<サンタクルス川>
アンデス・ブランカ山脈紀行;第8日目(1);トレッキング4日目;
サンタクルス谷を下る
(アルパインツアー)
2016年9月6日(火)~16日(金)
第8日目;2016年9月14日(水) ) 晴
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<ルート地図>
■トレッキング4日目のコース全体図
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<ヤマコラル幕営地の朝>
■夜が明ける
ウニオン峠に比較すれば,ヤマコラルの標高は随分と低いが,それでも標高3,600メートルの高地である.日本の置き換えてみると,さすがに富士山山頂よりはいくらか低い所だが,日本で2番目に高い北岳よりまだ高い所である.
昨夜就寝前に,防寒具をかなり着込んで寝たつもりだったが,それでも寒くて夜中に何回も目が覚めてしまう.特に腰回りが寒く感じるのはどうしてだろう.あの日中のジリジリとした暑さがウソのように思えてくる.
寝たり起きたり,その間に悪夢を見たりしながらも,何とか朝を迎える.
5時30分,現地スタッフが,金だらい一杯のお湯と,砂糖水を配りに来る.
「グッヅドモーニング…」
と,テントの外から,テントの中で縮こまっている私に声を変えてくる.テントの入口を開ける.
目の前に,現地スタッフが,ニッコリしながら,金属製のコップにお湯を注ぎながら,
「砂糖何杯?」
と英語で私に聞く.
何時ものように,スプーン2杯の砂糖を,コップに入れて貰う.
寒い寝起きに,熱い飲み物は実に有り難い.お湯を飲んでいる内に,身体が芯から少ずつ暖まってくる.
金だらいに分けて貰った1リットルほどのお湯を使って,歯磨き,洗面を済ませる.
そうこうしている内に,真っ暗だった辺りが次第に明るくなる.目の前には,今日,これから下るサンタクルス谷が深くえぐれたようにシルエットになって見えている.
どうやらヘッドランプなしで,その辺りを歩けそうである.
私は防寒具を目一杯着込んで,テントから這い出す.
まずは朝の行事として,トイレを済ませる.
■朝食は半人前
6時20分,食事テントに向かう.
食事テントの中も寒い.皆さんも私同様に,バッチリ,防寒具を着込んでいる.
高度の影響だろうか,私は体感的には特に気分が悪かったり,どこか痛いところがあるわけではないが,まだ相変わらずの食欲不振である.どうやらまだ高所の影響を受けているようである.
メインディッシュの小麦粉をこねて焼いたようなものは半人前だけオーダーする.私以外でも半人前をオーダーする人が殆どである.メニューの中にゆで卵2個がある.ゆで卵に塩を掛けて食べると,これがとても美味.大いに助かる.それにツアーリーダーが日本から持参した味噌汁がとても有り難い.
”早く日本に帰って,和食を食べたいな…”
口には出さないが,私は和食がとても恋しくなる.
<朝の食事テント> <ツアーリーダーが持参した豆腐とネギのインスタント味噌汁>
■出発準備
20分ほどでソソクサと朝食を済ませる.
一旦,自分のテントに戻って,自分でリュックに入れて背負う荷物と,馬に運んでもらう荷物を整理する.
できるだけ身軽になって歩きたい.日中は防寒具が荷物になってしまうのは,分かってはいるが,とにかく朝の内は寒くて脱げない.
馬に運んでもらう荷物を所定の場所に置く.これで出発準備完了である.
<出発準備>
<川沿いの道をひたすら下る>
■ヤマコラル幕営地出発
各自自主的にストレッチをしてから,6時52分,私達はヤマコラル幕営地から歩き出す.私は例により,列の一番最後で気ままに歩き始める,
まずはサンタクルス川沿いの平坦な道をが続く.
気が付くと,今朝,タウリパンパ幕営地を出発したときから,1匹の犬が私達に前後しながらずっと一緒に歩いている.いわゆる地域犬である.吠えたり食べ物をねだるわけでもなく,温和しい犬である.とても可愛い.
<犬も一緒>
■サンタクルス川左岸
ヤマコラル幕営地を過ぎるとすぐにサンタクルス川左岸沿いの河原下りになる.踏み跡が微かに見えるだけの岩礫道である.
川の両岸は氷河か川で削られた険しい崖になっている.私達は崖に挟まれた谷筋に沿ってひたすら下り続ける.その間,川が流れる音が絶えず聞こえている.川の音以外の雑音は全く聞こえない自然度100パーセントのトレイルである.
<サンタクルス川左岸をひたすら下る>
■衣服調整
7時20分,GPSの測定で標高3,690メートル地点で,衣服調整のために休憩を取る.私達の巣部側をサンタクルス川が流下している.
私達に付いて歩いている地域犬も,私達の側で休憩を取っている.まるで私達の一員になったかのようである.
アンデスの高地の寒暖差は激しい.明け方はあんなに寒かったのに,日が射し始めると一気に気温が上昇する.私もアウター2枚を脱いで,長袖と半袖シャツ2枚重ねだけの服装になる.
衣服調整を終えて,7時25分,また歩き出す.犬も自主的に私達と一緒に歩き始める.
”この犬,一体何を考えているんだろう…”
<河原で衣服調整> <地域犬も休憩>
<巨岩累々>
■巨岩の間を歩く
休憩を終えて,7時25分,再び歩き出す.
相変わらずサンタクルス川の左岸を下っているが,辺りの様子が次第に険しくなる.行く手には巨岩が累々と連なっている.
私達は巨岩の間を縫うようにして歩き続ける.だんだんと足許が不安定になりはじめる.要注意である.
岩陰に入った途端に川が流れる音が聞こえなくなる.
<巨岩累々>
■標高3,560メートル地点で休憩
8時17分,標高3,560メートル地点で,2度目の休憩を取る.相変わらずサンタクルス川の川縁である.眩しい太陽が照りつけている.肌を刺すようなジリジリとした暑さを感じる.
私達は川の音を聞きながら,10分ほど休憩を取る.
<標高3,560メートル地点で休憩>
■樹林帯に入る
休憩を終えて,8時27分,歩き出す.
この辺りから周囲に植物が見え始める.相変わらず谷沿いの左岸を下り続ける.絶えず川の流れる音が聞こえている.
<樹林帯の中を流れる川>
■犬も隊列に加わる
ヤマコラルを出発したときから,私達の前後を歩いていた地域犬が,私達の隊列の中に堂々と入って歩いている.犬が何を思っているのか想像も付かないが,吠えもせずに黙々と歩いている,
”この犬,一体,何を考えているんだろう”
私には犬の気持ちが分からず,ただただ不思議である.
<犬も隊列に…>
<険しい下り坂>
■前方に凄い崖が見える
9時17分,標高3,500メートル地点で,3度目の休憩を取る.
現地ガイドが,
「…ここから先は急な崖下りになるので,ここで休憩を取ります…」
という.
なるほど,前方には鋭く切り立った崖が見えている.
<前方に切り立った崖が見える>
■馬が通り過ぎる
休憩を取っている私達の横を数頭の馬列が通過する.馬が背負っている荷物は,多分,私達が託したものに違いない.
馬は人間に指示に従って,黙々と歩いている.馬の人生(馬生!?)の喜びって,一体何だろう…と,妙なことが気になり始める.
馬たちが可哀相になるが,肝心の馬の方は,別に悲しいなんて思っていないだろう.おとなしく人間の言うことを聞いている馬を見ていると,何となく哀れに思うが,こういうのを馬耳東風っていうのかな.
<馬の列が通過する>
■急な下り坂
休憩を終えて,9時27分,歩き出す.
私は,何時もの通り,列の一番後ろで写真を撮りながら,ノソノソと歩いて居る.目の前の急な下り坂の向こうに,先頭グループの人達が歩いて居るのが見下ろせる.
「こりゃ~ぁ…いかん! こんなに間を開けては…」
ということで,真面目に下り坂を下りて,先頭部隊に追い付く.
<坂の下を先頭グループが行く>
■眼下に白く泡立つ川が見える
何時の間にか,白く泡立つ川が遙か下に見えるトラバース道になる.辺りの様相が,今までと違って,何となく峻険になる.
私たちは左岸高巻きのトラバース道を歩き続ける.
<高巻きのトラバース道を行く>
<ちょっとした上り下り>
■荒れた登山道
やがて登山道は岩歴がゴロゴロと転がる荒れたトラバース道に変わる.特段危険というわけではないが,一層要注意の下り坂が連続する.石車にご用心の道である.
<礫や石のトラバース道を下り続ける>
■ちょっとした登り坂
10時30分頃,ちょっとした登り坂になる.ずっと下り坂モードで歩き続けてきたので,いきなり身体を登り坂モードに切り替えるのが困難である.そんなこともあって,こんなちょっとした坂道でもヤケにしんどく感じる.
”我慢,我慢,…”
で登り続ける.
<一寸した登り坂>
■視界が開ける
10時37分,登り坂を登り切ると,深いU字谷の向こうの視界が開ける.下に見えている集落は,本日の終点,カシャパンパである.この峠の標高はGPS測定値で3,090メートルである.ようやく北アルプスの山々の山頂と並ぶ標高のところまで下山したようである.
ここで風景を眺めながら休憩を取る.
<谷の向こうにカシャパンパが見下ろせる>
<人里が近い>
■崖と川に挟まれた狭い道
10時46分,休憩を終えて歩き始める.
左岸の崖と川に挟まれた狭い所を通り抜ける.崖から落成がないか心配しながら,静々と崖下を通過する.
<崖と川に挟まれた狭い所を通る>
■険しい下り坂
崖下の道の先は,結構急な下り坂が続く.幅が狭い河川敷沿いの下り坂である.その先はまた礫と砂利が混在する歩きにくい登山道が続く.
<急坂を慎重に下り続ける>
■人工的な物が見え始める
11時02分,石造りの橋を潜る.ようやく人工物が見える場所まで下山したことになる.
11時04分,橋の向こうに延々と続く水路沿いの道になる,水路は建設されてからどの位経っているのか,良く分からないが,なかなかるっぱな水路である.
<立体交差の道> <水路>
■建造物が見える
11時05分,屋根付きの掲示板が立っている広場に到着する.
この掲示板を見て,久々に人里の気配を感じる.同時に安堵感が湧いてくる.
”今日の目的地のカシャパンパまで,あと少しだ…!”
でも,同時に,今回のトレッキングももうすぐおわりだという寂寥感も沸いてくる.
<広場に到着>
(つづく)
つづきの記事
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(執筆中)
「ブランカ山群トレッキング」の目次
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/3ac14bd1d44b99a378555e26864f76b7
「ブランカ山群トレッキング」の索引
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/9e3ba704d9bf4f7278473747420c4534
[参考資料]
ペルー周遊記(ピスコ山登頂);インデックス
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/f78082280c7a6bb87b1810478b6786ea
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