<霧の塔ノ岳山頂>
蒸し暑さで登るのがイヤになった丹沢:塔ノ岳(今年17回目)
(リハビリ単独山行)
2016年7月16日(土) 終日霧雨
■雨雲が低く垂れ込めている
今日は断固塔ノ岳へ出掛けるぞと決心する.
実は,昨日(7月15日),関東学院大学公開講座のフィールドワーク序でに雨の中を歩き廻った疲れが,今朝はまだ少し残っている.
何時ものように,4時10分に家を出る.道路がベッタリと濡れている.雨雲が低く垂れ込めているようである.最新の天気予報では,日中は曇の筈だが,”雨に会わないか?”と気になる.
低く垂れ込める雲のためか,あるいは夏至を過ぎてから大分日が経っているせいか分からないが,まだ外は暗い.つい最近まで,家を出るときはもう辺りが明るくなっていたのに…季節が確実に進んでいることを実感する.
何時ものように,大船駅前の定食屋に入って朝食を摂る.私が定食屋に入ると,私の顔を覚えている店員が,
「納豆定食ですね…?」
と念を押す.
大船5時10分発東海道本線熱海行の電車に乗車する.今日は余り天気が良くないのに結構乗客が多い.途中の駅で,中学生らしい団体が沢山乗り込んでくる.
”うるさいなあ…”
と思っている内に,平塚で全員が下車してしまう.
小田原からはいつも通りの小田急新宿行急行電車に乗車する.6時11分,渋沢駅到着.そのままバス乗り場へ.
6時40分過ぎに臨時バスが出る.まあまあの混雑である.乗り合わせた常連は,TGさん.KMさん,TDさん,IsIさん,YSさん,AIさんなど.
■ムシムシする大倉
6時53分,大倉から歩き出す.単独行である.
気温はそれほど高くなさそうだが,とにかく湿度がメチャメチャ高いようである.辺り一面に霧が立ちこめている.
私はまだ昨日の疲れが残っているので,とにかくユックリペースで歩き始める.路面はビショビショに濡れたまま.なんとも不吉な予感がする.
”足許が,濡れているな…山ヒルに気を付けなければ…”
沢山の若い人に追い抜かれながら,ユックリと登るが,とにかく湿度が身体に堪える.
”こりゃあ~…,だめだ!”
7時24分,ようやく観音茶屋を通過する.まだ朝が早いので,観音茶屋は開店していない.
いよいよ憂鬱な感じのジグザグ登りに差し掛かる.辺り一面に霧が掛かっていて,全くの無風である.湿気が身体に容赦なく纏わり付く.
”こんな湿気の強い日に出掛けてくるんじゃなかった…”
と後悔し始める.
そう! 私は軟弱者なのだ.
7時42分,やっと雑事場ノ平の尾根道に到着する.ここまで登ると尾根を越える空気の流れが幾分感じられ,身体に纏わり付いていた湿気がいくらか取り除かれたような気分になる.
<雑事場ノ平の尾根道>
■霧の見晴階段
7時44分,やっと見晴茶屋を通過する.大倉から見晴茶屋まで51分もかかっている.いくらノンビリでも,これでは先が思いやられる.
見晴茶屋を通過して,見晴階段に差し掛かる.例によって階段を見上げた写真を撮るが,濃い霧が掛かっていて,殆ど見通しがない.坂の上の方に一体何人ぐらいの登山者が居るのかも全く見えない.
”今日は堀山の家を終点にしようかな,それとももう少し頑張って萱場平ぐらいまでは登ろうかな…”
などと考えながら,デレデレと坂道を登る.
やっとのことで見晴階段を登り切って,モミジ坂に差し掛かる.
<見晴階段>
■一本松
モミジ階段を登り始めた頃,霧雨が降り出す.霧雨と言うよりは雲の中に入ったという方が正しいのかもしれない.
雨具を着るほどではないが,霧雨でも衣服が濡れ始める.もっとも雨具を着ても汗でやっぱり濡れてしまう.この程度の霧雨なら,いっそのこと雨具なしで涼しい格好の方が良かろうと判断する.
もうすぐ一本松というところで,下山してくるKSさんとすれ違う.
「やあ,やあ,…FHさん」
で握手.塔ノ岳山頂の気温は16℃とのこと.山頂は霧が掛かってはいるものの雨ではないとのこと.
8時04分,やっと一本松を通過する.大倉からの所要時間は1時間11分.この頃の平均速度より7~8分余計に掛かっている.
<一本松付近>
■駒止階段
8時17分,駒止階段の難所に差し掛かる.後から来られたKIさん,MTさんが私に追い付く.
駒止階段をゆっくりと登って,8時21分に駒止茶屋を通過する.
大倉からの所要時間は,1時間28分.超最悪.
”元気な頃は,大倉から1時間で駒止茶屋に到着できたのに…嗚呼!”
過去のことを,懐かしむのはバカみたいだが,寄る年波には勝てないという現実が恨めしい.
<駒止階段>
■霧の散歩道から小草平へ
駒止茶屋を通過すると,大倉尾根で一番愉しい堀山の尾根道になる.暫くの間,ほぼ平坦な道が続く.今日は濃い霧が掛かっていて,視界は全くないが,この辺りを歩いているのが一番愉しい.
例によって,富士山が良く見える場所で,見えない富士山の写真を撮る.
”もうすぐ,本日の終点,小草平だ…!”
私は,小草平にある堀山の家に立ち寄って,暫く休憩を取った後下山しようと思っている.
8時40分,小草平に到着する.
堀山の家の玄関に掛けてある寒暖計を見ると,今の気温は18.5℃.予想より大分涼しい.私は,気が変わって,どうせなら萱場平まで登ろうかと思いはじめる.
丁度居合わせたKIさん,MTさんに,
「私,牛歩ですから,先にユックリ登っています…」
と挨拶して,萱場平を目指して登り始める.
<濃い霧が掛かる堀山の尾根道>
■萱場平
小草平から岩礫がゴロゴロと転がる急坂が続く.
疲労気味の私は蒸し暑さに絶えながら,ユックリ,ユックリ登り続ける.岩礫の道が終わって階段道になる.
階段道を戸沢分岐までの半分ぐらい登ったところで,俊足のNMさんが私に追い付く.
「おや,FHさん,ここでお会いするとは思わなかったです…暫く振りですね」
私は,NMさんに先をお譲りする.
さらに独り旅を続けて,9時07分に,本日の終点,萱場平に到着する.
萱場平のベンチに座って,小休止後,下山する積もりである.
<萱場平>
■花立山荘
萱場平で,休憩を取りながら水分を補給する.
暫くの間,休憩を取っていると,このまま下山するのはいかにも惜しいなと思い出す.そこで,気分を変えて,
”…ん,じゃぁ~…まあ,花立山荘まで登ることにしようか…”
…ということで,9時15分,萱場平からまた坂道を登り始める.とはいえ,なかなか気勢は上がらず,歩行速度は鈍るばかりである.
9時31分,大岩の手前で,IsIさんが私に追い付く.
「…今日は蒸し暑さで参りました.花立山荘まで登ってから,下山します…」
とIsIさんに弱音を吐く.
途中で,MGさん,YDさんのお二人が私に追い付く.
「蒸し暑いので,無理をせずに途中で引き返します…」
とお二人に弱音を吐く.
弱音を吐きながらも,9時40分,後七分坂(花立階段のこと)に到着する.
気を引き締めてから,階段を登り始める.もう少しで階段を登り切るところで,下山してくるチャンピョンとすれ違う.
「…蒸し暑くて参りました…」
と挨拶すると,チャンピョンに,
「今日は涼しいですよ…」
と言われてしまう.
後七分坂を10分掛けて登って,9時48分,漸く花立山荘に到着する.山荘のスタッフが開店準備をしている.
山荘前のベンチでは数名の登山客が休憩を取っている.
大倉からの所要時間は,2時間51分.最悪.記録を書き留めるのも忌まわしい.萱場平で休憩を取ったとはいえ,小草平からの所要時間が”なんと!”,1時間08分も掛かっている.超最悪!最悪の自己新記録を達成したことになる.
<花立山荘>
■花立山山頂
花立山荘から花立山の登りに差し掛かる.暫くの間,段差が大きい階段道が連続する.私には,この辺りが,大倉尾根の最大の難所のように思える.
幸いなことに,この辺りまで登ると風も少し吹いているし,なによりも気温が多少低くなる.ユックリペースながら,花立山荘から12分掛けて,花立山山頂に到着する.勿論,辺り一面に濃い霧が掛かっていて,眺望は全くないが,霧雨は何時の間にか止んでいる.何よりも蒸し暑さがなくなったのが嬉しい.
爽やかな冷気を味わいながら馬の背に向けて尾根歩きを楽しむ.
<花立山山頂>
■常連最年長グループのSTさん
馬の背で,下山してくる無線のSTさんとバッタリ.STさんは私より,ほんの少し,年長さんである.
STさんが,
「…いや~ぁ…,暫く! どうされているか心配していましたよ…」
「…」
「先ほど山頂で常連の方に伺ったら,FHさんは途中で下山されるかもしれないので,早く降りないと会えないかもしれませんと言われましたよ.お会いできて嬉しいです」
ここで,10分ほどSTさんと立ち話.積もる話はなかなか尽きない.最後にSTさんが,
「…久々に塔ノ岳山頂まで登ったとアナウンスして下さいよ…」
と私に言う.
”あれぇ…,天気差へ良ければ,私はほぼ毎週塔ノ岳に登っているのに…”
と多少違和感があるが,
「はい,そうします…」
と了承して,お別れする.
お別れしてから,アナウンスするって,どうしたら良いんだろうと迷う.
■金冷シから塔ノ岳山頂へ
10時19分,金冷シの到着する.
丁度,ここで小丸方面から来られた俊足のKMさん,三角髭のTDさんのお二人とバッタリ.KMさんは塔ノ岳へ,TDさんは,金冷シから大倉尾根を下山されるとのこと.
TDさんに,一緒に塔ノ岳まで登りましょうとお誘いするが,やっぱり下山するとのこと.
俊足のKMさんは,瞬く間に,私の視界から消える.
山頂直下の階段道に差し掛かるところで,下山してくるMGさんYDさんとすれ違う.
「やっぱり,山頂まで来てしまいましたよ…」
MGさんがニヤニヤしながら,
「この前と同じですね…」
という.
そう言えば,前回も,私は,途中で下山しますと言いながら,結局,山頂まで登ったなと思い出す.
私が喘ぎながら,塔ノ岳山頂直前の木階段を登っているときに,山頂からKMさんが降りてくる.
「尊仏山荘を覗いたら登山客で一杯でしたよ.堀山の家に寄ろうかと思っています…」
10時27分,漸く塔ノ岳山頂に到着する.山頂の気温は17℃.冷たい風が吹いていて,ちょっと立ち止まるとすぐに寒くなる.
山頂からの眺望は皆無.残念.
大倉からの所要時間は,実に3時間34分.途中で10分ほと立ち話をしていたにしても,情けない記録である.もっとも,大倉尾根の標準時間は休憩時間を除いて3時間30分なので,一応は標準時間内には違いないが…それにしても,もっと奮起しなければ…と反省しきりのラップである.
<霧の塔ノ岳山頂>
■何処にも立ち寄らずに下山
大倉発13時11分のバスに乗車したい.それには,今日の濡れた足場のことを勘案sルと下山の所要時間は2時間20分程度は見ておかなければならない.
逆算すると,とてもとてもどこかで道草をしている時間はない.
私は,逆算の結果,10時32分に,塔ノ岳山頂から下山開始する.
山頂直下の階段道で,登って来るカメラマンのMMさんとすれ違う.さらに,馬の背で,名前を忘れた顔見知りの男性とバッタリ.また5~6分,立ち話をする.これで,全く時間の余裕がなくなる.
私はひたすら下山し続ける.休憩も取らずに…
ただし,足許を良く見て,一歩一歩丁寧に歩くことだけは厳守する.その結果,下山途中一回も滑ったり石車に乗ったりすることもない.
途中で,高校生らしい数十名の登山グループとすれ違う.
11時36分,堀山の家に到着するが,立ち寄っている時間がないので,そのまま通過する.
12時32分,観音茶屋に到着する.ジュース1本ぐらい立ち飲みするかと思っていたが,残念ながら,今日は休業である.
その後も順調に下って,12時55分,無事,大倉に到着する.
沢山の常連さんが,私と同じバスを待っている.
「…(塔ノ岳の)山頂まで登ったんですか…?」
「随分早く下山して来ましたね…」
と何に火の方々から声を掛けられる.
「山頂まで登ったのは登ったんですが…物凄く時間が掛かっちゃって…」
と,私,照れる.
「時間なんかどうでもいいです…とにかく山頂まで登られたのは凄いですよ…」
と誉められたような慰められたような気分になる.
■渋沢で懇親会
大倉発13時11分の路線バスに乗車する.TGさん.KMさん,TDさん,IsIさん,YSさん,MGさん,YDさん,STさん,HMさん,AIさんなど常連の殆どが同じバスに乗車している.
渋沢駅構内のミスタードーナッツで何時ものように有志だけで「お茶」である.
お茶を飲みながら,次回の「HMさんと行く大人の遠足」シリーズの計画が提案される.勿論私も参加する積もりである.
その他にも忘年会1泊旅行の話も…こちらも勿論参加するつもり.
お茶をしている間に,塔ノ岳を往復した疲労も気分的に解消してしまう.
<ミスタードーナッツでお茶>
■無事帰宅
私は皆さんより少々早めに店を出て帰途につく.
渋沢から小田原に出て,小田原市発の上野東京ライン高崎行電車に乗車する.4人掛け1ボックスを1人で占領してユックリと帰宅する.
自宅では大学生の孫娘が滞在中である.リケジョである.授業が大分きついらしいが,ジジイの私も理系出身なので,孫娘の大変さは良く分かる.
”大学も良いけれど,早く曾孫を産んでくれ~ぃ…”
でも,こればかっかりは相手が居なければ実現できないし,その前にちゃんと学校を卒業してくれなければ…
帰宅後,まずはシャワーを浴びて,汗を流す.そして汗臭い衣類を手早く洗濯してしまう.
一連の行事が終わると,サッパリした気分になる.
”それにしても,今日の山行は疲れたな…”
<ラップタイム>
6:53 大倉歩きだし
7:24 観音茶屋
7:44 見晴茶屋
8:21 駒止茶屋
8:40 小草平(堀山の家)
9:48 花立山荘
10:10 金冷シ
10:27 塔ノ岳山頂着
10:32 〃 発
11:02 花立山荘
11:36 小草平(堀山の家)
11:55 駒止茶屋
12:18 見晴茶屋
12:32 観音茶屋
12:55 大倉着
[山行記録]
■水平歩行距離 7.0km
■累積登攀下降高度 1,269m
■登り所要時間(休憩時間を含む)
大倉発 6:53
塔ノ岳山頂着 10:27
(所要時間) 3時間34分(3.57h)
水平歩行速度 7.0km/3.57h=1.96km/h
登攀速度 1,269m/3.57h=352.7m/h
■下り所要時間(休憩時間を含む)
塔ノ岳山頂発 10:32
大倉着 12:55
(所要時間) 2時間23分(2.38h)
水平歩行速度 7.0km/2.38h=2.94km/h
下降速度 1,269m/2.38h =533.2m/h
(注)遅い遅いと言いながらも,上りは1時間で352メートル,下りは1時間に533
メートルも下っている.世間的に見たら,決して遅いラップではない.
要するに塔ノ岳の常連が速すぎるということだろう…比較する対象が間違
っているということにしておこう.
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/85be7dd5b2ac5fa17b45503066eb427c
「丹沢の山旅」の次回の記事
(なし)
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