂道をTDさんと一緒に登るのは私には無理.そこで,TDさんに先に行ってもらうことにする.その後,TDさんの後ろ姿もジワリジワリと小さくなっていく.正直なところ,健脚のお二人が羨ましい.
<見晴階段>
■霧の堀山の尾根道
見晴階段から上は,私の一人旅になる.
顔見知りの方と一緒に登るのも,勿論楽しいが,一人マイペースで登るのも,また,楽しい.
今日はあいにくの曇り空だが,ネットリと身体に纏わり付く空気にも,何となく初秋を思わせる気配がある.
やがて駒止階段に差し掛かる.木道はびしょびしょに濡れている.見るからに滑りやすそうである.こんな所は,全く無理することはない.私はウンコラショ,ウンコラショと頭の中で掛け声を挙げながら,階段を登り続ける.
8時18分,駒止茶屋を通過する.大倉からの所要時間は1時間12分.
「…まあ,こんなものか.今のオレには…」
と自分自身に捨て台詞を浴びせる.わずか4〜5年前までは,大倉から駒止茶屋まで1時間が目標だったのに…オレも随分と落ちぶれたものだ.
堀山の尾根道に差し掛かる.今日も曇り空.晴れていれば富士山が良く見えるところを通過する.勿論,今日も富士山は雲の中.でも,癪だから富士山が見えているつもりになって,見えない富士山の写真を撮る.
堀山付近ではマルバダケブキが沢山咲いている.
<堀山の尾根道から見えない富士山の写真を撮る>
■夏草が繁茂する萱場平
ボンヤリとしたまま,堀山の尾根を歩いていると,いきなり,
「おはようございます…」
と声を掛けられ,ビックリする.韋駄天のY沢さんである.何時ものように2本ストックで,走り降りていく.
8時36分,堀山の家を通過する.
小草平には誰も居ない.辺りには全く人の気配はなく静まり返っている.
“今日の目標は,ここから花立山荘まで40分で登ることだな…”
と頭の中で復唱して,堀山の家からの坂道に差し掛かる.私は,大倉尾根の中で,この辺りが一番山らしくて好きなところである.
坂道を登り始めて直ぐのところで,後ろに何となく人の気配を感じる.振り返ると,10メートルほど離れたところに,先ほど追い越したMTさんが迫っている.これは毎度のパターン.どこか適当なところで,MTさんに先に行ってもらうつもりで歩き続ける.
8時56分,萱場平を通過する.
例によって定点写真を撮る.木道の真ん中辺りで,大きく繁茂するアザミが写っている.このアザミも秋が深まれば涸れる.アザミの元気な姿が見られるのも後2〜3ヶ月というところかな.
気がつくと,先ほどまで私のすぐ後ろに居られたMTさんの姿が見えない.
<夏草が繁茂する萱場平>
■花立山荘
全くの一人旅のまま,後7分坂(花立階段)に差し掛かる.長い登り階段なので,何時も途中で登るのがイヤになるところである.
“登っていればその内に会談も終わるさ…”
と半ばふてくされて登り続ける.
9時11分,もう少しで階段を登り切るところで,下山してくる韋駄天のNMさんとすれ違う.
「今日は涼しくて良いですね…」
とNMさんがいう.
9時13分,花立山荘を通過する.大倉からの所要時間は2時間13分.堀山の家からの書状時間は38分.予定の40分より2分速い.
山荘前のベンチには誰も居ない,静まり返っている.そのまま通過.勿論,富士山は雲の中である.
■塔ノ岳山頂は雲の中
花立山荘を過ぎる頃から,霧雨が降り出す.山の天気予報では晴の筈なのに…
9時22分,花立山を通過する.ますます霧雨が強まる.
9時26分,金冷シを通過する.ここまで来れば,塔ノ岳山頂まで後15分だ.気が抜ける.あとはノンビリと三つの階段を登るだけだ.
一つ目の階段を登り切る.特に写真を撮りたいものもない.9時36分,二つ目の階段で,下山してくるTDさんと,続いて9時39分,もうすぐ木道のところでTGさんすれ違う.
9時41分,塔ノ岳山頂に到着する.大倉からの所要時間は2時間37分.山頂の気温は17℃.山頂には濃い霧が掛かっている.誰も居ない.
<塔ノ岳山頂>
■露に濡れたホタルブクロ
遠くの風景は何も見えないが,儀式として周辺の写真を撮る.足許には霧雨に濡れたホタルブクロが咲いている.可憐な花だ.
山頂に屯していたシカが駆除されてから,塔ノ岳山頂にも花が戻ってきたようである.
<霧雨に濡れたホタルブクロ>
■尊仏山荘
尊仏山荘に入る.
今日の小屋番はオーナーのHDさん.先客は誰も居ない.華伊達美弥雄さんもどこかへ雲隠れしているようである.何時ものように,300円也のお茶を所望する.
暫くすると,ご常連らしい男性が到着する.続いて戸沢から登ってこられた顔見知りの男性2人.お茶を飲みながら,早めの昼食を摂る.
私が山荘に入ってから10分ほど経った頃,MTさんが到着する.
MTさんはロシアに観光旅行に行っていたとのこと.お土産に下の写真のようなお菓子を頂戴する.早速頂戴する.甘いけれども,同時にハッカのような清涼感のある香料が入っている.ちょっと日本で味わえないような独特の味である.無理に例えるならば,歯磨きをした後,口を良くすすがないうちに,甘いお菓子を食べたような感じの味である.
10時頃,私より1本遅いバスで来られたFTさんが早々と山荘に到着する.
<ロシアのお土産のお菓子と300円也のお茶>
■大きなカエルを見ながら下山
私は大倉発12時52分のバスに乗りたいと思う.今日は路面が濡れていて滑りやすいので,下りの所要時間を2時間15分程度と見込む.逆算して,10時20分に下山開始.
尊仏山荘を出るときに,丹沢ベース辺りまでご一緒していたNGさんが,入れ替わりに山荘に到着する.
山頂直下の階段道を降りていると,道端の笹がガサガサと音を立てている.笹の下には体調が10センチメートルを優に超えるかと思える大きなカエルが1匹動いている.
“今日は良いものに出会えたぞ…”
<大きなカエル>
■予定通り無事帰宅
その後も完全な一人旅.
予定通り,12時40分に大倉に下山する.
12時52分のバスに乗車したのは私1人.渋沢までの途中で乗車した人は,たった2人.
渋沢駅では,何時も乗車する電車には間に合わず,電車は1本後になるが,小田原での接続は逆に円滑になり,14時30分頃,無事大船に到着する.
今日も良かった! 良かった!
<ラップタイム>
7:04 歩き出し
7:25 観音茶屋
7:43 見晴山荘
8:14 駒止茶屋
8:35 堀山の家
9:13 花立山荘
9:26 金冷シ
9:41 塔ノ岳山頂着(17.0℃)
10:20 〃 発
10:35 金冷シ
10:50 花立山荘
11:20 堀山の家
11:40 駒止茶屋
12:05 見晴山荘
12:19 観音茶屋
12:40 大倉着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1269m
■登攀所要時間(雑談時間を含む)
大倉 発 7:04
塔ノ岳 着 9:41
(所要時間) 2時間37 分(2.62h)
水平歩行速度 7.0km/2.62h=2.67km/h
登攀速度 1269m/2.62h=484.4m/h
■下降所要時間(休憩時間を含む)
塔ノ岳 発 10:20
大倉 着 12:40
(所要時間) 2時間20分(2.33h)
水平歩行速度 7.0km/2.33h=3.00km/h
下降速度 1269m/2.33h=544.6m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/c4252998964c286f2502d585a1c9d94b
「丹沢の山旅」の次回の記事
(なし)
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コオロギが鳴き一寸涼しくなった丹沢:塔ノ岳(今年44回目)
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