<ピスコ山(水彩画20号)>
閑話休題:日々雑感;
高所登山者検診を受けたけれど…プロローグの記事になるかな?
(アンデス・ブランカ山群トレッキング11日間)
2016年7月22日(金) 雨・涼しい1日
■思い出のアンデス・ピスコ山
数年前に,山の知人と一緒に,アンデス山脈のピスコ山(標高5,750メートル)に登ったことがある.その経緯の記事は当ブログにも連載済みだが,現地の山岳ガイドにロープで確保して貰い内ガラ,氷河の稜線を四苦八苦しながら登ったときのことを今でも鮮明に覚えている.
重登山靴に12本爪のアイゼンを装着すると,片足だけで約3キログラムの錘をつけているのと同じになる.しかも,幕営地の標高は4500メートルを越える高所である.高山病に罹患したわけではないが,極度の食欲不振に悩まされた.
でも難行苦行の末,無事登頂できたときの感激はまた一入であった.
下山もまた大変だった.疲労困憊してしまった足許はついついふらつく.氷河を抜けて,ガレ場まで下ったときの嬉しさはまだ鮮明に覚えている.
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私はピスコ山登頂の喜び,それに山頂に立ったときの虚脱感のようなものを,何時か水彩画にしたいなと思い続けていたが,ついにこのときの情景を水彩画に仕上げ,この春開催された神奈川美術協会公募展に出展した.
この絵は,すでに当ブログに掲載済みだが,話の成り行きで,あえて,もう一度,ここで掲載することにしよう.
冒頭の絵は「ピスコ山全景」(20号).鎌倉美術展出品作品
下の絵は「ピスコ山山頂」(20号).神奈川美術協会公募展出品作品
■ブランカ山群トレッキングに仮申込み
ピスコ山に登頂してから,瞬く間に数年の歳月が流れた.
その間,もちろん私は毎年のように,結構,骨の折れる山に登ってはいるが,4000メートルを越える高い山には,このピスコ山に登頂して以来,全く登っていない.要するに景色の良いヨーロッパアルプス,カナディアンロッキー,北欧の山を主体に毎年登山を続けてきた.
でも,最近になって,また,アンデスの山が恋しくなり始めた.
そうは言っても,私ももうかなりの高年齢である.実は私より若い有名人が最近二人もあの世に旅立っている.それに今話題の都知事選候補の中で健康問題が懸念されている某候補者も私よりずっと若い.
そう考えると,一見元気そうに見える私でも,高齢者には違いない.そんな高齢者が標高4000メートルを越える高所トレッキングに出掛けて良いんだろうかと,自責の念に駆られる.
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そうは言っても,アンデスへの憧れは,そう簡単になくなるわけはない.
何時も海外登山でお世話になっている登山専門の旅行社,アルパインツアーサービス社(以下略してATS)からの勧誘もあって,
”…ならば,思い切ってもう一度アンデスへ行ってみようか…”
という気になる.
そして,遅ればせながら重い腰を上げて,
「アンデス・ブランカ山群トレッキング11日間」
というツアーに申込み手続きを開始する.
申し込んだトレッキングルートの概念図は以下の通りである.
<ペルー概念図> ピスコ山周辺拡大図
↓
<今回申込み中のトレッキングルートの位置>
■ブランカ山脈の思い出;名峰ワスカラン
ピスコ山に入山するには,ワスカラン国立公園(正確な名前忘れた!)に入る.ここからは名峰ワスカランがとても良く見える.
下の絵はアンデスの名峰ワスカラン(20号),神奈川美術協会公募展出品作品である.
ワスカランは双耳峰.その向かって右側の峯だけを絵にした.
この山は,私などには絶対に登れない厳しい山である.数年前,ペルーでお世話になった登山家三井さんと現地山岳ガイドのクラディオさんが,このワスカランで雪崩に遭って遭難した.だからお二人に大変お世話になった私にとっても,鎮魂の山である.合掌.私はこの山に畏怖の念を餅ながら,お二人に捧げるこの絵を画いた.
なお,上野地図に記載されている「コップ山荘」は,故三井氏とクラディオ氏の共同経営の山荘である.私達はこの山荘を起点にして行動をした.お二人が亡くなってから,コップ山荘のHPも閲覧できなくなったので,多分,もう営業していないと思われる.
私達がペルーを訪れたとき,クラディオさんにはとても可愛い男の子が居た.あれから幾星霜,今はどうされているんだろう.
<アンデスの名峰ワスカラン>
■高所トレッキングには登山者検診が必須
今回申込み手続きをしているツアーは,所謂,ピークハントのツアーではない.具体的に言えば,数年前に登頂したピスコ山の周辺を4日掛けて周回するトレッキングである.従って,重登山靴やアイゼンも必要ないし,ザイルパーティを組む必要もない.まあ,有り体に言えば,技術的な難易度はそれほど高くはない,ただ,途中で標高4,750メートルという高所の峠越えがあるのが難所である.
高所と言うだけなら,過去に,私はキリマンジャロ(標高5800メートル)をはじめとして,モンブラン,メンヒ,ユングフラウ,ウイルヘルム山,キナバル山,エルバート山など標高が4000メートルを超える山に登った経験がある.でも,北アルプスの3000メートル級を除けば,ここ数年,標高が高いところに登ったことがない.それだけに,この年になって,また,標高が4500メートルを越えるところに登るにはいささかの決断が必要である.
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高所登山に参加するには,日本登山医学会登山者検診ネットワーク実行委員会に所属する受診医療機関で実施する登山者検診をパスすることが前提条件になっている.
下の絵はピスコ山登頂を終えてテントで休息しているところ.
神奈川美術協会公募展出品作品(20号)
■世田谷の指定診療所に到着
希望するトレッキングの出発日は,9月初旬.
このトレッキングに参加するためには,早急に登山者検診をパスしなければならない.
私は,橫浜にある医療機関に申し込もうとした.ところがそこは大変混雑していて,8月中旬まで予約が一杯,しかも結果が出るのがお盆休み後の8月下旬になるという.
これではどうしようもない.
私はATSの担当者に事情を話して,このトレッキングへの参加を諦めることにした.
ところが,ATSの担当者が熱心に医療機関を探してくれた.そして,比較的早く受診可能な医療機関を何カ所か教えてくれた.
このATS担当者の助言から,
”ATSさんの本音は,私ごとき高齢者は敬遠したいのではないか…”
という私のちょっとした疑念は雲散霧消した.
私は,紹介を受けた医療機関の中から,自宅から一番アクセスしやすい世田谷にあるSH内科という医療機関の予約をした.予約日は今日(7月22日)午前中である.
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私は,多少の時間的余裕を見て,大船駅から東海道本線下り電車で藤沢へ.ラッシュアワーを少し過ぎた時間帯なので,電車は比較的空いている.
藤沢から,小田急江ノ島線の電車で,診療所の最寄り駅,祖師ヶ谷大蔵へ向かう.
この時間帯は,なんと急行電車は1本もない.まずは町田まで各駅停車,町田で小田原から来た各駅停車の電車に乗り換えて新百合ヶ丘へ.新百合ヶ丘から急行電車,さらに各駅停車に乗り換えて,やっと祖師ヶ谷大蔵に到着する.藤沢からの所要時間は1時間を越えている.なんとまあ…不便なことよ!
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祖師ヶ谷大蔵駅から診療所までの道のりはせいぜい5分ぐらいだが,土地勘が全くない私には少々わかりにくい.
駅前から道幅が狭い繁華街を北に向かって歩く.左右に細い路地が何本も分岐する.
地図を見ながら,
”どうもこの角を曲がるらしいな…”
と訝りながらも左折する.
辺りを見回しても,病院らしい建物は見当たらないが,
”…もうちょっと先へ行ってみようか…”
やがて,ちょっと大きめの仕舞た屋風の2階建ての家屋が,目指す診療所だと分かる.
玄関から建物の中に入る.
玄関から七に入ると,幼児を連れたお母さんが一杯居る.良く見ると入口に○○小児科と画いてある.
”ありゃ~…! 間違えたかな…”
と少々慌てる.でも建物を良く見ると,どうやら2階が目指す診療所のようである.
階段を登って2階の診療所の受付で,
「…今日午前中に予約したFHです…」
と申し出て確認を取る.
先客は2人だけ.比較的空いている.
まだ新築間もない感じで,何となく木の香りが漂っている.受付の脇に診察所が2ヶ所.
受付に,保険証とATSから送られてきた書類を揃えて渡す.
「FHさんは,(この診療所に来るのが)初めてですので,この用紙を記入して下さい…」
用紙に記入している間に,
「お熱を計ります…」
平熱だった.
■健康診断を受ける
10分ほど待って,健康診断が始まる.
女医さんである.山に詳しい.
私が数年前にピスコ山に登ったと報告すると,「私も登った…」とのこと.ひとしきり山の話で弾む.ATSのツアーでお世話になった山岳ガイドSSKさん,TGさんなど女医さんもご存じの方が居られて,共通の話題が尽きない.
「…塔ノ岳に行かれているようですが,ヒル大丈夫ですか?」
「週1回,塔ノ岳に登っていますが,登山道でヒルに会ったことはまだありません…」
検査は胸部レントゲン,心電図,肺機能(1秒率),胸部打診,血液検査(6月に検査した項目を除く),検尿など多岐にわたる.
「高所で何か症状が出ましたか…」
「はい出ました.食欲不振で参りました…」
「高いところへ行けば,だれでも食欲不振になりますよ…」
検査結果が出そろって,最終的な合否判明するのは来週火曜日である.
今日の段階での検査結果は,
*肺機能は実年齢より10数才若い.
*体型,BMIは全く問題ない.
*血液検査などで,余程悪い数字が出なければ問題ないだろう.
とのことであった.
「高所登山には,肺機能が一番重要です.(あなたは)平素山に登っているので,肺機能がとても良いし,心電図も綺麗です…火曜日に検査結果が出そろったところで最終の結論を出しますが,よほど悪い数字が出ない限り大丈夫でしょう…」
まだ,最終結論は出ていないが,肺年令が実年齢より15歳も若いことを伺って,正直なところ,とても嬉しい・
これも塔ノ岳からの贈り物である.
■雨の祖師ヶ谷大蔵で昼食
11時過ぎに,検査を終える.診療所から外へ出る.まだ小雨が降っている.道幅が狭い商店街を祖師ヶ谷大蔵駅に向かう.
検査のため朝食を抜きなので,どこかで食事をしたいなと思うが,なかなか適当なところが見つからない.そうこうしている内に,祖師ヶ谷大蔵駅に到着してしまう.
”しょうがないな…”
仕方がないので,駅構内の立ち食い蕎麦屋に入って,ミニ天丼定食とやらを摂る.
今年,3月下旬に胆石症の手術を受けてから,天ぷらを食べても胃が痛くならない.これが私にとって何とも嬉しい.嬉しくて仕方がないのである.
”でも,油物は注意して食べないと,身体に良くないな…”
ということで,せいぜい月に2~3回という程度に留めている.
<祖師ヶ谷大蔵の駅ビル某蕎麦屋のミニ天丼定食>
■「アンデス・ブランカ山脈トレッキング;プロローグ(1)」になるかな?
祖師ヶ谷大蔵に停車する電車は各駅停車だけ.日中の運転間隔は10分おき.渋沢辺りと大差ない.ただ,この辺りは複々線になっていて,目の前を特急電車や急行電車が頻繁に通過していく.
新百合ヶ丘で快速急行藤沢行に乗り換える.幸いなことにそれほど混雑していないので座席に座れる.暫くするとお決まりの居眠りである.町田も相模大野も夢の内,気が付くと藤沢に到着したところ.
”ヤケに早いなあ…”
藤沢から東海道本線の電車で大船へ,今日は運動不足なので,大船駅から歩いて帰宅しようかと思ったが,何となく面倒で,結局路線バスを利用することにする.
バスの時間まで,まだちょっとある.
私は五十三次洛遊会のABさんから頂戴したBecker'sの割引券が残っていることを思い出す.
”それでは…”
ということで,成り行きでBecker'sに入って,ホットコーヒーを賞味する.
コーヒーの香りを楽しんでいる内に,次第に心も和んでくる.
<Bscker'sのホットコーヒー>
■明日は塔ノ岳へ行くぞ
帰宅後も何となく疲労感がある.またまた夕食まで昼寝をしてしまう.
”こんなことで高所登山なんて,出来るんだろうか…”
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もし,今回の登山者検診にパスして,ツアーが成立したら,今回の記事は,
「アンデス・ブランカ山脈トレッキング;プロローグ(1):登山者検診」
に表題を換えて,再編集するつもりである.
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明日は土曜日だ.
幸いなことに,明日の天気は曇で,雨は降らないようである.
今は,ちょっと疲労感があるが,明日は1週間ぶりに塔ノ岳に登ろうと思う.先週の土曜日のように,やたらに蒸し暑いとシンドイナ…と思いながら,21時頃就寝する.
(おわり)
「閑話休題;日々雑感」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/afb74a86ea8121d75316be86a29193e6
「閑話休題;日々雑感」の次回の記事
(なし)
お断り;
これらの記事は,私の趣味仲間を読者対象としたものであり,一般の読者を対象としていません,したがって,まったく個人的なものです.また十分に時間を掛けて編集していませんので,記事は正確とは言えないし,誤字脱字転換ミスも多々あると思います.このことを前提にしてご覧下さい.
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