<尊仏山荘のミャ~君>
紅葉はまだまだの丹沢;塔ノ岳(今年25回目)
(単独山行)
2016年10月10日(月・祝) 曇山頂付近霧雨
<ルート地図>
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■久々の塔ノ岳
この所のお天気の移り変わりを見ていると,日本には四季があるなんて嘘のように思えてくる.日本にあるのは乾期と雨期だけ.それも大半が雨期だけのような気がしている.
ここ1ヶ月,ペルー遠征や展覧会があったなど,まともな理由もあるが,私が登山人決めている土曜日に限って雨になることが実に多かったようである.そんなこともあって,私が前回塔ノ岳に登ったのは9月3日(土).それ以来,今日の塔ノ岳詣でまで,実に1ヶ月以上も間が空いてしまった.
この時期,1ヶ月も間を空けてしまうと,第一,家を出掛けるときに随分と寒いし,真っ暗だし,あれほど賑やかに啼いていたコーロギの声も全く聞こえなくなっている.
何時ものように,大船から東海道本線下り初電に乗車する.もう10月も中旬だというのに,相変わらず電車には結構沢山の乗客が乗車している.
小田原駅で小田急電車に乗り換える.電車が新松田に近付く頃,ようやく辺りが明るくなる.車窓からシルエットのようは矢倉岳は見えるが,富士山はどうやら雲の中である.今日の天気予報は,日中晴の筈である.塔ノ岳に登る途中で富士山が見えれば良いなとと思っている内に,渋沢駅に到着する.
壱番バスは結構混雑している.乗り合わせた常連はKMさん,AIさん,TDさんぐらいのようである.
■今日は何となく歩き易い
7時06分,バス停大倉から歩き出す.気楽な単独行である.私は心の中で.
”今日は,まあ,無理をしないで,堀山の家ぐらいまで登れば上々ということにしておこう”
と思っている.
1夏の蒸し暑い間は,特に歩き出しは超ユックリペースで歩くように注意していたが,今日は,涼しいこともあって,予想以上に歩き易いようである.そんなこともあって,今日は歩き出しから歩行速度を少々速めたまま歩き続ける.
7時12分,登山口を通過する.路面がかなり濡れている.こんな状態だと,まだ,山ヒルに注意が必要だろう.
私のすぐ後ろから,どなたかの足音が近付く.さきほど渋沢のバス停で会釈をした60才台と思われる男性である.
「…今日は涼しくて良いですね…」
と私に話しかけてくる.
私がノソノソと登っているので,余程頼りなく思ったのか,ちょっと上から目線で,自慢話が始まる.
”参ったな!”
私は,男性に,
「…どうぞお先に…」
と先に行くように勧める.
「良いですよ.どうぞ先を歩いて下さい…」
と男性は辞退する.私は仕方なく先を歩く.
男性は大股で状態を揺らせながら登っている.
”…これはダメだ.彼はすぐにバテるぞ…”
そう判断した私は,遠慮なくマイペースで登り続ける.案の定,彼との間は次第に開き始める.その内に見えなくなる.そうは言っても,私の歩行ペースもノソノソ歩き,決して誉められるような歩き方ではない.
■見晴茶屋
7時47分,ようやく見晴茶屋に到着する.
先ほど雑事場ノ平付近で私を物凄い勢いで追い越して行った数名の若者が見晴茶屋のベンチで休憩を取っている.
見晴茶屋から,相模湾を見下ろす写真を撮る.
上空には薄暗い雲が垂れ込めている.
”こんな調子で,予報通りに晴れるンかな…”
と心配になる.
<見晴茶屋から相模湾を望む>
■見晴階段
見晴階段に差し掛かる.
何時ものように階段を見上げた写真を撮る.今日は実に沢山の登山客の後ろ姿が見えている.
見晴階段を登りながら,ついこの間,ペルー・ブランカ山脈を歩いたときに比較して,ずいぶんと歩き易いことに気が付く.ブランカ山脈のトレッキングは,富士山山頂より1,000メートルも高い所を歩いていたが,そのときに比較すると,塔ノ岳は何と言っても空気が濃い.空気が濃いと,息切れがしにくいことに,ようやく気が付く.
”そうか! だから今日は歩き易いと感じるんだ…”
<見晴階段を登る>
■駒止階段
見晴階段を登り終えてモミジ坂に差し掛かる.まだ,少々速めの速度を維持したまま登り続ける.
8時02分,一本松を通過する.
大倉からの所要時間は56分.夏の間は,1時間05分程度掛かっていたので,久々に1時間を切っている.
”今日の体調はまずまずだな…”
と思いながら,駒止階段に差し掛かる.
駒止階段を登り切って,8時17分,駒止茶屋の前を通過する.大倉からの所要時間は1時間11分.夏の間に比較すれば,まあ,まあ,のラップだが.せめて1時間08分程度のラップはほしいなと思う.
<駒止階段>
■駒止茶屋
駒止階段をユックリ登って,8時17分に駒止茶屋を通過する.大倉からの所要時間は1時間11分.
”ほぅ~! まあ,まあのラップじゃないか!”
私は,ちょっと良い気分になる.というのもこのところ,この区間のラップが1時間15分を切ったことがないからである.もっとも,数年前までのこの区間のラップは1時間丁度だった.それに比較すれば10分も長く掛かっているが,それでも今日の私は満足である.
<駒止茶屋>
■堀山の尾根道
堀山の尾根道に差し掛かる.周囲の木々はまだ殆ど紅葉の気配もない.緑陰の尾根道を良い気分で歩き続ける.
晴れていれば富士山が良く見える場所に到着する.今日は日中はレという予報だったが,雲が低く垂れ込めていて富士山は全く見えない.でも,癪だから見えない富士山の写真を撮る.バカみたい.
8時28分,堀山の道標の前を通過する.
<堀山の尾根道から見えない富士山の写真を撮る>
■小草平(堀山の家)
8時37分,小草平に到着する.小草平のベンチでは10人ほどの登山者が休憩を取っている.
今日は月曜日だが祝日なので,堀山の家が開店している.
常連のKIさんが,何か作業をしている.
「…,なに,ペルーへ行っていたんだって…」
と私に話しかける.
堀山の家の女主人が山荘から外に出てくる.私は,神奈美会員展の案内を山荘の掲示板に貼って頂いたことを感謝し,展覧会が無事終わったことを報告する.
8時39分,三角髭のTDさんが,堀山の家に到着する.三人暫く雑談.
「どう,今日はここを終点にしたら…」
とKIさんが私に言う.
甘い言葉にすぐ乗りそうになり私は,本当に今日はここまでにしようか…と,気分がフラリとする.
”こりゃ,まずいな.本当にここが今日の終点になりそうだ…”
と危険を感じた私は,8時40分に小草平から歩き出す.
<堀山の家>
■富士山のDVD
9時51分,戸沢分岐の手前で,後のバスで来られたMGさんが私に追い付く.
「…今日はFHさんも来られると思って,富士山のDVDを持ってきましたよ…」
ということで,8月31日~9月1日に,塔ノ岳常連の皆さんと行った富士山の様子を撮影したDVDを頂戴する.
MGさんから,私の後から,NMさん,AIさんが登っていることを教えて貰う.
<富士山のDVD>
■萱場平
ここから先も完全な独り旅である.
それにしても,空気が濃いのは実に有り難い.ユックリ登っていれば,決して息切れすることもなく,全く気楽に登り続けることができる.本当に有り難い.つい先日標高4,000メートル以上の高所トレッキングを終えたばかりの私には,空気が濃い有り難さがつくづくと分かる.
全く疲労感なしの状態で,8時59分,萱場平に到着する.
夏の蒸し暑いときは,萱場平まで登ると,
”今回は,ここまでで登るのは止めて,下山しようかな”
と何時も迷うのだが,今日は涼しいので,ここで止めるつもりは毛頭ない.そのまま登り続ける.
<萱場平>
■花立山荘
萱場平から階段道を登り続ける.階段道が途絶えると大きな岩を廻り込んでガレ場に入る.ガレ場の途中で立ち休憩を取っている人が多い.確かにこの辺りを登りつづけるのはシンドイ.
9時14分,後七分坂に差し掛かる.
今日は体調が良いなとは思うが,速くならないように自重しながら階段を登り続ける.階段の途中で,3~4人のグループの人に追い抜かれる.汗ビッショリでハアハアなしながら.追い抜きざまに私に,
「頑張りましょう!」
と声を掛ける.
私,内心で,
”余計なお世話だ…オレの登山は「頑張らない」がモットーだ”
と返事する.
後七分坂を8分掛けて登って,9時22分に花立山荘に到着する.辺り一面に濃い霧が掛かっている.先ほど私に声を掛けたグループの方々は,花立山荘のベンチにへばり付くようにして座り込んでいる.
大倉から花立山荘までの所要時間は2時間16分.小草平からの所要時間は42分.決して満足すべきラップではないが,最近の私のラップに比較すれば,まずまずのラップと言えよう.
休憩は取らずに,そのまま登り続ける.
<花立山荘>
■花立山
花立山荘から暫くの間,階段道が続く.段差が大きい歩きにくい階段である.私にとって,ここが大倉尾根最大の難所である.ウンコラ,ウンコラ階段を漸く登ってガレ場に入る.ここまで来ればシメタもの.9時32分,花立山山頂を通過する.
晴れていれば富士山,南アルプスが一望できる場所だが,今日は濃い霧が掛かっていて,眺望は全くない.
<花立山山頂付近>
■チャンピョンとバッタリ
9時38分,金冷シを通過する.ここまで登れば,塔ノ岳山頂まで後僅かである.
金冷シから最初の階段をほぼ上り詰めたところで,下山してくるチャンピョンとバッタリ.
「写真撮らせて下さい…」
ということでポーズを撮って貰う.
ちょうどそのとき,下山途中の3人の若い女性群が居合わせる.チャンピョンが,
「…この人,○○歳ですよ…」
と私のことを女性群に話す.すぐさまレジェンドということになる.
チャンピョンと私は彼女たちと一緒に写真に収まる.
”こんなむくつけき私の写真など,どうするんだろう…”
と思いながらも,若い女性からの要望である.喜んで被写体になる.
<チャンピョン>
■塔ノ岳山頂
チャンピョンや若い女性と雑談をしていたために,少々,道草をしてしまった.
塔ノ岳直下の階段を登り切る頃,下山してくるMGさんとすれ違う.
「…(大倉発)13時10分のバスに間に合うように下山します…渋沢でお茶しましょう」
ということで,MGさんと一旦お別れする.
9時54分,無事,塔ノ岳山頂に到着する.上空は雲に覆われている.残念ながら眺望は皆無である.10名程の登山者が山頂で休憩を取っている.気温12℃.ほぼ無風.ジッとしているにはちょっと寒い気温である.
大倉からの所要時間は2時間48分.久々に2時間40分台のラップである.花立山荘からの所要時間は32分.金冷シからの所要時間は16分.今の私の体力から考えれば,まあこんな所だろう.
<塔ノ岳山頂>
■尊仏山荘
久々に,尊仏山荘に入る.
小屋番はWBさん,FYさん,オーナーのHDさんの3人体制.300円也のお茶を所望する.
実は,小屋番の皆様もさることながら,営業部長の花立美弥雄さん(ネコのミャー君のこと)に一番会いたかった.
当初,尊仏山荘には5分ほど滞在して,すぐに下山する積もりだった.
そろそろ下山しようかなと思い始めた頃,NMさんが山荘に到着する.NMさんからオヤツのお裾分けを頂戴している内に,長尻になる.そうこうしている内にAIさんが山荘に到着する.ますます長尻になる.
10時半頃,HNさんが息子さんと一緒に山荘に到着する.山荘が常連さんで賑やかになり始める.
<華伊達美弥雄さん>
■常レ山より一足先に下山開始
私は両膝に時限爆弾を抱えている.そこで,下山は特に決して急がずに慎重に行動するようにしている.とてもMNさんやAIさんと一緒の速度では下山できないので,12時36分,一足先に下山開始とする.
僅か30分余りの間に,塔ノ岳山頂には100人以上の人が休憩を取っている.人の間を縫うようにして下山口に辿り着く.
これから登ってくる人達とすれ違いながら,マイペースで下山し続ける.階段道の下山は,膝にとって特に要注意である.
途中で知人とすれ違うと,ちょっと立ち話.これが結構愉しい.
10時50分,金冷シを通過.
11時02分,花立山荘を通過する.花立山荘前のベンチは休憩を取る人達で鈴なりになっている.
■再び先ほどの女性群とバッタリ
11時21分,萱場平を通過する.ここも休憩を取る登山者で賑わっている.
戸沢分岐を通過して,暫く下ったところで.先ほどチャンピョンと一緒に合った若い女性3人組に声を掛けられる.
「先ほど写真を撮らせて貰いました…」
声を掛けられなければ,私は気が付かなかっただろう.
「おや,随分とユックリですね…」
もう少し雑談をしないと,申し訳ないなと思ったが,大倉発13時11分のバスに乗るには時間的な余裕がない.
私は先を急がせてもらう.
■堀山の家と観音茶屋も通過
11時38分,小草平に到着.時間が押しているので,残念ながら,堀山の家には立ち寄らずに下山し続ける.
11時55分,駒止茶屋を通過する.このまま下り続ければ,大倉で靴を洗う時間ぐらいは十分に取れそうだなと確信する.
12時23分,観音茶屋に到着する.茶屋の女主人に,
「スミマセン,今日は時間が押しているので,立ち寄らずに下山します」
と挨拶して,下山し続ける.
■バス停大倉
12時51分,バス停大倉に到着する.下山所要時間は2時間22分.何時もより10分ほど余計に時間が掛かっている.
バス乗り場の先頭に,MGさんが並んでいる.
私も先頭から10番目ぐらいの所にリュックを置いて場所取りをする.程なくMNさん,AIさんも無事到着する.
12時10分のバスは丁度座席が埋まるくらいの混雑である.
■ミスタードーナッツ
MGさん,NMさん,AIさんの3人と一緒に,渋沢駅ビル1階のミスタードーナッツに立ち寄る.270円也のホットコーヒーを賞味する.まずはストレートで.なかなか美味.
お代わりを頂戴する.都合2杯.
”これで,1杯135縁になったな…コンビニの100円コーヒーとほぼ同じ金額になったな”
と私は口には出さないものの,頭の中だけで下らない計算をする.
コーヒーの飲みながらの取り留めのない雑談が一番愉しい.こうして瞬く間に時間が経過する.
<ミスター℃ナッツのホットコーヒー>
■機嫌良く帰宅したが…
私は一足先にミスタードーナッツを出て,渋沢発14時02分の小田原行急行に乗車する.
小田原で小田原始発12時27分の上の東京ラインの電車に乗車する.4人掛けボックス席を1人で占有して,ノンビリ旅を楽しむ.ただ,平塚辺りからやたらに眠たくなり.大船を乗り越さないかとヒヤヒヤする.
何とか大船で下車,路線バスを利用して,16時前に無事帰宅する.
帰宅後,早速,PCをONにする.登山中に沢山のメールが着信している.
その中に,私が客員研究員として勤務している大学の先生から,研究会の日程についての問い合わせがある.
私は”ギクッ”とする.
この所,葬儀,ペルー旅行,展覧会などの行事が立て込んでいて,某大学関連のことが少々お留守になっている.
”こりゃあ~イカン.何とかしなければ…”
レジェンドFHは,急に慌て始めたのである.
<ラップタイム>
7:06 大倉歩きだしr
7:25 観音茶屋
7:47 見晴茶屋
8:17 駒止茶屋
8:37 小草平(堀山の家)(8:40まで休憩)
9:22 花立山荘
9:39 金冷シ
9:54 塔ノ岳山頂着
10:36 〃 発
10:50 金冷シ
11:02 花立山荘
11:28 小草平(堀山の家)
11:55 駒止茶屋
12:18 見晴茶屋
12:23 観音茶屋
12:51 大倉着
[山行記録]
■水平歩行距離 7.0km
■累積登攀下降高度 1,269m
■登り所要時間(休憩時間を含む)
大倉発 7:06
塔ノ岳山頂着 9:54
(所要時間) 2時間48分(2.80h)
水平歩行速度 7.0km/2.80h=2.50km/h
登攀速度 1,269m/2.80h=453.2m/h
■下り所要時間(休憩時間を含む)
塔ノ岳山頂発 10:36
大倉着 12:51
(所要時間) 2時間15分(2.25h)
水平歩行速度 7.0km/2.25h=3113km/h
下降速度 1,269m/2.25h =564.0m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事(塔ノ岳)
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/ac3239013fb8a243803b2ade147979a0
「丹沢の山旅」の次回の記事
(なし)
お断り;
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