<小草平から富士山を望む>
蒸し暑くて参った!参った!の丹沢;塔ノ岳(今年22回目)
(大倉尾根;花立山荘まで)
2016年8月21日(日) 曇一時雨舞う
<ルート地図>
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■コーロギと初秋の満月
さて,いよいよ21日(日)である.
”どうせ朝から雨だろう…”
と思っていた私は,何時もより少し遅く,3時50分頃起床する.
序でに外を見る.
”ありゃ~…,雨は降っていないぞ!”
私は,即座に,丹沢へ行こうと決める.そうなると忙しい.ナントしても4時10分には家から出発したい.
私は,大急ぎでハイドレーションシステムに,1.5リットルほどの水道水を入れる.その他の登山用品は,前回の参考のまま放りっぱなしにしていたリュックをそのまま背負って,何時もより3~4分,遅くなっただけで,とにかく家から出発する.
家から外に出た途端に,”モワ~…”という感じの生暖かくて湿った空気が身体に纏わり付く.
今はもう,一時期に比較して,夜が明ける時間が大分遅くなっている.外はまだ薄暗い.ただ東の空が茜色に輝き始めている.近くにある鎌倉中央公園からはウシガエルの啼き声が響くように聞こえてくる.路傍の草むらではコーロギが寂しげに啼いている.
自宅のある尾根から,山崎の谷戸に降りると,ますます蒸し暑くなってくる.家を出てから30分ほどで大船駅に到着するが,まだ早朝だというのに,もう汗ばんでいる.
大船駅のホームで,ふと空を見上げると,すっかり明るく晴れ渡った西の空に真ん丸な月が光っている.多分,満月だろう.
”おお,凄い月だ.今日は…気がよさそうだな…”
私は,ホームの柱にデジカメを当てて固定しながら月の写真を撮る(左下).でも,肉眼では良く見える兎は全く写っていないし,空の色が実際より明るくなっている.写真を撮るってなかなか難しいなと思う.
<大船駅から満月を見上げる> <矢倉岳;富士山は雲の中>
■日曜日なのに登山客が少ない
大船5時10分発初電熱海行に乗車する.先週の土曜日と同じように,今日の電車も,座れないほどではないが,かなり混雑している.
先週の土曜日は,平塚辺りからグッスリと寝込んでしまい,小田原駅から二つ向こうの根府川駅まで乗り越してしまった.今日は同じ轍を繰り返さないように,注意しているが,国府津付近からやたらに眠くなる.そこを堪えてやっと小田原駅で下車する.
小田急新宿行の急行電車に乗り換える.
新松田駅手前で,例の富士山と矢倉岳が重なるところを見たかったが,残念ながら富士山は雲の中である(上右の写真).
6時11分,電車は渋沢駅に到着する.
今日も私は大倉行バス停に一番乗りである.バスの時間まで,ストレッチをしながら待つ.
天気予報が思わしくないためか,今日は登山客が随分と少ないようである.勿論,臨時バスは出ない.見かけた常連は,三角髭のTDさん,MZさん,AIさんの3人だけ.
バスは7時丁度に大倉に到着する.
■秋の空を見上げながら歩き出す
7時04分,バス停大倉から歩き出す.常連の皆さんが私より先か後か良く分からないが,今日は完全に単独行である.
つい明け方まで降っていた雨のため,路面は濡れている.
”今日は山ヒルに注意しながら歩かないとダメだな…”
歩きながら空を見上げる.まだムッとするような残暑だが,空は透き通るように澄んでいる.抜けるような青空に秋の雲が湧いている.
登山口入口の手前にある半鐘を入れて,秋の雲の写真を撮る.
<半鐘と秋の雲>
■日の当たる坂道
歩き出しから,もう,蒸し暑い.暑いだけでなく,どうやら湿度がやたらと高そうである.こんな悪条件では,ちょっと無理をしただけで熱中症になりそうである.
7時10分,登山口を通過する.克董窯の少し先から砂利道になる.路面はベタベタに濡れていて滑りやすい.周囲の杉林から物凄い蝉しぐれ.ミンミンゼミである.
7時23分,丹沢ベースを通過する.この辺りが山ヒルに出会う確率が一番多いところである.私はなるべく登山道の中央を歩くようにしながら,一刻も立ち止まらずに歩き続ける.
7時28分,杉林を出て,トラバース道に入る.すると進行方向右手から登山道に日光が射し込むようになる.谷間から霧が湧き始めているようだが,周囲が明るくなる.ただ,茹だるような暑さには辟易とする.
<日の当たる坂道>
■見晴茶屋から相模湾を望む
7時33分,観音茶屋を通過する.まだ朝が早いので観音茶屋は閉まったままである.
ここから先は,薄暗いジグザクの登り坂である.とにかく蒸し暑いのには閉口する.止まっていても,流れるような汗が出てくる.まるで蒸し風呂状態である.自分の体調に神経を尖らせながら,ごくごくユックリのペースを保ちながら登り続ける.
7時30分,高原の家分岐を通過する.登山道は分岐の場所で大きく右に曲がる.右に曲がってから,下の登山道を見下ろすと,TDさんと女性常連2人の姿が見える.お三方とも俊足なので,何れ私に追い付くだろうなと思いながら登り続ける.
雑事場ノ平に近付くと,いくらか風が吹いている.微風でも,肌にベタベタと張り付いているネバネバとした嫌な空気をいくらか取り除いてくれる.ホッとした気分になる.
7時53分,見晴茶屋に到着する.茶屋のご主人がテラスの椅子に腰掛けて本を読んで居られる.
見晴茶屋の前で,ちょっと立ち止まって,相模湾を見下ろす風景をデジカメに収める.今日はやっぱり雲が多いようである.
<見晴茶屋からの眺望>
■見晴階段
見晴階段に差し掛かる.
何時ものように,階段を見上げた写真を撮る.今日は珍しく登山者の後ろ姿が全く見えない.
私は周囲の人達に惑わされることなしに,ジャストマイペースでユックリ,ユックリと登り続ける.
見晴階段を登り切ったところで,数名の若い男女のグループが私を軽々と追い越して行く.彼らの後ろ姿を見ながら,若さってやっぱりいいなとつくづく思う.
<見晴階段>
■モミジ坂
見晴階段を登り終えてモミジ坂に差し掛かる.
ここはそれほどの急坂ではないが,結構長い登り坂である.ちょっとでも急ぐと,汗が噴き出すので,とにかく急がないように注意しながら登り続ける.
8時13分,ようやく一本松を通過する.今日の大倉から一本松までの所要時間は1時間09分.何時もより5分ほど余計に時間が掛かっているが,この蒸し暑さではやむを得ないなと思う.
<モミジ坂>
■駒止階段
一本松からの平坦道を歩いて,8時25分,駒止階段に差し掛かる.
階段を見上げただけで,登るのがイヤになるが,ここで登るのを止めるのは如何にも勿体ないので,惰性で階段を登り続ける.
8時31分,漸く駒止茶屋に到着する.
大倉からの所要時間は.1時間27分.
”おや,おや,…とんでもなく時間が掛かったな…”
ちょっと,情けない.
階段の途中で,常連2人の女性に追い抜かれる.
<駒止階段>
■富士山が見える
駒止階段を過ぎると堀山の尾根道に入る.
平坦なところでは,私の足取りも軽快になる.
「…平らな所はちょっと先に行かせてもらいます…」
と声を掛けて,先ほどのお二人より先に行かせてもらう.
やがて,富士山が良く見える場所に到着する.富士山の山裾に雲が湧いているが,富士山がクッキリと見えている.富士山上空の青空がいかにも秋らしい.
<堀山の尾根道から富士山を望む>
■小草平(堀山の家)
8時40分,堀山の道標前を通過する.
ここからは下り坂.たまには快調に歩き隊ので,歩行速度をグッと速める.
8時49分,小草平に到着する.相変わらず富士山は良く見えているが,先ほど富士山を見たときよりも,山裾の雲が高い所まで上がってきている.
今日は日曜日なので,堀山の家も開店している.
小屋の庭先にオヤジ殿が居られる.その脇で常連のKIさんが,薪割りをしている.
小屋の玄関先の温度計によると,今の気温は25℃.ここは標高900メートルを越える高地である.それにも拘わらず25℃とは! 今日は蒸し暑いはずだ.
私が小草平に到着してから,程なく三角髭のTDさんが小草平に到着する.私に,
「…いや,(FHさんは足が)速いですよ.なかなか追いつけないですよ…」
と意外なことを言う.
TDさんと二人で,KIさんの薪割りを見物する.
「…幼少の頃,田舎で結構薪割りをしましたよ…」
と懐旧譚.
多分,堀山の尾根道の下り坂で,私を追い越そうとしたから,そんな感じがしたんだろう.私ごときは,俊足のTDさんとは比較できないほど鈍足である.坂道では,到底,御一緒するのが無理なほど,TDさんは俊足である.
ほどなく,常連のお二人も到着する.
たまたま外にいる小屋の女主人や,KIさん,TDさん達と暫くの間雑談を楽しむ.
「…そろそろ出掛けませんか…」
とTDさんをお誘いする.
TDさんは,今日の終点は堀山の家だという,せめて萱場平までいかがとお誘いするが,「いや終点はここだ…」とのこと.
私も今日の終点は小草平にしようかなと思い始める.弱気はすぐに伝染する.でも,まあ,今回はせめて萱場平ぐらいまでは登ろうかと思い直す.
8時51分,小草平から歩き出す.
<小草平に到着>
■萱場平
小草平から萱場平までは坂道の連続である.相変わらず殆ど無風で,湿度が極端に高いようである.
今,台風9号から11号までの三つの台風が日本列島の東から南の海上を移動中である.その影響のためか,とにかくジメジメした空気が充満している.
気温が高くても湿度が低ければ,何とか歩けるが,今日のように極端に湿度が高いときは,とにかく身体に堪える.
私は熱中症にならないように,注意しながら超低速で登り続ける.
戸沢分岐手前の階段道を登っているときに,後ろから来た常連2人組の女性にまた追い抜かれる.
9時14分,漸く萱場平に到着する.萱場平には誰も居ない.静まり返っている.
先ほど私を追い抜いた女性2人の後ろ姿は,もう,見えなくなっている.
私は,萱場平のベンチに腰掛けて,2分ほど給水休憩を取る.
<萱場平>
■見晴山荘
小草平から歩き出したときは萱場平を今日の終点にするつもりだったが,やっぱり花立山荘までは登ろうという気になってしまう.
そこで給水休憩を取った後,また花立山荘を目指して坂道を登り始める.
相変わらず蒸し暑いので,正直なところ四苦八苦の状態でノロノロ歩きを続ける.でもこの蒸し暑さに閉口して,ときどき立ち止まって汗を拭う.そして,大岩の手前で,2~3分立ち止まって,呼吸を整える.
萱場平から5~6分登ったところで,ポツリ,ポツリと雨粒が当たり始める.
”こりゃあ~…ダメだ! 早く下山しなければ…”
9時43分,ようやく後七分坂(花立階段)に到着する.利こうが良くて,元気なときならば,もう塔ノ岳に到着しても良い時間である.それなのに,いくら暑いとはいうものの,まだ,こんな所を歩いている自分が何とも情けない.
後七分坂を9分掛けて,9時52分にやっと見晴山荘に到着する.大倉からの所要時間は2時間48分.情けない!!!
今日はこれ以上登ると切りがなくなるので,見晴山荘から下山するが,もしこのまま登るとすれば,今日の調子から勘案して,山頂までの所要時間はざっと40分.まあそこそこのマップタイムの時間内には登れそうである.
山荘前のベンチには数名の先客が居る.私もベンチに座り込んで,空腹を満たすことにする.
辺り一面に濃い霧が掛かっていて,周囲の景色は全く見えない.どうやら,今,分厚い雲の中に居るようである.
<見晴山荘>
■花立山荘から下山開始
10時過ぎにそろそろ下山しようかと身支度を調え始める.
丁度そのとき,先ほど私を追い越して行った常連お二人が花立山荘から出てくる.私は,お二人が,もうとっくに塔ノ岳山頂辺りに居られるだろうと思っていたので,ビックリする.お二人も,ベンチに居る私を見て,
「おや…」
というような顔を敷いてる.
「…先ほど,雨がポツリと来たので,ここから下山します…」
とお二人に挨拶する.
お二人に私の弱気が伝染したのか,
「私達も下山しようか…」
と数歩歩き始める.
私はボデーランゲージで,折角だから昇った方が良いですよと言う.
「やっぱり,口惜しいから登ろうか…」
ということで,お二人は山頂目指して歩き始める.
丁度そのとき,俊足で日曜登山のMMさんが花立山荘に到着する.暫く雑談.
MMさんから,毎日登山のTGさんが途中まで登っていると伺う.
10時15分,花立山荘から下山開始.
10時45分,堀山の家に到着.まだ時間がタップリあるので,コーヒーを賞味する.
女主人のなっちゃんから,お菓子や葡萄を頂戴する.なっちゃんた,昨日今日は常連さんの数が少ないことを知らされる.
この頃,堀山の家が改装され,内部がすっかり明るくなった.新しい壁には沢山の写真が展示されている.
<堀山の家のコーヒー> <新装の壁は写真>
■無事下山
11時03分,堀山の家を出発する.
標高が下がるにつれて,だんだんと蒸し暑くなる.
12時07分,観音茶屋に立ち寄って,冷たいサイダーを馳走になる.観音茶屋の女主人から,TGさんが先ほどまで居られたと教えて貰う.
12時31分,無事,バス停大倉に到着する.
大倉発12時40分の路線バスに乗車,渋沢,小田原を経由して無事帰宅する.
<ラップタイム>
7:04 大倉歩きだし
7:33 観音茶屋
7:53 見晴茶屋
8:25 駒止茶屋
8:49 小草平(堀山の家)(8:51まで休憩)
9:14 萱場平(9:18まで休憩)
9:52 花立山荘着
10:15 〃 発
10:54 小草平(堀山の家)(11:03まで休憩)
11:23 駒止茶屋
11:51 見晴茶屋
12:07 観音茶屋(12:14まで休憩)
12:31 大倉着
[山行記録]
■水平歩行距離 5.4km(片道)
■累積登攀高度 1,059m
■累積下降高度 50m
■登り所要時間(休憩時間を含む)
大倉発 7:04
花立山荘着 9:52
(所要時間) 2時間48分(2.80h)
水平歩行速度 5.4km/2.80h=1.92km/h
登攀速度 1,059m/2.80h=378.2m/h
■下り所要時間(休憩時間を含む)
小草平発 10:15
大倉着 12:31
(所要時間) 2時間16分(2.27h)
水平歩行速度 5.4km/2.27h=2.38km/h
下降速度 1,056m/2.27h =465.2m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事(塔ノ岳)
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/a63121c4688942d23bcd57521f2c28e8
「丹沢の山旅」の次回の記事
(なし)
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蒸し暑くて参った!参った!の丹沢;塔ノ岳(今年22回目)
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