<しなの鉄道車窓から浅間山を望む>
残雪の軽井沢・小諸・高峰高原一回り
(単独旅行)
2016年1月25日(月) 快晴・極寒
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急用ができて,生まれ故郷の信州小諸へ日帰りの旅をした.
幸いなことに天気に恵まれ,車窓からは富士山,浅間山を仰ぎ見ることができた.
序でに,高峰高原ホテルを訪れ,厳冬期の黒斑山や佐久平の眺望を楽しんだ.
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<急用で信州へ>
■色々と多忙だが仕方がない
1月23日(土)の夜,生まれ故郷に住んでいる弟から,急用があるので,至急,信州へ戻るように連絡を受ける.そうはいっても,翌,24日は絵の関係の某協会の総会と懇親会に出席することになっているし,27日からは香港の山旅にでかけることになっている.さらに某大学関係の仕事も中途半端なままである.これでは身体が幾つあっても足りない.でも,考えようによっては,まあ,ゴシャゴシャやっている内に何とかなるだろうと多寡をくくって,”善は急げ”ではないが,1月25日(月),小諸まで日帰りの旅を楽しんだ.
まずは,早朝,大船駅から上野東京ラインの電車で東京へ.
早朝といっても,相手の時間の都合もあるので,塔ノ岳詣でのときに比較すれば,ずっと遅く,いわゆる通勤時間帯である.その昔,馴れに馴れていた通勤経路だが,久々に通勤客と一緒に駅構内を歩くのには戸惑いがある.とにかく通勤客の皆さんの歩行速度が,日中の旅行客とは比較にならないほど速いし,ある種のリズムに沿って,流れるように歩いている.その流れに沿って歩くのが,長い間,通勤時間帯から遠ざかっていた私には,えらく骨が折れる.
もちろん電車は混雑していて座れない.もっとも平素歩き馴れている私には,立っていることはそれほど苦痛ではないが,運良く,戸塚駅で座れる.座ると出るのが居眠りの習慣である.浜を出る頃には寝込んでしまう.悪い癖.車内のざわつきに目が覚めたら新橋駅.
■東京から北陸新幹線で…
東京駅構内の売店で,昼食用のニギリメシ2個を購入,これを車内で食べて昼食代わりにする.予定外の交通費の出費なので緊縮財政である.粗食も止むを得ない.
東京駅から北陸新幹線9時44分発金沢行電車に乗車する.金沢駅まで各駅の停車するタイプである.平日なので,旅行客よりビジネスマンが沢山乗車しているようである.私はなにげなく進行方向左手の窓側の席に座る.もちろん,自由席である.
昨年秋以来の久々の新幹線である.私は車窓の風景をゆっくりと楽しみたい.一人旅はそんな気分を満足させるのにもってこいである.
<隣ホームの新幹線青森行> <新幹線の車内>
<車窓から富士山を楽しむ>
■東京都内から富士山の頭がチラリ見える
列車が埼玉県に入る頃から,遙か西に富士山が見えているのに気がつく.これまで何回となく高崎線や新幹線の電車に乗っているが,今日ほどクッキリと富士山を見たという記憶はない.私はデジカメを構えて,随分沢山の写真を撮りまくる.その中から数枚の写真を選んで披露することにしよう.
<東京都内から富士山が見える>
■大宮付近
大宮に近付くと線路の高架が高くなるのか,富士山が裾野までクッキリと見え始める.バッチリとした富士山の写真を撮ろうと思うが,カメラを構えると突然大きなビルが視界を遮るので,なかなか思うように撮れない.
<大宮付近からの富士山>
■埼玉県郊外かな
東京から遠ざかるにつれて,高層ビルも少なくなり富士山が良く見えるようになる.
富士山の手前に見えている山脈はどこだろうか.秩父の山々かな.
<高層ビルが少なくなりマンションが増え出す>
■群馬県かな?
高崎が近付くと,田園風景の中の富士山がとても良く見えるようになる.ちょっと途中下車してお散歩してみたいような風景である.
<長閑な田園地帯が広がる>
<軽井沢からしなの鉄道に乗り換える>
■碓氷峠を抜けて軽井沢へ
車窓から富士山の眺めを楽しんでいる内に,高崎に到着する.列車は,高崎を発車して暫くすると長いトンネルを幾つか通り抜けて,10時51分,軽井沢駅に到着する.
辺り一面が銀世界である.関東平野とは隔絶した厳しい冬景色である.
<雪の軽井沢駅>
■軽井沢駅前をお散歩
折角だから,軽井沢駅前を少し歩いてみる.でも,とにかく寒い.それに歩道の残雪が凍結していて実に歩きにくい.
もちろん,私は,出発前から雪を想定して,軽登山靴を履いているが,それでも滑って転ぶのが怖いので,早々にお散歩を止めて駅に戻る.
<雪の軽井沢駅前>
<しなの鉄道>
■しなの鉄道軽井沢駅
軽井沢から小諸まではしなの鉄道に乗車する.
雪が残る軽井沢駅しなの鉄道ホームから電車に乗車する.3っドアーボックス席の懐かしい車両である.3両編成.東海道本線や横須賀線の10~15両編成の列車ばかり,日頃見ている目には,3両編成の列車からはとても軽快な感じを受ける.私は手動になっているドアーを開けて2両目の車両に乗り込む.
車窓から外を眺めると,碓氷峠時代の懐かしい電気機関車が保存されているのが見える.
新幹線乗り継ぎの関係で,発車時間は少し遅れて,11時30分頃,軽井沢駅を発車する.私と同じ車両に乗り合わせた乗客はたった3人.その内,1人は隣の中軽井沢駅で下車したので.そこから先,小諸まで乗っていた乗客は,私を含めて2人だけ.
<しなの鉄道軽井沢駅> <軽井沢駅に保存されている電気機関車>
■離山
電車は発車して間もなく,離山の麓を通り過ぎる.
この離山の山頂から,雄大な浅間山や裾野に広がる佐久平の眺望が素晴らしいので,私は,毎年,この山に登っている.
車窓から離山を眺めながら,今年は何時頃離山に登ろうかな…などとついつい先のことを考える.
<離山の麓を通過する>
■車窓から浅間山を望む
進行方向右手に浅間山が見え出す.
上空には雲が湧いているが,幸いなことに浅間山連山がクッキリと見えている.なかなかの絶景,私は刻々と移り変わる浅間山の風景を絶えずデジカメに収める.
私のような小諸生まれの人間にとっては,浅間山は畏怖の山,信仰の山である.
列車の進行とともに刻々と山容が変わっていく.小諸に近付くにつれて,幼少の頃から見馴れた山の形に変わっていく.見馴れた山の形に近付くと,
”もうすぐ小諸だ…!”
ということで気分が高揚してくる.
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■小諸駅
列車は,11時54分,小諸駅に到着する.
駅前や目抜き通りの歩道は,まあ,まあ,除雪されているが,そこから少し外れると一面の銀世界である.駅前の公園も通路が細々と除雪されているだけ.
公園の向こうには,昨年,何回も宿泊したホテルの建物が見えている.
<小諸駅> <雪が降り積もった駅前の公園>
<小諸市内散策>
■小諸散策地図
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■凍結した市内をブラブラ
弟と落ち合う約束時間は13時である.まだ,小一時間ある.その間に,何カ所から廻って見たいところがある.それに時間があれば懐古園も一回りしたいなと思う.
まずは,大手門の写真を撮りたい.
小諸駅前付近の主だった道路は除雪がされているが,ちょっと路地に入ると雪が残ったまま凍結している.もちろん,道路が凍結していることは予想できたので,軽登山靴を履いてきているが,やっぱり滑る.4本爪程度の軽アイゼンを付けたくなる.
雪をボコボコと踏みつけながら,12時04分,大手門に到着する.
雪の中,ここを訪れる人などないらしく,静まり返っている.
私は写真を数枚撮ってから,門を潜って,本町奉免に向かう.
ところが,凍てついた残雪の登り坂がある.ズルズルと滑ってなかなかまともには歩けないので,四苦八苦する.
”子どもの頃は,下駄を履いたまま,こんな坂道を歩いていたな…よくまあ転倒しなかったな”
と往時のことを思い出す.
<大手門>
■ほんまち町屋館から浅間山を望む
国道18号線に突き当たる.本町との交差点を渡る.凍結した道が歩きづらい.
12時05分,ほんまち町屋館に到着する.入口が閉まっている.入口の案内文によれは,この時間は開いているはずだが…
”まあ,いいや…オレは裏手の広場から浅間山を眺めたいだけだから…”
ということで,建屋の脇から,広場に入る.
雪の中,わざわざこんな広場に来る人は居ないらしくて,30~40センチメートルほどの雪が積もったままになっている.私はスパッツなど着けていないが,構わず雪の中を歩いて,展望の良い所で浅間山の写真を撮る(下の写真).
右から剣ヶ峰,前掛山,黒斑山,高峯山などの浅間連山がとても良く見えている.
<ほんまち町屋館から浅間山を望む>
■島崎藤村ゆかりの遺構
懐古園を一回りしようかと思って,再び国道18号線との交差点まで戻る.ところが凍結した下り坂はサッサとは歩けない.これではとても懐古園を回る時間はないので,諦めて,闘争縁の遺構でも見ようかと思う.
途中の路地から藤村ゆかりの井戸へ向かおうと思ったが,どの路地登り坂で残雪が凍結していて,私には到底登自信がない.しかたなく目抜き通りの相生町を迂回する.
相生町を数分登ったところで左折して路地に入る.途端に残雪.地元のオバサンが器用に歩いて居る.私モタモタ.
12時28分,藤村井戸に到着する.井戸の廻りは雪が降り積もったまま.
続いて,雪道をノソノソ歩いて,12時29分,島崎藤村旧栖地を訪れる.今,ここは何の変哲もない駐車場になっている.
<藤村井戸> <藤村旧栖地>
■物凄いツララ
13時丁度に,小諸市内の弟の家を訪れる.ここは私の実家でもある.
弟の家の軒先にぶら下がっている物凄いツララにビックリする.長いつららは軒から地面すれすれまで伸びている.
時々,屋根から”ドサッ”と雪が落ちてくる.
”やっぱり,小諸は寒いな…”
私はこのツララを見て,小諸が寒い所だと再確認する.
用事は,30分ほどで終わる(内容はプライベートなことなので,ここでは触れない).
<物凄いツララ> <日が当たる南側でもこのツララだ>
■布引山遠望
まだ日が高いので,折から入院中の知人の病院を訪問する.
病室の南に面した窓から,昨年,五十三次洛遊会の皆さんと一緒に歩いた布引山が良く見えている.
懐かしくなり写真を撮る.
<布引山遠望>
<高峰高原>
■急遽車坂峠までドライブ
これで,本日の用事は終わりになる.まだ,日が高い.
弟から,
「今夜は旨い酒でも飲みながら,泊まっていかないか…」
とお誘いを受けるが,私も前途多忙,できれは折角の信州で1泊したいところだがそうもいかない.
16時過ぎまでに小諸駅に戻ればいいので,どこかへ行こうかということになる.
”では,車坂峠にでも行ってみようか…”
弟の運転で,車坂峠に向かう.
市街地を抜けると,完全な雪道になる.スノウタイヤを履いている車は,苦もなく雪道を登る.20分ほどのドライブで,前方に高峰高原ホテルが見え出す.私たちにとっても,お馴染みの所である.
<雪道を車坂峠に向かう>
■高峰高原ホテル
14時41分,高峰高原ホテルに到着する.
ホテルの駐車場は,雪で覆われている.閑散期なのか駐車している車はほんの数台である.
車から外へ出る.寒い.気温が何度か分からないが,ここは標高2000メートルの高地である.降り積もった雪はパウダースノーである.
<高峰高原ホテルに到着>
■黒斑山
駐車場から黒斑山を見上げる.完全な雪山である.
”やっぱり,丹沢とは山のスケールが違うな…”
と思いながら,黒斑山を見上げる.
寒いのを我慢して,黒斑山の写真を写真を数枚撮る.
<車坂峠から黒斑山を見上げる>
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■高峰高原ホテル
多峰高原ホテルに入る.暖房が利いているので,ホッとした気分になる.
平日のためか,閑散としている.
お馴染みのMZさんが,私たちに応対してくれる.お茶を飲みながら,暫し雑談.
<高峰高原ホテルのロビー>
■高峰高原ホテルからの眺望
ホテルロビーから,佐久平を見下ろす.
下界は一面の雪景色である.
空が茫洋として霞んでいるので八ヶ岳連山は,残念ながら見えない.晴れていれば蓼科山など八ヶ岳連山がとても良く見えるはずである.
<ホテルロビーから佐久平を見下ろす>
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<新幹線と上の東京ラインで帰宅>
■高峰高原ホテルから下山
15時12分,そろそろ下山することにする.
ホテルのMZさんに,夏になったらまた来ますと挨拶して,ホテルを後にする.
夏になったら,裏コースを登ろうと,弟と話しながら,往路を下る.道路の両側には美しい自然林が広がっている.
「…どう? 泊まらないんだったら,佐久平駅か小諸駅に送るよ…」
とのことなので,
「じゃあ…佐久平駅が良いな…」.
<自然林の中を下る>
■佐久平駅
15時54分,佐久平駅に到着する.弟の車から下りる.ここで弟とお別れである.次回は2月中旬に信州に来る予定である.それまでは信州とも暫しのお別れである.
佐久平駅に停車する電車は1時間に1本程度.直近の東京行は16時44分発.大分間がある.口ではノンビリ,ノンビリ…といっている私も,本性はせっかちである.何事につけて,ジックリと待っているのが辛い.小さな待合室を出たり入ったりしながら時間を潰す.そして,やっと時間を潰して,東京行あさま号自由席車両に乗車する.
平日なので,列車は空いている.私は進行方向右側の窓際の席に座る.
佐久平駅を出て,トンネルを二つ三つ潜ったかと思ったら,もう軽井沢駅である.どっと乗客が乗り込んできて,たちまちのうちに満席となる.
あとは,高齢通り居眠りをし続ける.
<佐久平駅> <北陸新幹線「あさま」号>
■上野駅で乗換
目が覚める.
列車は既に大宮駅を発車している.外はもう暗くなっている.
”もう,居眠りしていたらダメだ…”
上野駅で下車する.上野東京ラインが開通してから,東京駅は始発駅ではなく通過駅になってしまった.だから,東京駅で乗車しても,こんなラッシュアワーにはまず座れない.しかも,上野東京ラインの電車も,新幹線と同じように上野の次は東京駅である.それならば,上野駅で上野新宿ラインに乗り換えた方が,ぐっと有利である.
上野駅から熱海行電車に乗り換える.もちろん間違いなく座席に座ることができる.東京駅で予想通り沢山の乗客がとつと乗り込んでくる.
”やっぱり,上野駅で乗り換えて良かった…”
意外に早い時間に,大船駅に到着する.
大船駅での第一印象は,
”うわ~ぁ…! 温かい.”
寒い小諸に比較すると,随分と温かくてしのぎやすい.
路線バスに乗って,19時過ぎに,無事,帰宅する.
ところで…
今週木曜日に香港に出発する.準備時間はあと2日間,ほとんど準備ができていない.
”こりゃあ…大変だ”.
(おわり)
「関東伊豆箱根上信越の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/d4883c6ce237b121b361940ceae229a2
「関東伊豆箱根上信越の山旅」の次回の記事
(なし)
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残雪の軽井沢・小諸・高峰高原一回り
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